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八ヶ岳山麓 原村近辺の野草T



ここ何年か通っている「原村 星まつり」そのの会場である「八ヶ岳自然文化園」やその近辺、
会場への往路、復路で見かけた野草や低木をまとめたものです。

ただ、星まつりが毎年、8月の初旬に開催されるため、その時期の野草のみです。
特に珍しいものはありませんが、こんなのも咲いているんだと楽しんでいただければ幸いです。

< トピック >

今回、新たに見かけた野草や野菜(あまり見かけないもの)を追加しました。
セイヨウノコギリソウ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
アオイ目
アオイ科(ジャコウアオイ)
アカネ目
アカネ科(アカネ)
アブラナ目
アブラナ科(キャベツ)
イネ目
イネ科(ヤマアワ、オオアワガエリ)
カヤツリグサ科(コマツカサススキ、カンガレイ、アブラガヤ、オニスゲ)
ガマ科(ガマ、ナガエミクリ)
ウリ目
ウリ科(ズッキーニ)
キク目
キキョウ科(キキョウ、ヤマホタルブクロ、サワギキョウ、ツリガネニンジン)
キク目・キク科
アザミ亜科(ノアザミ、ノハラアザミ、セイタカトウヒレン)
タンポポ亜科(コウゾリナ)
キク目・キク科・キク亜科
キク連(ノコギリソウ、セイヨウノコギリソウ)
サワギク連(ハンゴンソウ、コウリンカ)
シオン連(ユウガギク、カントウヨメナ、ノコンギク、シラヤマギク、ゴマナ、ハルジオン)
ヒヨドリバナ連(ヒヨドリバナ、サワヒヨドリ)
オグルマ連(オオガンクビソウ、カセンソウ)
ヒマワリ連(オオハンゴンソウ)
メタカラコウ属(メタカラコウ)
ヤブレガサ属(ヤブレガサ)
ヤマハハコ属(ヤマハハコ)
八ヶ岳山麓 原村近辺の野草
和名インデックス


ジャコウアオイ(Malva moschata)
<アオイ目・アオイ科・ゼニアオイ属>

アオイ科・ゼニアオイ属に分類される多年草で、ヨーロッパ原産の移入種。
日本を始め、アメリカ、アジア、オーストラリアに外来種として定着している。
草丈は60〜100cmほどで、茎や茎葉の葉柄には横向きの長い毛がある。
根生葉には長い葉柄があり、腎形で縁は5〜7残裂して、不規則に鋸歯がある。
茎葉は上部に行くにしたがって小さくなり、3〜5深裂して、裂片は更に小さく裂ける。
葉にはかすかな麝香の香りがあり、それが別名ムスクマロウの由来であり、和名はその訳である。
花期は6月〜9月で、直径5cm前後の花を茎頂や葉腋から花柄を伸ばして付ける。
花色は、白〜淡紅紫色まで多種ある。オシベはアオイ科特有の癒合し筒状になる。

2017/8/6
八ヶ岳自然文化園を出た所の民家の庭先で見かけました。
ピンクの花弁がきれいなハート形をしていたので、気になって撮影したものです。
花に気が行っていたので、葉に香りがあることまでは確認しませんでした。

アカネ(Rubia argyi)
<アカネ目・アカネ科・アカネ属>
   
アカネ科アカネ属のつる性多年草で、在来種。
日本では本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
山野で普通に見られ、茎は四角形で数mに伸び、よく分枝して、下向きの刺がある。
葉は4個輪生し、その内の2個は托葉が大きく発達したものである。
葉身は長さ3〜7cmの狭卵形で、基部は心形で先が細くなって尖る。
花期は8月〜10月で、葉腋から集散花序を出して、黄緑色の花を多数付ける。
花は直径5mm弱で、花冠は5裂し、オシベは5個。
果実は直径6mm前後で、普通は2個が接して付くが、1個だけになる場合もある。

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林縁で、周りの草木に絡みついたアカネが花を付けていました。
春先に蔓を伸ばし、葉を輪生させているのを見たことがありますが、花は初めて見ました。
根が草木染に利用され、茜色は本種を使って染色したものですが、花や葉からは想像できません。
根が染色に使えることに、どのようにして気が付いたのでしょうね。

キャベツ(Brassica oleracea L. var. capitata)
<アブラナ目・アブラナ科・アブラナ属>

アブラナ科アブラナ属の多年草で、野菜。
日本には、幕末の1850年代に伝わったが、栽培が盛んになったのは戦後。

2011/8/7
キャベツは野菜ですが、セルリ同様、紹介したくて掲載しました。
この写真を見ていただければ分かると思いますが、見渡す限り、キャベツ畑です。
原村では、広大な高原で、セルリやキャベツなどの高原野菜の栽培が盛んです。
原村に行った帰りには、お土産にセルリやキャベツなどの朝取りの高原野菜を買い込んでいます。
一度味わうと、また、食べたくなるので、毎年の恒例行事になってしまいました。

余談ですが、原村では「セロリ」ではなく、「セルリ」と呼ばれています。
英名「celery」の聞き取りの違いですが、「le/ラァ」の部分はロにもルにも聞こえます。

ヤマアワ(Calamagrostis epigeios)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・ノガリヤス属>
 
イネ科ノガリヤス属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる。
世界的には、中国、ロシア、アジア西南部、ヨーロッパなど北半球の温帯に広く分布する。
草丈は45〜150cmで、根茎は長く横に這う。茎は直径5mm前後で平滑である。
葉は無毛で、長さ30〜60cm、幅5〜12mm。両面ともざらつき、縁には細縁歯がある。
葉舌は厚い膜質で、長さ4〜6mmあってよく目立つ。
花期は7月〜9月で、花序は直立して長さ10〜30cm。
花序枝は短く、密に多数の淡黄緑色の小穂を付け、円柱状から穂が開いて細い円錐花序となる。
小穂は長さ5〜8mmで狭披針形で細長く、1小花からなる。
苞頴は線状披針形で、長さ6mm前後でばらつきがあり、淡緑色またはわずかに赤紫色を帯びる。
小花は苞頴より著しく短く、小花の基部には長い白毛があり、護頴より長いが苞頴よりも短い。
護穎は薄膜質で、苞穎よりも明らかに短く、ごく短い芒がある。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の湿地で、サワギキョウなどと混生していました。
細長い茎の先に小穂をたくさん付けた花序を出し、最初は円柱状ですが、徐々に開いて円錐状になります。
小穂は、淡黄緑色で線状披針形で、1小花よりなり、葯は黄色です。

花序の形がアワに似ていて、ヤマに生えるのが名前の由来ですが、食用にはならないそうです。

オオアワガエリ(Phleum pratense)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・アワガエリ属>
   
イネ科アワガエリ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる。
チモシーあるいはチモシー・グラスと呼ばれる牧草で、世界で広く利用されている。
草丈は50cm以上になり、多数の茎を出し、茎の先に花序を付ける。
花序は、細長い棒状で、多数の小穂が密生する。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園からペンション村を抜けた草原で見かけました。
細長い茎の先に小穂をたくさん付けた花序が、多数寄り集まって、風に揺れていました。
残念ながら開花しているものは1本もなく、全て咲き終わった後のようでした。

コマツカサススキ(Scirpus fuirenoides Maxim.)
<イネ目・カヤツリグサ科・カヤツリグサ亜科・ホタルイ連・ホタルイ属・アブラガヤ類>
   
カヤツリグサ科ホタルイ属の多年草で、日本固有種。
なお、ホタルイ属を細分する考え方もあり、その場合クロアブラガヤ属とされる。
日本では、本州と九州に分布し、山野の湿地に自生する。
草丈は80〜120cmで、鈍3稜形の花茎は硬くて、4〜5節ある。
根生葉は硬く、幅3〜4mmの線形。茎葉も線形で長く、茎の高さを超える。
花期は8月〜9月で、茎頂や葉腋に球形花序を5〜6個、散形または単生する。
なお、花序の枝は分枝しない。球形花序には、小穂が10〜30個付く。
また、苞葉の葉身は葉状で、長さは花序よりも長くなる。
小穂は楕円体で、長さは5〜7mmほど。鱗片は長さ数oの長卵形で、鋭頭。
痩果は長さ1.5mmほどの倒卵形で、淡褐色。
5〜6個の刺針状花被片は、糸状で屈曲し、果実が熟すと傘のように外に広がって見えるようになる。
似たものに、マツカサススキがあるが、花序枝が分枝し、小穂が4〜5mmと小さく、鱗片が細い。
ヒメマツカサススキも似ているが、花序枝が分枝し、小穂が少な5〜10個と少ない。

2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林の中の沼のほとりで見かけました。
カヤツリグサを巨大にした感じで、草丈は50cm近くあったと思います。
バックのカンガレイと見分けが付きにくいですが、黄緑色っぽいのが本種です。

 
2014/8/9
昨年より多くの花茎を出していましたが、バックのカンガレイと混じってしまい、区別が付きにくいですね。
花の部分を拡大してみました。小穂から髭のように出ているのは、オシベです。

   
2017/8/5
昨年、花を拡大した時に気づくべきでしたが、小穂の形状がカワラスガナのように扁平ではありません。
改めて、いろいろと調べて、マツカサススキの球形花序に似ていることが分かりました。
これにもコマツカサススキとヒメマツカサススキといった似たものが存在します。
結果として、球形花序の付き方、小穂の数、花序枝に分枝がない点から、コマツカサススキとしました。
それにしても4年間も、間違いに気が付かないとは。ほかにも間違いがありそうです。

カンガレイ(Scirpus triangulatus)
<イネ目・カヤツリグサ科・カヤツリグサ亜科・ホタルイ連・ホタルイ属・ホタルイ類>
   
カヤツリグサ科ホタルイ属の多年草で、在来種。
なお、ホタルイ属を細分する考え方もあり、その場合もホタルイ属とされる。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、インド、インドネシアにも分布する。
草丈は70〜100cmで、大きな株となって群生し、茎は鋭い三稜形。
花期は8月〜10月で、茎の先に長さ3〜10cmほどの苞が付く。
苞の基部に数個〜10個程度の小穂が固まって付き、小穂は無柄で長楕円形。
なお、茎と苞は見た目は同じなので、茎の途中に小穂が付いているように見える。

2006/8/5
八ヶ岳自然文化園の林の中の沼に群生しています。
葉が発達せず、見かけ上は三角形の茎のみで、先端に花序が出ます。
この花序の基部から単一の苞葉が直立して伸び、茎の途中から花序が出ているように見えます。
花序は、多数の小穂が頭状に集まったもので、カンガレイでは柄がありません。
小穂は赤褐色で、長さ1〜2cm程。多数の鱗片が螺旋状に並び、その内側に小花があります。

 
2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内の沼に群生しているカンガレイですが、今年は沼面が見えるほどすかすかです。
そのため、他の植物(コウホネなど)を見ることができました。

   
2017/8/5
今年はカンガレイが沼を埋め尽くしていました。年によって成長に差があるようです。
小穂の良いアップの写真がなかったので、100oマクロで撮り直したものです。

アブラガヤ(Scirpus wichurae Boeklr.)
<イネ目・カヤツリグサ科・カヤツリグサ亜科・ホタルイ連・ホタルイ属・アブラガヤ類>
   
カヤツリグサ科ホタルイ属の多年草で、山野の湿地に生える。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる。
カンガレイと同属だが、花茎のみが発達するこれらと異なり、根出葉が発達する。
株立ちとなり、その中から花茎を伸ばし、先端の花序から柄が数本出て多数の小穂を付ける。
なお、花序は先端だけではなく、上の方の節からも出る。
非常に変異が多く、シデアブラガヤ、アイバソウ、エゾアブラガヤ、チュウゴクアブラガヤと呼ばれる。
各々特徴があり、分けて扱うとか、アブラガヤと一まとめにして扱う説など、定説がない。

2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林の中の沼のほとりで見かけました。
周りの草より、抜きん出て背が高く、草丈は1mを超えていました。
この写真では、咲き始めたばかりの小穂は淡い褐色ですが、熟すと赤褐色になるそうです。
名前は、熟した色が油色であること、また、油臭いにおいがあることに由来するそうです。

   
2017/8/5
八ヶ岳自然文化園内の沼に近い湿地脇の通路横に生えていました。
今まで、根元まで見える状態のアブラガヤを見たことがなかったので、全体を映してみました。

オニスゲ(Carex dickinsii)
<イネ目・カヤツリグサ科・スゲ亜科・スゲ連・スゲ属・オニナルコ節>

カヤツリグサ科スゲ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
根茎は細長く、匍匐茎を伸ばして群生する。
茎頂に小穂が数個集まって付く。頂小穂は雄性で長い柄がある。
雌小穂はその基部に付き、果胞が膨らみ隙間なく付いている。
その先は長いクチバシ状に伸び、とげとげした様子を鬼の角に見立てたのが和名の由来。

2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林の中の沼で見かけました。
カンガレイやナガエミクリに隠れるように、その特徴的な刺々しい雌小穂が見えています。
棘の先に見える白っぽいものは、3裂したメシベの柱頭です。
残念ながら、この雌小穂の先にあるはずの雄性の小穂(雌性先熟なので未開花のはず)はありませんでした。

   
2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の畔にある通路脇でオニスゲが多くの花茎を出していました。
今回は雄性の小穂も残っていました。その基部にある雌小穂もアップで撮り直しました。

ガマ(Typha latifolia)
<イネ目・ガマ科・ガマ属>
 
ガマ科ガマ属の多年草で抽水植物で、日本では北海道から九州の広範囲に分布している。
世界的には、北半球の温暖な地域やオーストラリアに分布している。
葉は高さ2mに達する事もあり、夏に茎を伸ばして、円柱形の穂を付ける。
穂の下部は雌花の集まりで赤褐色のソーセージ状、上部は雄花の集まりで細い。
雄花が開花すると、黄色い葯が一面に付く。

2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内の湿地で見かけました。
既に雄花は枯れていて、雌花の上部に茶色くなったその残骸が残っていました。
ガマの葉は、所どころに見られるのですが、その穂は少なく、この周りにはありませんでした。

ナガエミクリ(Sparganium japonicum)
<イネ目・ガマ科・ガマ属>
   
ガマ科ミクリ属の多年草で抽水、浮葉植物で、在来種。
日本では北海道南西部から本州、四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島に分布している。
草丈は1m前後になり、浮葉状態では1.5mを超えることもある。
葉は、幅が10mm前後で、抽水葉では背稜が明瞭で三角形近いが、浮葉では背稜が目立たない。
花序は分枝せず、上部に雄性頭花を多くて10個程付け、その下部に雌性頭花が5個ほど付く。
上部の雄性頭花は、花茎に密着して柄はないが、最下部の雌性頭花数個には柄がある。
苞は花序よりも長くなる。花の色は淡緑白色。
果実は、紡錘形で先端が角状に尖っており、球形に集まって金平糖のようになる。

2014/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内の湿地で、カンガレイと混生していました。
多くの株は、花期は終わって果実を付けていましたが、1株だけ若い花茎を出していました。
左端の写真は、先が角のように尖った果実の集合体です。
中央の写真で、下部の白っぽいボンボリの様なものが雌性の頭状花序です。
上部の小さな丸いものが雄性の頭状花序ですが、未開花で、開花するとオシベが飛び出してきます。

   
<雄性頭花>            2016/8/6            <雌性頭花>
今年は、雄性の頭状花序が開花している株がありました。左右は、各々の拡大写真です。
上部の雄性頭花では、多数のオシベが飛び出しています。時間が経つと黒ずむようです。
下部の雌性頭花では、淡緑白色の柱頭が伸び出して、イガグリのようです。

 
2017/8/5
今年見かけたナガエミクリは、まだ、下部の雌性頭花が開花したばかりでした。
まだ、上部の雄性頭花はこぶ状ですが、最下部のものは膨らみ始めていました。


ナガエミクリの果実のソックリさん

 
2014/8/9<ナガエミクリ>       2016/8/23<モミジバフウ>
最近、気が付いたのですが、ナガエミクリの果実とモミジバフウの果実は良く似ています。
モミジバフウは、焦点距離50oのレンズで、30cm程の距離からの撮影ですが、
ナガエミクリは、300oで5m程の距離からの撮影なので、解像度が悪いです。
ナガエミクリの高解像度写真は、いろいろなWebにアップされていますので、比較してみてください。

ex.) 西宮の湿生・水生植物


ズッキーニ(Cucurbita pepo)
<ウリ目・ウリ科・カボチャ連・カボチャ属・ペポカボチャ種>


   
ウリ科カボチャ属の非つる性の1年草で、果菜。
外見はキュウリに似るが、カボチャ(ペポカボチャ)の仲間で、主に緑果種と黄果種がある。
原産地は明確ではなく、メキシコの巨大カボチャが祖先種ではないかと考えられている。
現在の細長い形状のものは、19世紀末にイタリアで改良されたもの。球形や洋梨型もある。
本格的な普及は20世紀になってからで、20世紀後半になって人気が出てきた。
食用とするのは、開花後4〜5日の幼果(20cm前後)と花(花ズッキーニ)である。
草丈は2mほどまでになり、長い葉柄を伸ばして大きな葉を付ける。
葉は羽状に深裂したものや、浅く裂けて丸いものなど、品種によって異なる。
つる性ではないが、横に這う性質があるので、支柱で支えるなどの対応が必要。
なお、茎や葉には棘があり、注意が必要。
花期は6月〜8月で、収穫期も同時期になる。雌雄異花。
花茎を伸ばして、直径10cmほどの5裂した黄花を咲かせる。
果実には微量のククルビタシンが含まれるが、稀に含有量が多い個体があり、食中毒を起こす。
通常は問題になるほどではないが、苦みが強い場合には食べるのは注意が必要。

2019/8/2
いつもとは異なるルートで八ヶ岳自然文化園へ行った際、道路脇にズッキーニ畑が広がっていました。
思わず車を止めて、畑の様子やズッキーニの雄花や雌花の写真を撮ったものです。
ウリ科カボチャ属ということで、雄花や雌花はカボチャの花と瓜二つです。


ウリ科の花

       .
<カボチャ>(Cucurbita maxima)<ウリ目・ウリ科・カボチャ連・カボチャ属>
       .
<ズッキーニ>(Cucurbita pepo)<ウリ目・ウリ科・カボチャ連・カボチャ属・ペポカボチャ種>
       .
<キュウリ>(Cucumis sativus)<ウリ目・ウリ科・トウガン連・キュウリ属>
 
カボチャとズッキーニは、同じカボチャ連カボチャ属に属しており、花の形もよく似ています。
キュウリも同じウリ科ですが、トウガン連キュウリ属です。
花は似ている所もありますが、花芯の形など異なる部分もあります。


キキョウ(Platycodon grandiflorus)
<キク目・キキョウ科・キキョウ亜科・キキョウ属>
 
キキョウ科キキョウ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州の日当たりの良い山野で見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、東シベリアにかけて分布する。
葉は互生し、長卵形でふちには鋸歯があり、裏面はやや白みがかっている。
つぼみは、花びら同士がぴたりとつながって風船のように膨らんでいる。
つぼみは徐々に緑から青紫に変わり、裂けて星型の花を咲かせる。

2014/8/9
八ヶ岳自然文化園の林縁で、ポツンと咲いているのを見かけました。
多くの野草に交じって一株だけで咲いていましたので、自生種だと思われます。
庭や公園などでよく見かけますが、自生種は絶滅危惧種に指定されているとのこと。
雄性先熟で、雄蕊から花粉が出ている雄花期と、その後に雌蕊が出てくる雌花期があります。
キキョウの根はサポニンを多く含むため、生薬(桔梗根)として利用されています。

ヤマホタルブクロ(Campanula punctata Lam. var. hondoensis)
<キク目・キキョウ科・キキョウ亜科・ホタルブクロ属>
 
キキョウ科ホタルブクロ属の多年草で、日本固有種。
ホタルブクロの変種で、東北地方南部から近畿地方東部にかけて分布する。
ホタルブクロは、東北部を除く北海道から、本州、四国、九州に分布し、両者の分布域は重なる。
海外では、ホタルブクロが朝鮮半島から中国にかけて分布する。
草丈は、20〜50cmと幅があり、葉は互生する。
花は、長さ5cmほどの壺型で、先が浅く5裂する。
花色は、淡紅紫色で淡いものから濃いものまで変異がある。

2012/8/5
八ヶ岳自然文化園の入り口脇の草原で見かけました。
ホタルブクロの花は、釣鐘型で下向きにおちょぼ口を開いたような独特の形をしています。
この花にホタルを入れていたのが名前の由来との説がありますが、定かではありません。
しかし、夜に花にホタルを入れると、明滅に合わせて花がぼんやりと光り、綺麗な気がします。

   
2016/8/6
八ヶ岳自然文化園の林縁で、ヤマホタルブクロを見つけました。
見かけたのはきれいな淡い赤紫色の花で、上記のものより明るい色調の個体でした。
今回、初めて開花直前のツボミを見ました。ラグビーボールのようになるんですね。

   
2016/8/6
上記のヤマホタルブクロの近くで、真横を向いて咲いているものがありました。
そこで、見たことがなかった花冠の内部を撮影してみました。
内部には紅紫色の斑点があり、多くの長毛が生えています。メシベの柱頭は3裂します。

ホタルブクロ(左)とヤマホタルブクロ(右)
ホタルブクロは、あちらこちらでよく見かける野草です。
ただ、今までその種類まで気にしたことがありませんでした。
見直してみると、山で撮影したものは全てヤマホタルブクロでした。
識別の決め手は、花の根元の萼片の形です。
ホタルブクロの場合は、付属体の副萼片が反り返っています。
ヤマホタルブクロの場合は、萼片と萼片の間が盛り上がるだけです。

ツリガネニンジン(Adenophora triphylla var. japonica)
<キク目・キキョウ科・キキョウ亜科・ツリガネニンジン属>
 
キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国の山野で見られる。
海外では、樺太、千島列島に分布する。
葉は先が細長くとがった楕円形で、数枚が輪生状に付き、鋸歯がある。
茎はほとんど分枝せず、茎頂に円錐花序を付ける。花は数個が輪生する。
釣鐘型の淡紫色の花で、先が5裂し、花柱が長く突き出している。

2014/8/9
八ヶ岳自然文化園の林縁で、先終わりに近いツリガネニンジンを見かけました。
輪生した花が円錐花序の先まで咲いており、ほとんどが果実になった枝もありました。
花はホタルブクロの花を小さくしたような形で、花柱が大きく飛び出しているのが特徴です。
ただ、花の形が釣鐘型ではなく、先のすぼまった壺型(母種サイヨウシャジンの特徴)なのが気になります。
ただ、花が輪生しているので本種で間違いはないと思います。

 
2016/8/6
花の形が壺型ではなく、釣鐘型のものを見つけました。やはり、本種で間違いなさそうです。

   
2017/8/5
今年もツリガネニンジンは咲いていましたが、やはり咲き終わりかけで、きれいな花は少ないです。
メシベの花柱がまともに残っているものはありませんでした。

   
2018/8/14
林内でツリガネニンジンらしきものを見かけ、近づいてみるとちょっと違和感がありました。
花の付き方がバラバラで、花冠がすそ広がりで、釣鐘型ではありません。ベルのような形です。
なので、花の外観はソバナに近いのですが、花柱が花冠より飛び出している所が異なります。
葉は、3個が輪生していて、その点でもソバナとは異なります。イワシャジンも同様に異なります。
花の付き方が気になりますが、葉の付き方や花柱の長さから、ヅリガネニンジンとしました。

サワギキョウ(Lobelia sessilifolia)
<キク目・キキョウ科・ミゾカクシ亜科・ミゾカクシ属>
   
キキョウ科ミゾカクシ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国の湿地で見られる。
海外では、朝鮮半島から中国東北部、台湾、サハリン、シベリアにかけて分布する。
花は、5裂した唇型で、上唇が左右に2裂し、下唇は3列して前に出ている。
雄性先熟で、雄蕊から花粉が出ている雄花期と、その後に雌蕊が出てくる雌花期がある。
なお、見た目はきれいな花であるが、有毒植物で、全草にアルカロイドのロベリンを含む。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の湿地で、クサレダマなどと混生していました。
直立した茎の上部に総状花序を出し、濃い紫色の花を付けます。

   
2017/8/5<雄花期>
   
2017/8/5<雌花期>
上段が雄花期で、先端から飛び出している白い細長い毛束に触れると、花粉が出る仕組みです。
下段は雌花期で、花粉で出尽くすと、葯が枯れて花柱と柱頭が現れます。

ノアザミ(Cirsium japonicum)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・アザミ属>
   
キク科・アザミ属の多年草で、日本固有種。
日本では、本州から四国、九州と比較的広範囲に分布する。
海外で、朝鮮半島から中国にかけて分布するものは、貯蔵根が肥大するので別種カラノアザミと思われる。
草丈は50〜100cmで、根生葉は花期でも残っており、長さ15cm前後で羽状に中裂する。
茎葉は、基部が茎を抱き、上部の葉ほど小さくなる。葉には、鋭い刺が多数ある。
花期は5月〜8月であるが、稀に秋まで咲いている場合もある。なお、春に花を付けるのは本種のみである。
頭花は茎頂に上向きに咲き、直径は4〜5cm。筒状化のみで、花色は紅紫色。稀に白花もある。
総苞は幅2〜4cmの球形で、総苞片は直立して粘液を出し、よく粘る。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の湿地周辺で見かけました。
アザミ属の中で、春に咲くのはノアザミのみで、花期は夏までですが、秋でも咲いていることがあるそうです。
頭花は紅紫色で、上向きに付き、筒状花のみで花弁はありません。
花の基部の総苞は、総苞片が直立して反り返らず、粘液をだして粘ります。
写真には写っていませんが、根生葉が下記にも残り、羽状に深く切れ込み、小さな刺が多数付きます。

   
2017/8/5
ノアザミの総苞片が良く粘るのは知っていますが、その犠牲になる昆虫は多いようですね。
上段左ではハエが、下段中央でも何かが、下段右ではアリとオオメカミキリモドキが犠牲になっています。
食虫植物ではないので、捕らわれた昆虫は何の役にも立たないんですけどね。

ノハラアザミ(Cirsium oligophyllum)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・アザミ属>
 
キク科・アザミ属の多年草で、日本固有種種。
日本では、本州中部以北の山地の草原や林縁に分布する。
草丈は60〜100pで、茎は真っ直ぐに伸び、上部で分枝する。
根際の葉は花期にも残り、羽状に深く裂ける。茎葉は上部ほど小さく、中裂して鋭い棘がある。
花期は8月〜10月で、枝先に数個の花を上向きに付ける。
頭花は、紫色の筒状花からのみなり、最初、メシベはオシベに包まれている。
花が刺激を受けると、オシベが下にさがり、白い花粉とメシベが出てくる。
オシベは数日で枯れ、長く飛び出したメシベ(先が3裂)が授粉できるようになる雄性先熟。
総苞には、クモ毛があり粘らない。総苞片は、反り返らず、規則正しい短い。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の湿地周辺で見かけました。
初秋から咲きはじめ、10月頃まで咲いているそう。
ここは高度が高いので、8月初めのこの時期に既に咲いているのでしょう。
頭花は紅紫色で、茎の上部で枝分かれして上向きに付き、花は筒状花のみで花弁はありません。
花の基部の総苞は、短い総苞片がとげ状に立っており、白いクモ毛で覆われ、粘りはありません。
根生葉は数十cmあり、ロゼット状に広がっており、花期にも残っています。
葉は、羽状に深く切れ込み、小さな刺が多数付きます。

 
2012/8/5
八ヶ岳自然文化園からペンション村に向かう道の途中で見かけました。
まだ、開ききっていませんが、前日に見かけたものより、一回り大きめの頭花を付けていました。
手前の葉が邪魔をしていないので、総苞のクモ毛も良く見えています。

 
2013/8/2                 2013/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内で所どころで見かけました。
今年は、ノハラアザミばかり目に付き、ノアザミは目にすることはありませんでした。
たまたま、散策コースになかっただけだと思いますが、林内なので数は少ないのかもしれません。

セイタカトウヒレン(Saussurea tanakae)
<キク目・キク科・アザミ亜科・アザミ連・トウヒレン属>
   
キク科トウヒレン属の多年草で、在来種。
ヒレン(飛廉)は漢名でアザミを意味し、中国から来たと思われて唐飛廉となったとする説。
もう1説は、草姿を「塔」に見立て、「塔飛廉」としたというもの。
セイタカは、その名の通りで、背が高くなるトウヒレンということ。
ただ、後者の説では、トウヒレンとはセイタカトウヒレンそのものを意味していたとする。
日本では、本州の関東〜中部地方、岡山に分布し、山地の林縁や明るい草地などで見られる。
海外では、朝鮮半島から中国に分布している。
草丈は70〜100cmで、茎は直立して、幅の広い翼がある。
根出葉は開花時には枯れて無い。茎葉は互生し、下部の葉は長さ8〜15cmの広卵形で先は鋭頭。
基部は心形で、縁には不規則な鋸歯がある。葉柄に翼があり、その翼がそのまま茎の翼に続く。
中間から上部の茎葉には葉柄はほとんどなく、葉の基部が茎の翼に続いている。
花期は9月〜10月で、上部の葉腋や茎頂に淡赤紫色の頭花を総状に付ける。
頭花の直径葉15mm前後で、総苞は黒紫色で絹毛があり、長さは17mm前後、総苞片は9列。
総苞外片は広卵形で短く、覆瓦状に並んで張り付き、開出しない。

日本に自生するトウヒレン属の和名には、〜トウヒレン、〜ヒゴタイ、〜アザミと3種類ある。
紛らわしい事この上ないが、良く分からないまま、似ているからと命名されたためとのこと。

2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内で見かけた、スッと真っ直ぐに伸びた見慣れない形の草本。
その茎には、葉の付け根から幅のある翼が下の方に伸びていました。
後で翼を手掛かりに調べてみると、本種、セイタカトウヒレンに行き着きました。
もう少しツボミが大きくなってきたら、総苞に黒紫色で絹毛が出てきて分かり易くなると思います。


コウゾリナ(Picris hieracioides L. subsp. Japonica)
<キク目・キク科・タンポポ亜科・タンポポ連・コウゾリナ属>
   
キク科コウゾリナ属の越年草で、低地から山地の草地に生育する在来種。
日本をはじめ、中国からインド、ミクロネシア、オーストラリアまで広く分布する。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
草丈は数十cmになり、茎頂で枝分かれして、直径3cm程の黄色い頭花を付ける。
我が国の山地に普通に目にする野草である。根出葉はロゼット状に多数出る。
根生葉の形状は長楕円状披針形。草丈は50〜150p程度。全草に赤褐色の剛毛がある。
茎葉は互生し、倒披針形で、長さ10〜20p程度。
6〜10月頃、黄色で径2〜2.5p程度の花を散房状につける。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園に向かう途中の富士見高原近くの道路脇や八ヶ岳自然文化園の林内で見かけました。
ロゼット状の根生葉から茎を直立させ、良く枝分かれした先に疎らに頭花を付けます。
花径は2cmほどで、黄色い舌状花のみからなり、5月頃から10月頃まで咲いています。
コウゾリナの特徴は、茎や葉に褐色の剛毛があり、触るとかなりざらつきます。

 
2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内で見かけた、コウゾリナです。
1本だけ、草原の中に立ち上がっていましたので、かなり目立ちました。

   
2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内を散策中、通路脇で見かけたコウゾリナです。
和名「髪剃菜」の由来である剛毛のアップを取っていなかったのを思い出し、撮ったものです。
この剛毛が肌に当たったとき、ゾリゾリと剃られているような感覚が名前になったそうです。

ノコギリソウ(Achillea alpina)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・ノコギリソウ属>
 
キク科ノコギリソウ属の多年草で、在来種です。
日本では、北海道と本州に分布する。海外では、朝鮮半島から中国、ロシア極東の高地に分布する。
草丈は、50〜100cmほどで、葉は互生し、厚くて硬く、羽状に深裂し鋸歯がある。
セイヨウノコギリソウの葉は、2〜3回羽状複葉に細裂して柔らかいので区別できる。
花期は7月〜9月で、茎頂に散房花序をつくり、頭花が密に付く。
花色は白で、5〜7個の舌状花は長さ4mm前後、先端は三つに浅く分かれる。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の湿地で、サワギキョウと共に咲いていました。
茎の上部の枝先に白色の小さな頭花が多数集まって付いています。
1つの花には、舌状花が普通あ5個あり、中央に筒状花が密生します。

※ 当初、セイヨウノコギリソウと思っていたのですが、葉が羽状に裂けていないことに気づきました。
改めて、葉の形状などを見直した結果、在来種のノコギリソウと改めました(2017/6/12)。

 
 
2018/8/4
八ヶ岳自然文化園の湿地で、ノコギリソウの花や葉を100oマクロで撮り直しました。
昨年も同じように撮ったのですが、今年の方が花が大きく、中央の筒状花もきれいに盛り上がっていました。
葉の写真もアップで撮り直しましたが、セイヨウノコギリソウとの違いは明瞭ですね。

セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)
<キク目・キク科・キク亜科・キク連・ノコギリソウ属>
 
キク科ノコギリソウ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州に分布する。
草丈は50〜100cmほどで、葉は互生し、2〜3回羽状複葉に細裂して柔らかい。
茎頂に散房花序を付け、直径5o程の頭花をたくさん付ける。
普通、周囲に5個の舌状花(雌花)が並び、中心に両性花の筒状花が複数ある。
花色は白や淡紅色が多いが、赤や黄色などの園芸品種も出回っている。床には膜質の鱗片がある。
花後、花床がふくれて円錐形になり、痩果は長さ2mmほどになる。

2006/8/5
八ヶ岳自然文化園の湿地で、サワヒヨドリと混生していました。
この辺りにはノコギリソウが咲いているのですが、葉が2回羽状複葉見えるので本種としました。
なお、葉の形状は、下記の胎内星まつりで見たものより、薬師池公園で見たものに近いです。


セイヨウノコギリソウの葉

     .
2017/7/29(胎内星まつり会場にて)
     .
2017/9/5(薬師池公園にて)
胎内星まつり会場で見かけたものと、薬師池公園で見かけたものです。
セイヨウノコギリソウの葉は、2〜3回羽状複葉に細裂して、裂片が細かいのが特徴です。
胎内星まつり会場のものは、葉が大きく伸びてばらけているので、構造が良く分かると思います。
薬師池公園のものは赤い花色のもので、セイヨウノコギリソウには赤や黄色といった園芸品種があります。


ハンゴンソウ(Senecio cannabifolius)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・キオン属>
   
キク科キオン属の多年草。
日本では、北海道から本州中部以北に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、樺太、カムチャツカ、アリューシャン、シベリア東部に分布する。
山地の湿った草地、湿原、林縁に自生し、草丈は2mに達する。
葉は、茎に互生し、葉柄を持つ。羽状で3〜7つに深裂する。
茎の上部に、黄色い頭花を散房状にたくさん付ける。

2013/8/3
八ヶ岳自然文化園の林を抜けた草原で、一際飛び抜けて黄色い花をたくさんつけていました。
場所的にあまり近づけない所でしたので、遠目からの撮影となっていましました。
そのため、花のアップの写真はありません。目いっぱい拡大したのでちょっとぼやけています。

 
2014/8/9
八ヶ岳自然文化園の林を抜けた草原で、ハンゴンソウをみつけました。
昨年のものより小さい株でしたが、近づける場所だったので、アップで撮影できました。
花の特徴が良く分かると思います。

コウリンカ(Tephroseris flammea var. glabrifolia)
<キク目・キク科・キク亜科・サワギク連・コウリンカ属>
   
キク科コウリンカ属の多年草で、在来種。明るい乾いた草原に生える。
本州の福島県から広島県まで分布し、本州中部に特に多い。
海外では、朝鮮半島に分布する。
草丈は50cmほどになり、茎は直立して、分枝しない。
7〜9月に、茎頂に散房状に花序を付け、10個前後の頭花を付ける。
濃赤橙色の舌状花を10個強付け、初め水平に開き、徐々に反り返る。

なお、九州には変種のタカネコウリンギクが、高山帯には別種のタカネコウリンカが分布する。

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内で、コウリンカを見つけました。
美ヶ原高原ではたくさん咲いているのを見かけましたが、ここで見たのは初めてです。

ユウガギク(Aster iinumae Kitam.)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・シオン属>
   
キク亜科シオン属の多年草で、日本固有種。
日本では、本州の近畿地方以北に分布する。
草丈は50〜150cmで、茎は上部で分枝して、長い側枝を横に広げるように出す。
葉は互生し、長さ7〜8pで、上部では長楕円形で鋭く浅く切れ込み、下部では羽状の中裂が入る。
花期は7月〜10月で、茎頂に散房花序を付け、直径25〜30mmの白から淡紫色の花を付ける。
痩果は長さ2.5mm前後で、冠毛は長さ0.3mmとごく短い。
ユウガギクは、「柚香菊」と書き、ユズの香りがするのが由来だが、あまり香りは強くない。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の林内の草むらで見かけました。
日当たりが悪いためか、徒長したようで、弱弱しい感じです。
この1輪だけが開花していて、他はまだつぼみのままでした。
ユウガギク、カントウヨメナ、ノコンギクは非常によく似ています。
本種は、根元に近い葉の切れ込み具合で判定しました。

   
2013/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内で、たまに見かけますが、数は多くないです。
この個体も1株だけでしたが、そのためか、なかなかしっかりした株でした。
葉の形状から、ユウガギクで間違いはないと思います。

カントウヨメナ(Aster yomena var. dentatus)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・シオン属>
 
キク科シオン属の多年草で、日本固有種。
日本では、本州の関東以北に分布する。
草丈は30〜100cmで、茎は細く、大きくなると直立できず、倒れることが多い。
葉は互生で、長楕円形で先が尖り、下部の葉には鋸歯があるが、上部の葉にはない。
東海地方以西に分布するヨメナより葉が薄く、鋸歯が荒く切れ込みが浅い。
茎の上部で枝別れし、枝先に1つずつ頭花を付ける。
花の直径は3cmほどで、舌状花は青紫色が多いが、白色のものもある。
中央の黄色い筒状花は、比較的数が多くて大きい。
痩果の冠毛は、長さ0.3mm程度とかなり短い。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の林内の草むらで見かけました。
綺麗な薄赤紫の花びらで、ポツンと一輪だけ花を咲かせていました。
この個体は、根元まで葉に鋸歯(葉の縁のギザギザ)がなく、葉の形による区別ができません。
ただ、花が1つの茎に1花しかないことから、カントウヨメナとしています。

   
2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内の草むらで見かけました。
やはり、根元の葉まで全く鋸歯が見られません。
林内の湿った所に生えていましたので、乾燥地を好むノコンギクではなく、やはりカントウヨメナに軍配です。


多摩川の土手で見たカントウヨメナ

     .
2012/8/4
多摩川の土手で見かけたカントウヨメナです。
花色は上記より淡い薄赤紫で、葉に鋸歯があるのが分かります。


ノコンギク(Aster microcephalus var. ovatus)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・シオン属>
   
キク亜科シオン属の多年草で、本州から四国、九州の山野に普通に分布する。
草丈は、50cm以上になり、茎は良く分枝する。茎には短毛が密生する。
葉の両面にも短毛があり、長楕円形で、3本の葉脈が目立つ。葉の縁には大きな鋸歯がある。
花茎の先に散房状に多数の白から淡青色の頭花を付ける。
地下茎を横に這わせて、あちこちから枝を出すので、まとまった群落を作りやすい。

2014/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内の草むらで、ちょっとした群落を見かけました。
ツボミの舌状花は淡青色ですが、開花すると色が淡くなって白色に近くなっています。
花茎の先に散房状に多数の花を付けていることや、葉の鋸歯の様子などから本種としました。

シラヤマギク(Aster scaber)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・シオン属>
 
キク科シオン属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布している。
海外では、朝鮮半島から中国に分布している。
草丈は1〜1.5mで、茎は高く伸び上がって上部で分枝し、短毛があってざらつく。
根出葉は、葉身は長さ10〜20cmの卵心形で、縁に粗い鋸歯があり、表裏に短毛がある。
長さ10〜15cmの長い葉柄があり、翼がある事が多い。なお、花時には枯れる。
上部の葉は、先が尖った卵形になり、上部になるほど小さく、葉柄も短くなる。
花期は8月〜11月で、茎の先端に粗い散房状に白花を多数付ける。
頭花は直径20mm前後で、舌状花は4〜9個と少なめ。数が一定せず、まばら。
総苞は直径5〜6mmの鐘形で、総苞片は3列が重なり、瓦を葺くように並ぶ。
痩果は長さ3mm前後で、長さ4mm前後の淡褐色を帯びた冠毛が付く。

2006/8/5
八ヶ岳自然文化園の林を抜けた草むらで見かけました。
他の野菊と比較すると、舌状花の数が少なく、かなりまばらな印象を受けます。
茎の上部で枝分かれして、散房状の花序を形成します。

 
2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内を散策中、通路脇で咲き始めたばかりのシラヤマギクを見つけました。
特徴的な卵心形の鋸歯のある大きな葉が、茎の下部に見られました。

ゴマナ(Aster scaber)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・シオン属>
   
キク科シオン属の多年草で、日本固有種。
日本では本州から四国、九州で見られる。北海道などで見られるエゾゴマナの変種。
草丈は1m以上になり、葉は互生。葉は15cm前後と大きく、先が尖り、鋸歯がある。
葉脈が深く、ゴマの葉に似ているため、それが和名の由来とされている。
茎先で多く枝分かれし、大きな散房花序になる。頭花は直径15mmほどで多数付く。
周辺の舌状花は雌性で多数あり、中心の筒状花は両性で黄色い。

2016/8/6
八ヶ岳自然文化園の駐車場脇の林縁で見かけました。
草丈は1mを超える高さで、茎の上部で多数枝分かれし、たくさんの花を付けていました。

ハルジオン(Erigeron philadelphicus)
<キク目・キク科・キク亜科・シオン連・ムカシヨモギ属>

キク科・ムカシヨモギ属の多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、大正時代に園芸種として入り、野生化して全国的に分布している。
草丈は30〜100cmで、茎は中空で長い軟毛が生えている。
根生葉は長さ30〜100oのへら形で、葉柄に翼があり、花期にも残る。茎葉は茎を半分ほど抱く。
花期は4月〜5月で、頭花は直径20〜25o。ツボミの時は花序が下に垂れる。
極細い舌状花は白〜淡紫色で、黄色い筒状化の周りにきれいに並び、100個以上ある。
舌状花、筒状花とも冠毛は3oほどあるが、外部からは見えず、2裂した花柱と筒状花の花冠のみが見える。
なお、ハルジオンは、春に咲く紫苑の意味で、同じような場所に生育するヒメジョオンと混同されやすい。
区別点は、蕾が下を向いていること、茎葉が半分茎を抱くこと、茎が中空であることで識別できる。
紛らわしい場合は、茎を折ってみれば一目瞭然で、中空であれば本種、中実であればヒメジョオンである。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の林を抜けた草原で見かけました。
どこに行ってもたいがい見られるハルジオンですが、人があまり入らないためか、綺麗に咲いていました。

ヒヨドリバナ(Eupatorium makinoi)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒヨドリバナ連・ヒヨドリバナ属>
 

 
キク科ヒヨドリバナ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国の日当たりの良い草原などに分布する。
海外では、朝鮮半島から中国にも分布する。
草丈は、2mに達するものもあり、葉は対生し、短い葉柄があり、卵状長楕円形で先がる。
花期は8月〜10月で、頭花は散房状に付き、少数の筒状花からなる。
白や淡紫色の花冠の先は浅く5裂し、花柱の先が分枝して長く伸び出す。

なお、よく似た花が幾つかあるが、葉の特徴から下記のように識別することができる。
ヒヨドリバナ
葉は対生し、短い葉柄がある
サワヒヨドリ
葉は対生し、葉柄がない。葉は3脈が目立つ
※ 3深裂〜3全裂して6個が輪生しているように見えることがある
ヨツバヒヨドリ
葉は4個(3個〜5個)が輪生する
フジバカマ
葉は対生して、下部では3深裂する

2012/8/3、8/4
富士見高原近くの道端や八ヶ岳自然文化園の林内の草地で見かけました。
茎の頂部に多数の頭花を付け、頭花からは髭のような細いものが伸びています。
この細いひも状のものは、雌蕊の花柱が二股に分かれて長く伸びたものです。
1つの頭花は、5個前後の筒状花からなり、その頭花が数十から数百集まって散房状花序を作っています。

   

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内には、ところどころでヒヨドリバナが見られます。
今年は、そのヒヨドリバナで吸蜜するアサギマダラに会えました。
何度見ても飽きないきれいで大きな蝶ですよね。


2018/8/4
八ヶ岳自然文化園の林内で見られたヒヨドリバナの大きな群落です。
群落は所々に見られますが、この群落はかなり大きく、たくさんのヒヨドリバナが花序を付けていました。

サワヒヨドリ(Eupatorium lindleyanum var. lindleyanum)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒヨドリバナ連・ヒヨドリバナ属>
   
キク科ヒヨドリバナ属の多年草で、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
草丈は80cm程になり、葉は無柄で対生し、鋸歯がある。
育ちの良い個体では、3深裂、3全裂し、6個が輪生しているように見えるものもある。
良く似たヒヨドリバナとは、一回り小さく、葉が細く、葉柄がない点で区別できる。
上部に散房状に多数の頭花を付ける。頭花は、5個の両性の筒状花からなるものが多い。
筒状花は、花冠の先が浅く5裂し、メシベの花柱は花冠から飛び出して、先端は2裂する。
花冠の花色は、淡い紅紫色を帯びたものが多いが、色の濃いものから白色のものまで変異が大きい。

よく似たヒヨドリバナなどとの識別点に関しては、こちらを参照ください。

2016/8/6
八ヶ岳自然文化園の林内の湿地で見かけました。
以前から生えているのは分かっていたのですが、ツボミばかりでした。
今回、一部の花がほころびかけていたので、撮影しました。
ツボミの時には赤みが強く出ますが、開花が進むと色が淡くなっていきます。

   
2018/8/4
八ヶ岳自然文化園の林内の湿地で見かけたサワヒヨドリです。
なかなか、開花している所を見ることができなかったのですが、今年は少し開花していました。
右端の写真では、下部の葉が3全裂して、6個の葉が輪生しているように見えます。
カセンソウ(Inula salicina var. asiatica)
<キク目・キク科・キク亜科・オグルマ連・オグルマ属>
   
キク科オグルマ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部、シベリア、モンゴルに分布する。
草丈は20〜80cmで、地下茎を長く伸ばして増え、茎は細くて硬く、直立して上部で分枝する。
根生葉は、長さ5cm前後の披針形で、花期の頃にはなくなる。
葉は互生し、中部の葉は長さ5〜8pの長楕円形〜披針形で、先が尖り、基部は茎を抱く。
葉は洋紙質で薄いが硬く、まばらな鋸歯がある。裏面は葉脈が明瞭に隆起して目立つ。
花期は6月〜9月で、黄色い頭花は枝先に1個ずつ上向きに付き、直径は35〜40mm。
総苞より下部に、葉状の苞が取り囲むように多数付く。
総苞は長さ10mm前後、幅20o前後の半球形で、総苞片は4〜5列並び、ほぼ同長。
外総苞片は長さ5〜7mmの披針形で、内総苞片は紫褐色を帯びる。
周辺に雌性の舌状花が35〜70個並び、中央には両性の筒状花が多数付き、筒部の先端は5裂する。
果実は痩果で、長さ1.5mmの褐色〜暗褐色の円柱形になり10肋がある。
褐色を帯びた冠毛は長さ8mmになり、毛は多数あってざらつく。

2018/8/4
八ヶ岳自然文化園の林縁で、初めて見かけた黄色いキク科の花です。
後で調べると、サワオグルマとかミズギクなど似たようなものがいろいろ出てきました。
しかし、葉の特徴とか頭花の付き方、特徴などから本種と判断しました。

オオガンクビソウ(Carpesium macrocephalum)
<キク目・キク科・キク亜科・オグルマ連・ガンクビソウ属>
   
キク科ヤブタバコ属の多年草。
日本では、北海道から本州の中部以北に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部にかけて分布する。
日本に自生するガンクビソウの中では、ずば抜けて大きな数cmの頭花を持つ。
その頭花の周囲を、これまた立派な総苞片が取り囲んでいる。
頭花は、ヒマワリの周囲の舌状花を取り払ったような感じで、他の花とは趣が異なる。

2013/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内で、初めて見かけました。
最初見たとき、花弁が見当たらないので、まだ、ツボミだと思っていました。
後で調べて、この状態が開花状態と知りましたが、何とも変わった花です。
ガンクビソウの名は、花の咲き方が煙管(キセル)の雁首に似ていることに由来します。
しかし、この大きさになると、とても雁首には見えません。パイプのボウルの方が近いかも。

オオハンゴンソウ(Rudbeckia laciniata)
<キク目・キク科・キク亜科・ヒマワリ連・オオハンゴンソウ属>

キク科オオハンゴンソウ属の多年草。環境省指定特定外来生物。
北米原産。日本や中国に帰化植物として移入分布している。
今では北海道から沖縄県まで日本全国に定着している。
花期は7月から9月頃で、計10〜14枚の花弁は黄色で細長く、やや垂れ下がっている。
葉には毛が生え触るとざらつく。高さは50〜300cm。
道端、荒地、畑地、河川敷、湿原などさまざまな環境に生育する。
現在では外来生物法により特定外来生物(第二次指定種)に指定されており、
許可なく栽培・保管・運搬・輸入・譲渡を行うことは禁止されている。
特に北日本や中部日本の高地で広く繁殖が確認されており、在来植物の生態系に影響を及ぼす恐れがある。

2006/8/6
八ヶ岳自然文化園の林内や八ヶ岳中央農業実践大学校への道路脇で大群落を作っていました。
大型の黄色い花が大量に群生していると、いやがうえにも目を引きます。

   
2011/8/7             2012/8/4             2012/8/4
2011/8/7 八ヶ岳自然文化園から樅の湯への道端でもちょっとした群落をつくっていました。
他の目立つ花がないので、車で走っていても目に止まります。
2012/8/4 八ヶ岳自然文化園の林を抜けた裏の空き地などにポツリポツリと生えていました。
花には、アブやハチが頻繁に給蜜に訪れていました。




2016/8/6
以前、大群落になっていたのですが、その後、除去されて少なくなっていたと記憶しています。
今年、以前とは異なる八ヶ岳自然文化園の林を抜けた所の小川の畔に、広範囲に群生していました。
この写真を見ると、一面が黄色く染まりなかなかの景観です。
しかし、これほどに繁殖すると、元来そこに生えていたはずの野草は駆逐されてしまいます。
これが、環境省指定特定外来生物に指定されている理由です。

※2017年に訪れたときには、この大群落は除草されてありませんでした。

メタカラコウ(Ligularia stenocephala)
<キク目・キク科・キク亜科・メタカラコウ属>
 
キク科メタカラコウ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では中国や台湾に分布する。
草丈は、60〜100cmで、山地や深山のやや湿った草地、林縁に自生する。
根生葉はフキに似た長い葉柄があり、長さ20〜40cmの三角状心形で、鋸歯がある。
茎葉は長さ3〜10cmほどの長楕円形で、基部は茎を抱く。
花期は6月〜9月で、花茎の先に総状花序を付け、黄色い頭花が下から上に咲き上る。
頭花の舌状花は1〜4個と少なく、筒状花は6〜11個ある。総苞は長さ10mm前後の狭い筒型。
痩果は長さ7mmほどの円柱形で、冠毛は褐色味を帯びる。
見た目はオタカラコウに似るが、葉の形がオタカラコウは腎円形で、メタカラコウより丸みがある。
また、オタカラコウは、花序がメタカラコウより短く、頭花が大きくて、舌状花が5〜9個と多い。

2017/8/6
八ヶ岳自然文化園を出たペンションの脇で、メタカラコウが花を付けていました。
最初見たときオタカラコウだと思ったのですが、葉の形が異なることに気づき、後で調べました。
その結果、葉の形状や頭花の舌状花の数からメタカラコウと分かりました。本種を見たのは初めてです。

ヤブレガサ(Syneilesis palmata)
<キク目・キク科・キク亜科・ヤブレガサ属>
   
キク科ヤブレガサ属の多年草で、在来種。
日本では、本州から四国、九州の山野の林下に生育する。
海外では、朝鮮半島に分布する。
草丈は、大きいものは1mを超えるが、若い個体は根出葉1枚のみで、花茎は出さない。
年を重ね、栄養が蓄積されると花茎を出す。茎は直立して分枝せず、数枚の茎葉が互生する。
葉身は円形で、直径40cm程あり、掌状に7〜9深裂する。裂片はさらに中裂し、鋸歯がある。
若葉が出た当初は、裂片が下に折れ曲がり、傘をすぼめたような形になる。
それがやぶれた傘に見えるのが、和名の由来とか。
花期は7月〜9月で、茎の先に円錐花序をなし、白色から淡紅色の頭花を付ける。
総苞は長さ10o程の筒状で、総苞片は5個、頭花は10個前後の小花からなる。
小花は両性の筒状花で、花冠は5裂し、花柱の先は2裂して反り返る。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の林内で見かけました。
葉の形に特徴があるので、葉だけはあちこちで見かけましたが、花が咲いているのは初めて見ました。
といっても地味な花なのと、完全には開花していませんでしたので、目立ちません。
葉は、直径が30cm〜50cmと大きな円形で、掌状に深く裂け、裂片が2中裂するものもあります。
若い個体は、この葉1枚のみで、年数が経つと高さが1m前後の花茎を出します。
3枚目の写真で、多くの葉が見えますが、多くは葉1枚の若い個体です。
その中の1個体のみが、花茎を出して花を付けていました。

花茎の先は、円錐花序となり、多くの頭花が付きます。
頭花には、白色から淡紅色の筒状花が10個前後集まっています。
まだ開いていないのですが、開くと花冠は5裂し、中から花柱が伸びて、先が2裂して反り返るそうです。

   
2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内で、ちょっとした群落をつくっているヤブレガサを見かけました。
筒状花の一部が開花し、花柱を伸ばしていました。花柱の先は2裂して反り返っていました。

ヤマハハコ(Anaphalis margaritacea)
<キク目・キク科・キク亜科・ヤマハハコ属>
 
キク科ヤマハハコ属の多年草で、在来種。
山地帯〜高山帯の日当たりのよい草地に自生する。
日本では、北海道から本州の長野県および石川県以北に分布する。
海外では、中国、ロシア、インド、ネパール、北アメリカに広く分布する。
地下茎を延ばして増え、全体に白色の綿毛で被われる。
葉は互生し、長さ5〜10cm、葉幅は10mm前後で、標高が高いほど葉幅は広くなる。
葉の表面はつやのある緑色で、裏面は灰白色の綿毛が密生し、全縁でやや裏面に巻き込む。
雌雄異株で、頭花は茎頂に散房状に付き、白い花弁のようなものは総苞片で、黄色い部分が花。
なお、雌株の筒状花は星形の花冠は目立たずメシベの花柱が糸のように細く伸びている。
一方、雄株の筒状花は星形の花冠がはっきり見え、伸び出した葯筒が見られる。

2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内で見かけました。
ヤマハハコかカワラハハコか迷って、葉の細長さや裏に巻き込む形状からカワラハハコとしていました。
しかし、その後、下記の花を見て、ヤマハハコと確信しました。そのため、ヤマハハコに変更しています。

 
2018/8/4
八ヶ岳自然文化園の林縁で、通路側に倒れ込むように枝を伸ばして咲いていました。
開花している花の特徴(5裂した筒状花から葯筒が出ている)から雄花と分かります。