谷津田の野草
和名インデックス |
イグサ(Juncus effusus var. decipens)
<イネ目・イグサ科・イグサ属> イグサ科の植物で、標準和名は「イ」。最も短い和名でもある。 湿地や浅い水中に生える植物で、泥の中に根を張る。 ちょっと変わった姿で、先のとがった細い茎が束になったような形をしている。 この茎のようなものは花茎で、本当の茎は地下茎となっている。 葉は、花茎の基部を包む短い鞘状に退化し、葉はないように見える。 花は、花茎の途中から出ているように見えるが、花までが花茎で、その先は苞にあたる。 花序は、短い花柄を持つ多数の小花の集まりで、6つの小さな花弁がある。
2014/7/26
田んぼの畦で見かけたイグサです。 畳表などに使用されるのは、野生のイグサではなく、栽培種のコヒゲ呼ばれる品種です。 野生のものと比較して、花序が小さいのが特徴で、製品にしやすいようです。 この野生種は、まだ、株が小さいのか背が低く、花序もかなり立派です。 | |
チヂミザサ(Oplismenus undulatifolius)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・キビ連・チヂミザサ属> イネ科チヂミザサ属の1年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、温帯から熱帯にかけて広く分布する。 和名は、葉がササに似て、縮れたような皺があることに由来する。 茎は、枝分かれしながら地上を這い、多数の葉を付ける。 秋に、茎の一部が立ち上がり、先に穂状の花序を付ける。 花茎の上部に短い柄が出、その枝に数個の小穂が付く。
2014/7/26
谷津田の横にある斜面林で見かけました。 まだ、花が咲く時期ではないので、葉っぱのみですが、本種と直ぐに分かります。 全ての葉が綺麗に縮れたように波打っていて、和名の由来がよく分かりますね。
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ヨシ(Phragmites australis)
<イネ目・イネ科・ダンチク亜科・ヨシ属> 2014/7/26 2015/8/1
イネ科の多年草で、温帯から熱帯にかけての湿地帯に分布する。
ヨシという和名は、「アシ」が「悪し」に通じるのを忌んで、逆「良し」に言い替えたのが定着したもの。 そのため、関東では「アシ」、関西では「ヨシ」が一般名称になっているが、標準和名は「ヨシ」である。 暑い夏ほどよく成長し、地下茎は年に5m以上伸びることもある。茎は2m〜6mの高さになる。
2014/7/26 谷津田横の小川に沿って群生していたヨシです。
2015/8/1 谷津田の奥にある湿地に群生しているカサスゲ、ヨシ、シダです。 この後、この湿地を踏耕によって田んぼに転換する作業を行いましたので、今はありません。 手前の方で、細い葉がたくさん見えていますが、それがカサスゲで、その奥の幅広の葉がヨシです。 | |
オニスゲ(Carex dickinsii)
<イネ目・カヤツリグサ科・スゲ属・真正スゲ亜属・シオクグ節> カヤツリグサ科スゲ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国に分布する。 根茎は細長く、匍匐茎を伸ばして群生する。 茎頂に小穂が数個集まって付く。頂小穂は雄性で長い柄がある。 雌小穂はその基部に付き、果胞が膨らみ隙間なく付いている。 その先は長いクチバシ状に伸び、とげとげした様子を鬼の角に見立てたのが和名の由来。
2015/8/1
谷津田の横を流れる小川と湿地に生えていました。 雌花が独特なとげとげした形をしているので、見間違えることはまずないと思います。 中央の写真で、2個の雌花の間から伸びているのが雄花ですが、まだ、雌性先熟なので開花していません。 左端の雌花で、棘の先に見える白っぽいものは、3裂したメシベの柱頭です。 | |
カサスゲ(Carex dispalata)
<イネ目・カヤツリグサ科・スゲ属・真正スゲ亜属・ヒゴクサ節> カヤツリグサ科スゲ属の植物で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州の平地の湿地や池の縁などの浅い所に生育する。 太い地下茎を横に這わせ、水中の泥に根を張って、大きな群落を作る。 葉は、細長く斜上して1m近くになることもある。断面は横に開いたMのような形をしている。 5月〜6月頃に、花茎を1m近く伸ばす。頂小穂は雄性、その下部に複数の雌性の側小穂が付く。 身近に生育する大型のスゲの代表的なもので、菅笠などの材料として利用されてきた。
2015/8/1
谷津田奥の湿地に大きな群落を作っていたカサスゲです。 花の咲く時期は過ぎていたので、葉のみがこれでもかと言わんばかりに茂っていました。 地下茎を横に這わせ、泥の中に根を張っているので、田んぼへの転換作業は大変です。 左端は葉の拡大写真ですが、中央が奥に凹み、その両側が手前に出っ張り、両端が奥に折り返しています。 | |
コバギボウシ(Hosta sieboldii)
<キジカクシ目・キジカクシ科・リュウゼツラン亜科・ギボウシ属> キジカクシ科ギボウシ属の多年草で、日本の固有種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、日当たりの良い湿った草原や湿原に自生する。 根茎に多数の根生葉が付き、斜上する。葉身は15cmほどでの狭卵形で先が尖り、基部は翼状に葉柄に流れる。 花茎の高さは50cmくらいになり、漏斗型の濃紫色から淡紫色の花をやや下向きにつける。 花軸につく蕾が下部から上部へと開花していく。
2015/8/1
園芸品種が出回っているので、ガーデニングなどでご存知の方もいると思います。 花が綺麗な薄紫なので、古くから観賞用に栽培されていたようで多くの品種があります。 この写真のものは野生種で、割りと大きな株になっていました。 より大型のオオバギボウシというのもありますが、コバギボウシほどには見かけません。 オオバギボウシの若葉はウルイと呼ばれる山菜なので、里山などには多いと思われます。 | |
コケオトギリ(Hypericum laxum)
<キントラノオ目・オトギリソウ科・オトギリソウ属> オトギリソウ科オトギリソウ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、朝鮮半島に分布する。 草丈は数十pになり、茎は四角形で、上部で分枝する。 葉は、長さ1cm程の広卵形で、秋には紅葉する。 花は直径1cmに満たない黄色い5花弁で、オシベは多くても10本程と少ない。
2014/7/26
谷津田横を流れる小川の近くで見かけました。 黄色いかわいらしい花を付けていたのですが、直ぐには名前が分かりませんでした。 後日、いろいろ調べて本種にたどり着きました。
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アカメガシワ(Mallotus japonicus)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・エノキグサ亜科・エノキグサ連・アカメガシワ属> <アカメガシワの雌花> <アカメガシワの雄花> トウダイグサ科アカメガシワ属の落葉高木で、在来種。雌雄異株。 日本では、本州から四国、九州の山野に自生し、空き地などに真っ先に生えてくるパイオニア植物。 日本以外では、東南アジアの山野に分布する。 和名は、新芽が紅色を帯びること、そして、その葉が柏のように大きくなることに由来する。 葉は互生し、葉柄は紅色を帯び、長さは10〜20cm、葉身も同様、葉幅は5〜15cm程でかなり大きい。 初夏に枝先に円錐花序を出し、花弁のない小さな花を多数付ける。 雄花は、苞の脇に数個ずつ付き、多数のオシベが球状に付く。 雌花は、苞の脇に1個ずつ付き、子房には刺状の突起がある。
2014/7/26
アカメガシワは雌雄異株なので、樹によって雄花か雌花のどちらかしか咲きません。 以前から、雌花が咲く雌株を探していて、やっと巡り合えました。 雄株も近くにあったのですが、まだ、開花が始まったばかりでした。 ※ 雄花の様子に関しては、こちらをご覧ください。 | |
エノキグサ(Acalypha australis)
<キントラノオ目・トウダイグサ科・エノキグサ亜科・エノキグサ連・エノキグサ属> トウダイグサ科エノキグサ属の一年草。 日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる1年草。 海外では、東南アジアから東アジアにかけて分布する。 草丈は50cm程までになり、葉は互生する。 上部に穂状の雄花が付き、その基部に総苞に包まれた雌花が付いている。 雄花の花被は4裂し、オシベは8個ある。雌花の花被は3裂し、花柱は3本で先が細かく裂ける。
2014/7/26
谷津田の斜面林に入る手前の台地にたくさん生えていました。 まだ、成長途中なのか草丈は数十p程しかありませんが、穂状の雄花がたくさん付いていました。 もちろん、その根元には雌花も付いていました。 | |
オオチドメ(Hydrocotyle ramiflora)
<セリ目・ウコギ科・チドメグサ属> ウコギ科チドメグサ属の多年草で、在来種。 北海道から、本州、四国、九州の山野に生える普通種。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。 茎は細く、地を這って広がり、節から枝を出して斜上し、葉腋に花序が付く。 葉は、直径数cmのやや厚みのある腎円形で、表面には光沢がある。 葉の切れ込みは浅く、基部は深い心形。葉の基部には鋸歯がある。 下記の5漢月には、葉の上に長い花茎を出し、淡緑色の小さな花を10個前後付ける。
2014/7/26
斜面林内の通路脇で、葉のみが一面を覆っていました。 もう、花の時期は過ぎているので、花茎はありません。 | |
コナギ(Monochoria vaginalis var. plantaginea)
<ツユクサ目・ミズアオイ科・ミズアオイ属> ミズアオイ科ミズアオイ属の1年草で、史前帰化植物と考えられている。 日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布する、水田の雑草の代表種。 海外では、東アジアに広く分布し、水稲耕作の広がりと共に各地に伝播したと考えられている。 葉柄、葉身とも長さ数cmから数十pと変化に富み、葉の形も多彩である。 総状花序は、葉より低く、5個前後の花が付く。花は、青紫色の6花弁で直径2cmほど。 オシベは6本あり、内5本は短く、葯は黄色い。1本はやや長く、葯は青紫色。 同属のミズアオイが姿を消し、希少種になっているのに対し、本種はあまり減っていない。
2014/7/26
水田に生える雑草の代表種で、この年も田んぼのあちらこちらで見られました。 まだ、花が咲くには少し早いようで、花茎は見られませんでした。 | |
ザクロソウ(Mollugo pentaphylla)
<ナデシコ目・ザクロソウ科・ザクロソウ属> ザクロソウ科ザクロソウ属の1年草で、道ばたや畑の縁に普通に生える在来種。 日本では、本州から四国、九州に分布する。海外ではアジアの熱帯、亜熱帯に分布する。 草丈は10〜25cmほどで、茎は4綾があり、よく分枝して斜上する。 葉は、長さ1〜4cmの披針形で、下部では3〜5個が偽輪生し、上部では時に対生し小さい。 花期は7月〜10月で、茎頂や葉腋に集散花序を出し、花柄は細長く、小花柄は2〜4mm。 花は直径3o程で、楕円形で白緑色の花被片5個には1脈がある。 花被片は長さ2mm前後で不揃い。オシベは3個、メシベが1個ある。 刮ハは直径2mmほどの球形で、種子は長さ0.5mmほどの腎形。赤褐色で艶があり、微細な突起がある。 よく似たクルマバザクロソウは茎が丸く、花が葉腋に固まって付く点が異なる。 また、果実は楕円形で、花被片には3脈がある。
2014/7/26
水田に下りる通路脇で見かけたザクロソウです。 永らく同定できないでいましたが、ひょんなことから正体が分かりました。 よく似た帰化植物のクルマバザクロソウがありますが、花の付き方が異なります。 | |
ヤマユリ(Lilium auratum)
<ユリ目・ユリ科・ユリ属・ヤマユリ亜属> ユリ科ユリ属の球根植物で、日本固有種。 北陸地方を除く近畿地方以北の山地の林縁や草地に分布する。 草丈は1mを超え、頂部に数輪の花を付ける。なお、大きな株では10輪近く咲く場合もある。 花の直径は20cmにもなり、ユリ科の中でも最大級で、その重みで茎が湾曲することもあります。 花弁は、内花被片、外花被片、各々3枚からなり、オシベも6本あります。 花被片は、白地に多数の紅斑があり、花被片の中心に黄色の筋があります。 花の香りは、甘く濃厚で、非常に強く香ります。 球根の鱗片には、多糖類の1種であるグルコマンナンを多く含み、苦みが少ないので食用となります。
2014/7/26
斜面林の通路脇で、大きな花を2輪咲かせていました。 翌年、同じ場所を見たのですが見当たりませんでした。 見栄えの良い花なので、採取さてしまったのかもしれません。ちょっと残念。 |
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