八ヶ岳山麓 原村近辺の野草
和名インデックス |
アサマフウロ(Geranium soboliferum Komar.)
<フウロソウ目・フウロソウ科・フウロソウ属> フウロソウ科フウロソウ属の多年草で、在来種。 日本では、本州の中部地方に分布し、高原や亜高山の湿った草地などに生える。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。 草丈は50cmを超え、茎、葉柄、花柄に下向きに毛がある。 葉幅は10cm以下で掌状に深裂し、裂片はさらに深裂する。茎葉は互生する。 花期は8月〜9月で、花径は40mmくらい、花弁は5枚、オシベは10本。 花色は紅紫色で、花弁の基部に白色の軟毛が密生し、濃紅紫色の脈がある。 また、花弁の基部中央に白いぼかしが入ることがある。
2010/8/7
八ヶ岳自然文化園の湿地で見かけました。 はじめ、ハクサンフウロかと思っていたのですが、花色や大きさからアサマフウロとしました。 ただ、両種は似ているので、間違っているかもしれません。 2012/8/4 八ヶ岳自然文化園の同じ湿地で見かけました。 花弁は、鮮やかなショッキングピンクで、インパクトのある色合いです。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の湿地では、ことしもアサマフウロがたくさん花を付けていました。 周りに鮮やかな花がないので、一人気を吐いている感じですね。マクロでの撮影です。 2018/8/4 今年も八ヶ岳自然文化園の湿地で、アサマフウロがたくさん花を付けていました。 昨年の写真でも分かると思いますが、開花直後はオシベが放射状に開き、花柱はまとまっています。 咲き終わりに近くなると、葯は落下して無くなり、メシベの花柱の先が展開します。 | |||||||||||||
タチフウロ(Geranium krameri Franch. et Savat.)
<フウロソウ目・フウロソウ科・フウロソウ属> フウロソウ科フウロソウ属の多年草で、在来種。 日本では、本州の東北地方から中部地方と四国、九州に分布し、山地の草地などに生える。 海外では、朝鮮半島から中国東北部、シベリア東部にも分布する。 草丈は50cmを超え、茎、葉柄、花柄には下向きに毛が密集する。 葉幅は10cm以下で掌状に深裂し、裂片はさらに深裂する。葉柄はほとんどない。 花期は7月〜9月で、花径は30mmくらい、花弁は5枚、オシベは10本。 花色は淡紅紫色で、花弁の基部に軟毛が密生し、紅紫色の脈が半分ほどまである。
2006/8/6 八ヶ岳自然文化園の湿地で見かけたタチフウロです。 最初に見たときは、ハクサンフウロだろうと思っていましたが、花弁の濃い紫条の入り方が異なります。 そのため、調べなおして、タチフウロとしました。 2012/8/4 2013/8/2 2012/8/4 八ヶ岳自然文化園のアサマフウロとあまり離れていない場所で見かけました。 明らかに花弁の色が淡く、ハクサンフウロに近い色合いですが、紫条の入り方からタチフウロとしました。 なお、花弁の色以外は、アサマフウロと良く似ています。 2013/8/2 今年も同じ場で、アサマフウロが花を咲かせていました。 昨年よりもアップで撮影してみました。
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ゲンノショウコ(Geranium thunbergii)
<フウロソウ目・フウロソウ科・フウロソウ属> 2013/8/2 2013/8/2 2012/8/5
フウロソウ科フウロソウ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄まで広く分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾にも分布する。 草丈は、30〜40cm程度で、葉は互生する。 葉は掌状に3〜5裂し、長い葉柄の付け根に1対の托葉がある。 花期は5月〜8月で、花は葉腋から花柄を伸ばし2個付く。 花径は15mmくらいで、花弁と萼片は5個、オシベは10本、メシベの花柱は5裂する。 花弁の色は、西日本では紅紫色が多く、東日本では白色に近いものが多い。
2012/8/5 八ヶ岳自然文化園の林の中など、あちらこちらでゲンノショウコを見かけました。
見かけたゲンノショウコの花弁の色は、全て東日本系の白に近い薄紫色でした。 2013/8/2 今年も、八ヶ岳自然文化園の林の中などで、かわいらしい花を咲かせていました。 ゲンノショウコは、漢方薬ではないそうですが、ドクダミなどと共に民間薬の代表格です。
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ヒメフウロ(Geranium robertianum L.)
<フウロソウ目・フウロソウ科・フウロソウ属> フウロソウ科フウロソウ属の一年草で、在来種。 日本では、伊吹山など限られた地域に分布する。 海外では、アジア、ヨーロッパ、北アメリカなどの北半球の温帯域に広く分布する。 しかし、近年、観賞用のものが、北海道や本州で帰化している。 草丈は40cm程前後で、茎や葉柄には腺毛がある。 全体に特有の匂いがあり、これが塩を焼いたときの匂いに似ていることから、シオヤキソウの別名がある。 葉幅は7cmほどになり、3全裂し、裂片は細かく分裂する。葉は対生し、花期が終わると紅葉する。 花期は5月〜8月で、花径は15mmくらい、花弁は5枚、オシベは5本。 花色は淡紅紫色から赤紫色で、花弁に濃い2本のすじがある。 また、葯の色には、赤、淡紅紫色、黄の3種類がある。
2012/8/5
八ヶ岳自然文化園の入り口脇にある草地で見かけました。 ヒメフウロは、本来八ヶ岳では見られないため、これも観賞用のものと思われます。 見た目は、全く変わらないし、同じ種なので区別するのは難しそうです。 日本の在来種はレッドリストに、外来種はブルーリストに指定している所もあります。 | |||||||||||||
ノブドウ(Ampelopsis glandulosa var. heterophylla)
<ブドウ目・ブドウ科・Vitoideae亜科・ノブドウ属> ブドウ科ノブドウ属の落葉つる性木本で、在来種。 日本では北海道から本州、四国、九州まで全国で見られる。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシアにも分布する。 茎は基部が木質になり、ツルはくねくねと長く伸び、節が肥厚していることがある。 葉は互生し、直径5〜15pほどで、3〜5残裂する。 基部は心形で、鋸歯があり、表面は無毛で、裏面は淡緑色。 花期は8月花r10月で、葉に対生して集散花序を出し、淡緑色の花を多数付ける。 花の直径3oほどで、花弁は5個。オシベは5個で、蜜腺がある。果実は液果で、直径6o前後。 熟すにつれて色が白→青→紫→赤と変化するが、熟しても食用にはならない。
2017/8/5
八ヶ岳自然文化園林縁の通路脇で見かけたノブドウです。 まだ、花が咲き始めて間がないようで、果実は見当たりませんでした。 葉の切れ込みが深い「キレハノブドウ」と呼ばれるタイプのようです。 | |||||||||||||
アカバナ(Epilobium pyrricholophum)
<フトモモ目・アカバナ科・アカバナ属> アカバナ科アカバナ属の多年草。 日本では、北海道から本州、四国、九州と広く分布し、湿地などで生育する。 海外では、朝鮮半島や中国に分布する。 草丈は30〜70cmで、茎は上部でよく分枝し、細かい毛がある。 葉は上部を除いて対生し、葉身は長さ2〜6cmの卵状楕円形で、基部は茎を抱くことがある。 なお、茎や葉は赤みを帯びることが多い。 花期は7月〜9月で、葉腋に直径10mmほどの紅紫色の花を付ける。 花弁は4個で浅く2裂する。オシベは8個あり、内4個が長い。メシベの柱頭は根棒状。 花の基部には長さ3〜8cmの子房があり、4稜で、腺毛がある。 果実は刮ハで、長さ3〜8cmの4稜形で細長く、熟すと4裂する。
2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の林の中の湿地で見かけました。 花は、長い子房の先に付くので、長い花茎の先に花が付いているように見えます。 子房が長いことから想像がつくように、果実は細長い棒状になります。 なお、花は濃いめのピンクで、赤とは言い難いです。 しかし、秋に葉が真っ赤に紅葉するため、そこからこの名前が付いたとも言われています。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林内で群生している所がありました。 以前の写真は不明瞭な所がありましたので、100mmマクロで撮り直したものです。 | |||||||||||||
メマツヨイグサ(Oenothera biennis)
<フトモモ目・アカバナ科・マツヨイグサ属> アカバナ科マツヨイグサ属の越年草で、北米が原産地の帰化植物。 日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。 海外でも、アジア、南アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、アフリカと広範囲に分布する。 本来は、河原や山火事跡などの荒れ地や痩せ地に最初に生えるパイオニア植物である。 また、同じような環境の線路沿いとか路肩などでも見られる。 ただ、他の植物が成長してくると徐々に姿を消してしまうので、草地では見られない。 草丈は50〜150cmで、茎は赤色を帯び、下部からよく分枝して、上向きの毛が生えている。 秋に芽生えて、ロゼットで越冬するが、根生葉には柄があり、先が尖る。 茎葉は互生して葉柄はなく、葉身は長さ3〜6cmで、先が尖る。 なお、根生葉、茎葉とも、葉の縁には浅い鋸歯があり、中央脈は赤色を帯びることが多い。 花期は6月〜9月で、茎の上部に多数の花を付け、順次咲き上る。 花には花柄はなく、子房下位で、長さ3〜5cmの円柱状の萼筒とその基部に子房がある。 花は直径3〜4cmの黄色い4弁花で、萼片は4個、オシベは8個で、メシベの柱頭は4裂する。 花は1日花で、夕方に開花し、朝にはしぼみ始めるが、しぼんでも赤くならない。
2013/8/3
八ヶ岳自然文化園の林を抜けた空き地で見かけました。 一株だけポツンと生えており、黄色い花がうす暗い林をバックにして一際目立っていました。 朝は日が当らないので、花がしぼまずに残っていたのでしょう。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林を抜けた同じ場所で、今年もメマツヨイグサが花を付けていました。 徐々に草が増えていますので、いつかは消えてなくなるかもしれません。 | |||||||||||||
オオマツヨイグサ(Oenothera parviflora)
<フトモモ目・アカバナ科・マツヨイグサ属> アカバナ科マツヨイグサ属の越年草で、北米が原産地の帰化植物。 ヨーロッパなど世界で広く栽培され、日本には明治の初めに観賞用として移入された。 草丈は80〜150cmで、茎は直立して、開出した剛毛ががあり、その基部は暗赤色を帯びる。 根生葉は倒卵形で、鈍頭。茎葉は長さ6〜15cmの長楕円形で、先が尖り、縁は波打つ。 花期は7月〜9月で、茎の上部の葉腋に1つずつ、多数の花を付け、順次咲き上る。 花には花柄はなく、子房下位で、長さ3〜5cmの円柱状の萼筒とその基部に子房がある。 花は直径6〜8cmの黄色い4弁花で、萼片は4個、オシベは8個で、メシベの柱頭は4裂する。 花は1日花で、夕方に開花し、朝にはしぼみ始めるが、しぼんでも赤くならない。
2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林を抜けた空き地で、メマツヨイグサとは反対側で見かけました。 一株だけポツンと生えており、その大きさが一際目立っていました。 最初、メマツヨイグサかと思ったのですが、ツボミの形状が、スラっと先が伸びてスマートです。 あとで、念のために確認した結果、オオマツヨイグサと判断しました。 | |||||||||||||
ミズタマソウ(Circaea mollis)
<フトモモ目・アカバナ科・ミズタマソウ属> アカバナ科ミズタマソウ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と広く分布する。 海外では、朝鮮半島、中国、インドシナ半島にも広く分布している。 草丈は30〜60cmほどで、地下に匐枝を伸ばして広がり、茎は直立する。 葉は対生して、長さ3〜15cm程の卵状長楕円形で、長い葉柄がある。 花期は8月〜9月で、茎頂や葉腋に総状花序を出して、小花を付ける。 花の直径は5mmほどで、2裂した白い花弁が2個向き合って付く。 緑色の萼片は花弁より大きく、2個が向き合って付き、花弁と十字形になる。 オシベは2個で、萼片の上に付く。メシベの柱頭は2裂する。 果実は長さ3o前後の少し扁平な球形の堅果で、4本の縦溝があり、かぎ状毛が密生する。
2012/8/20
八ヶ岳自然文化園からの帰りに立ち寄った、サントリー白州蒸留所の保全林内で見つけました。 花はちいさくて、白い2裂した2枚の花弁と、その後ろに付く丸い子房が特徴です。 花後、子房が丸く熟した果実の表面にはかぎ状の白毛が密生します。 これを露の水玉に見立てての命名とのことです。 | |||||||||||||
エゾミソハギ(Lythrum anceps)
<フトモモ目・ミソハギ科・ミソハギ属> ミソハギ科ミソハギ属の多年草で、ユーラシア大陸や北アフリカに広く分布する。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、湿地に見られる。 欧米では、観賞用に栽培されている。 草丈は50〜150cmで、茎は上部で分枝し、茎や葉、花序などに短毛がある。 葉は対生か3枚の輪生で、葉身は長さ2〜10cmの披針形で、全縁。基部は茎を抱く。 花期は7月〜8月で、多数の枝先に穂状花序を付け、多くの紅紫色の花を付ける。 花の直径は20oほどで、花弁は5〜6個が多く、同数の萼片と付属体が交互にある。 萼片は三角形で、付属体は針状で直立する。オシベは12個で、内6個が長い。 花後、萼片が閉じて、萼筒に蓋をするが、付属体は直立したままになる。
2010/8/7
八ヶ岳自然文化園の林の中の湿地で見かけました。 葉が、茎を抱くように付いているので、エゾミソハギとしました。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林の中の湿地のあちらこちらで、エゾミソハギが花を付けていました。 今年、ミソハギを見る機会があり、下記のように両者の違いを改めて認識しました。 2018/8/4 今年のエゾミソハギは、昨年よりも咲き進んでいるようでした。 アップでの撮影がしやすい所に咲いていたので、マクロで撮影してみました。
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シラカンバ(Betula platyphylla var. japonica)
<ブナ目・カバノキ科・カバノキ亜科・カバノキ属> カバノキ科カバノキ属の落葉樹で、在来種。別名のシラカバの方がなじみがあるかもしれません。 樹皮が白いことが名前の由来であるが、樹皮がはげた後は黒くなる。 温帯から亜寒帯に多い樹種で、基変種はコウアンシラカンバ。日本産はその変種である。 日本産変種は、北海道から本州中部(福井県、静岡県)以北の落葉広葉樹林帯と亜高山帯下部に分布する。 基亜種やその近縁のオウシュウシラカンバは、アジア北東部、シベリア、ヨーロッパの広範囲に分布する。 5月頃に雄花の花穂が垂れ下がり、大量の花粉を飛ばすため、花粉症の要因になる。
2008/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内には、多くのシラカンバが自生しています。 幹が白いので、遠目からでもそれと分かり、高原のイメージが強い樹種です。 ただ、花粉症の元凶の1つとしての顔もあり、人によっては近づきたくない樹でもあります。 ※ 幹についているのは、エゾゼミの抜け殻です。この辺りには多いセミです。 | |||||||||||||
オミナエシ(Patrinia scabiosifolia)
<マツムシソウ目・スイカズラ科・オミナエシ属> スイカズラ科オミナエシ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と、沖縄以外の地域に分布している。 日本以外では、朝鮮半島から中国、東シベリアにかけて分布する。 秋の七草の1つで、よく栽培されているが、自生するものは少なく、なかなか見られい。 草丈は60〜100cm程度で、根茎が横に這って増える。茎は直立し、上部でよく分枝する。 葉は対生し、長さ10p程で羽状に裂ける。葉柄は数p〜10cmほど。 花期は8〜10月で、茎先に散房花序を付け、直径数oの黄色い花を多数付ける。 花冠は5裂して筒部は短い。オシベは4個、花柱は1個。
2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の林縁の草地で見かけました。 言わずと知れた秋の七草の1つですが、咲き出すのは意外と速く、8月には開花が始まります。 花は小さいですが、鮮やかな黄色で、多数の小花が集まっているので、よく目立ちます。 2013/8/2 八ヶ岳自然文化園の林内で見かけたオミナエシです。 まだ、咲き始めたばかりようで、ちらほらと花が開いている状態でした。 2018/8/4 八ヶ岳自然文化園の林内で、通路の直ぐ脇に咲いていました。五分咲きといった所でしょうか。 この日は風がほとんどなかったので、マクロでの撮影ができました。 | |||||||||||||
キンギンボク(Lonicera morrowii)
<マツムシソウ目・スイカズラ科・スイカズラ属> スイカズラ科スイカズラ属の落葉低木。別名、ヒョウタンボク(瓢箪木)。 日本では、北海道西南部、本州の東北地方および日本海側に分布する。 日本以外では、鬱陵島(朝鮮)に自生する。 樹高は2m程になり、細かく分枝する。葉は対生し、長さは5p程になり、楕円形で葉先は鈍頭。 歯の表面にはしわがあり、裏面には軟毛が密生する。歯の縁は全縁。 花期は4〜6月で、葉腋から10o前後の花柄を出し、2花を付ける。 花冠は5裂し、1裂片が下向き、4裂片が上向きになり、オシベは5本。 花色は白色から黄色に変化するため、2色が混在する。これがキンギンボクの和名の由来。 果実は、2果がくっついたヒョウタンのような形になるが、これが別名の由来。
2016/8/6
八ヶ岳自然文化園の林内の沼のほとりで、赤い果実を付けた木を見つけました。 果実が2個くっつき、ヒョウタンのようになっているので、ヒョウタンボクと分かりました。 当然、花の時期は過ぎているので、どのような花かは分かりません。 ただ、白から黄色に色が変わるのはスイカズラと同じなので、似ていると思います。 | |||||||||||||
クサフジ(Vicia cracca)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ソラマメ連・ソラマメ属> 2006/8/5 2011/8/7
マメ科ソラマメ属の蔓性多年草で、北半球の温帯から亜寒帯に広く分布している。
日本では、北海道から本州、四国、九州と広く分布する。 和名の由来は、葉と花がフジに似ていることに由来する。 草丈は80〜150cmで、茎は角張り、細かい毛がある。 葉は互生し、偶数羽状複葉で、葉先は枝分かれして巻ひげとなる。小葉は5〜12対。 花期は5月〜9月と長く、上部の葉腋から10p程の総状花序には数十個の蝶形花を付ける。 花冠は長さ10o前後で、紫色から赤紫色。下向きに垂れ下って咲く。 翼弁は竜骨弁と同長かそれ以上ある。旗弁の筒状部はその先の舷部と同じかそれより短い。 萼は5裂し、下部の1歯が特に長い。花柄は萼筒の先、やや下側に付く。
2006/8/5 八ヶ岳自然文化園林を抜けた先の草原でちょっとした群落をつくっていました。
咲きはじめは淡い赤紫の花ですが、時間がたつと淡い青紫に変わって行きます。 2011/8/7 八ヶ岳自然文化園から樅の湯の方に向かう道路脇の草原で見かけました。 ハルジオンの茎に巻ひげを絡めて、伸びていました。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林を抜けた先の草原で、今年もクサフジがたくさん花を付けていました。 いままでアップの良い写真がなかったので、100oマクロで撮り直したものです。 | |||||||||||||
ヤマハギ(Lespedeza bicolor)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ヌスビトハギ連・ハギ亜連・ハギ属・ヤマハギ亜属>
マメ科ハギ属の落葉低木で、在来種。秋の七草の1つ。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、ウスリー川辺りまで分布ている。 樹高は1〜3mで、根元から多数の細い枝を出し、先で多数に分枝する。 葉は互生し、3出羽状複葉で、小葉は長さ数cmの楕円形。 小葉の先は丸くなるが、主脈の先が髭のように尖り、飛び出るものもある。 花期は、7〜10月で、花序は基部の葉より長い花柄を出して、多数の花を付ける。 花冠は淡紅紫色で、長さ10oほど。旗弁は翼弁や竜骨弁より長く、竜骨弁は翼弁より長い。 萼は4裂し、上側の萼歯は浅く2裂する。萼歯は萼筒よりも短い。 豆果は、長さ6o前後で、扁平で丸い。種子は1個だけ入っている。
2009/8/9
八ヶ岳自然文化園の林縁で見かけたヤマハギです。 七分咲きといったところでしょうか。秋の七草ですが、夏から咲き始めます。 ※ 行方不明だった2009年のデータが見つかったので追加しました。 2012/6/25 2012/6/25 2016/8/6 2012/6/25 八ヶ岳自然文化園の林縁で見かけました。 植栽として植えられたものと思われます。 2016/8/6 葉の様子が分かりづらかったので、追加しました。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林縁のあちらこちらで、ヤマハギが花を付けていました。 アップの良い写真がなかったので、100oマクロで撮り直したものです。 | |||||||||||||
ヌスビトハギ(Desmodium podocarpum subsp. Oxyphyllum)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ヌスビトハギ連・ヌスビトハギ亜連・ヌスビトハギ属>
2012/8/4 2012/8/4 2013/8/2
マメ科ヌスビトハギ属の多年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、東南アジアの一部に分布する。 草丈は1m前後になり、根元はやや木質化する。葉は、互生し、3出複葉になる。 花期は7〜9月で、淡紅色の花は、細長い花序にまばらに付く。 節果は、2個の小節果よりなり、半円形。 その形が盗人の抜き足差し足の足跡に似るのが、和名の由来。
2012/8/4 八ヶ岳自然文化園の林の中の開けた草地で見かけました。
花は数mmと小さく、まばらに付いているので、あまり目立ちません。 しかし、その果実は独特な形をしたひっつき虫で、花より大きいので目立ちます。 撮影が8月の初めでしたので、まだ、果実はできていませんでした。 2013/8/2 八ヶ岳自然文化園の林内で、咲き始めて間のないヌスビトハギを見かけました。 花が小さいので、手持ちでの撮影では、どうしてもピントが甘くなってしまいます。 2014/8/9 2014/8/9 2016/8/6 2014/8/9八ヶ岳自然文化園の林内で見かけたヌスビトハギです。 ツボミから果実まで、いろいろな段階のものが見られ、各々の部分を拡大しました。 中央の写真では、花後、枯れた花弁の中から果実が成長を初め、先の方が見えています。 2016/8/6 右端は果実ですが、通常、果実は2個の節果で構成され、1つの節果に種子が1個入っています。 成熟すると節の所で簡単に離れ、表面のかぎ状の毛で人や動物に張り付くひっつき虫の1つです。 名前の「ヌスビト」は、この果実の形が、抜き足差し足で忍び込む盗人の足跡に似ていることに由来します。 | |||||||||||||
タマザキクサフジ(Coronilla varia)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ミヤコグサ連・タマザキクサフジ属> ヨーロッパを原産のマメ科タマザキクサフジ属の蔓性多年草。別名はクラウンベッチ。 現在、日本以外でも北アメリカ、中近東に定着している。 牧草や下草、グランドカバー用に輸入されたものが野生化している。 茎は斜上もしくは匍匐して、1m前後まで伸びる。 葉は互生し、奇数羽状複葉で、小葉は長さ10〜20oの長楕円形。 花期は5月〜7月で、花はマメ科特有の口唇花が多数固まって球状に付く。 花色は、上弁が桃色で下弁が白の2色咲き。
2012/8/5
八ヶ岳自然文化園からペンション村への道路脇で、ちょっとした群落をつくっていました。 上弁が桃色で下弁が白色のきれいな花が多数集まって咲いているのは、ゲンゲに似ています。 ただ、花からマメ科の植物とは分かりますが、同定には至りませんでした。 2013/8/3 昨年と同じ場所で、群落をつくっていましたが、昨年よりも規模は大きくなったようです。 昨年は同定する事ができなかったのですが、他の植物を調べていて、本種と判明しました。 2017/8/6 八ヶ岳自然文化園からペンション村への道路脇で、今年もタマザキクサフジが繁茂していました。 アップの良い写真がなかったので、100oマクロで撮り直したものです。 | |||||||||||||
ミヤコグサ(Lotus japonicus)
<マメ目・マメ科・マメ亜科・ミヤコグサ連・ミヤコグサ属> マメ科ミヤコグサ属の多年草で、在来種。道端から海岸沿いまで、日当たりの良い背の低い草原などに多い。 日本では北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。海外ではインド以東の東アジアに広く分布する。 なお、元来は史前帰化植物で、ムギ類の栽培に付随して持ち込まれたと推測されている。 茎は根元で分枝して、地を這い、15〜35cmに伸びて、横に広がる。 葉は奇数羽状複葉で、5個の小葉からなるが、2枚は基部にあって托葉のように見える。 花期は5月〜6月で、葉腋から花茎を立ち上げ、その先に1〜4個の蝶形花を固まって付ける。 その花の基部には3個の総苞があり、その形は普通の葉と同じ形状をしている。 萼は筒状で、先は裂ける。黄色い花は長さ10〜15mmで、2個の竜骨弁は合着して筒状。 豆果は長さ20〜35oほどの円柱形で、熟すと2裂してねじれ、黒い種子を弾き飛ばす。
2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内の通路脇で見かけたミヤコグサです。 よく似たセイヨウミヤコグサがあるのですが、花数の少なさから本種としました。 | |||||||||||||
ノリウツギ(Hydrangea paniculata )
<ミズキ目・アジサイ科・アジサイ属> アジサイ科アジサイ属の落葉低木で、在来種。 日本では北海道から本州、四国、九州に分布し、山地の林縁などに自生する。 花はよく目立ち、ハナカミキリなどの訪花性の昆虫がたくさん集まる。 和名の由来は樹皮に含まれる粘液を和紙製造の糊に用いたことに由来する。 樹高は数mになり、幹は灰褐色で、樹皮は縦にうすくはがれる。 葉は、対生または輪生し、長さ5〜15pほどの細長い卵形で、縁に細かい鋸歯がある。 花期は7月〜9月で、長さ10〜30cmの円錐花序に白い花を多数付ける。 装飾花の萼片は長さ15o前後の楕円形で、3〜5個ある。 両性花の花弁は長さ数oで、4〜5個あり、平開する。オシベは10個、メシベの花柱は3個ある。
2011/8/6
八ヶ岳自然文化園の芝生広場の端で見かけました。 ハナムグリや何種類かのハナカミキリ、アシナガバチなどがよく集まっていました。 多くの両性化に大きな花弁を持つ装飾花が混ざり、アジサイの仲間と分かります。 | |||||||||||||
カラコギカエデ(Acer ginnala Maxim.)
<ムクロジ目・ムクロジ科・カエデ属> ムクロジ科カエデ属の落葉小高木で、日本では北海道から本州、四国、九州と広く分布する。 日本以外では、アジア北東部に分布する。 樹皮は灰褐色で、縦に不規則に割れ、それが剥がれて鹿の子模様になる。 カラコギカエデの葉は3裂するものと、しないものがある。 花は、枝先に円錐花序を出し、一つの花序に雄花と雌花が混在する。 花は淡黄緑色で、果実は翼果となる。
2013/8/3
八ヶ岳自然文化園の林を抜けた所にある小川の脇で見かけました。 遠目には、赤い花が咲いているように見えましたので、近づいて良く見ると果実でした。 翼果の翼が赤く色づいて、たくさん付いていたので花のように見えたものでした。 それにしても非常にたくさんの果実を付けていました。 この個体の葉は、3裂しないタイプのようで、カエデの仲間には見えませんでした。 | |||||||||||||
ハグマノキ (白熊の木)(Cotinus coggygria)
<ムクロジ目・ウルシ科・ハグマノキ属> ウルシ科ハグマノキ属の落葉小高木で、中国、ヒマラヤ、ヨーロッパ南部などが原産地。 日本には明治時代の初期に渡来し、庭木や公園樹として植栽されるようになった。 樹高は3〜8mで、幹からは染料が採れ、樹皮からはタンニンが採れる。 葉は互生し、長さ3〜8pの卵形の単葉で、枝先に固まって付く。 花期は5月〜7月で、枝先に円錐花序を付け、小さな淡緑色の花をたくさん付ける。 花は直径3oほどの5弁花で、萼片やオシベも各々5個ある。 雌雄異株で、雌株は不稔花の花柄が長く伸びて羽毛のようになる。雄株では果柄は伸びない。 この花柄が羽毛のように伸びて、綿菓子のようになると、遠くからは煙のように見える。 その様をハグマ(ヤクのしっぽの白毛)で作られた仏具の払子に見立てたのが和名の由来。 なお、英名は「スモークツリー(smoke tree)」で、その訳である「ケムリノキ」の方が通りが良い。 花の後にできる果実は、小さな卵形の核果で、少数が結実する。
2017/8/6
八ヶ岳自然文化園を出たペンション村の庭先で、淡赤紫色の本種を見かけました。 樹高が低く、ちょうど撮影しやすい高さだったので、100oマクロで撮影させてもらいました。 順次アップで撮影しましたが、右端のように花柄に付いている大量の長毛が、モフモフ感の要因です。 少し離れると、長毛が視認できなくなり、もやっとした感じに変わります。 それがたくさん集まると、樹が煙に包まれたように見えるということです。 | |||||||||||||
オニルリソウ(Cynoglossum asperrimum)
<ムラサキ目・ムラサキ科・オオルリソウ属> ムラサキ科オオルリソウ属の越年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、海外では朝鮮半島に分布する。 草丈は40〜120cmで、全体に粗い開出毛が多く、よく分枝する。 根生葉は長い葉柄があり、その状態で越冬するが、開花時には無くなる。 茎葉は互生し、長さ5〜20cmの長楕円披針形で、葉柄は短いか無い。 葉身は、基部は楔型で、先は鋭く尖り、疎らに細かい伏し毛があって、縁は全縁である。 花期は6月〜8月で、茎上部でよく分枝し、サソリ型花序(ぐるっと巻いた花序)を付ける。 花は花序にまばらに付き、下から咲き上りながら花序を伸ばし、斜上する。 花冠は淡青紫色〜青色で、直径4〜5mm。花冠は5裂して、裂片は卵円形で濃色の筋模様がある。 裂片の喉部に鱗片状の付属体がある。オシベは5個、メシベ1個である。 萼も5深裂して、裂片は長三角状楕円形で、果期には大きく反り返る。 果実は4分果で、分果は長さ3〜4mmのほぼ球形、表面に鉤(かぎ)状毛が密生する。
2019/8/3 八ヶ岳自然文化園の林内の通路脇で見かけたオニルリソウです。 葉の大きさや草丈からすると、不釣り合いなほどに花は小さくて、直径は5mmほどしかありません。 注意していないと見過ごしそうな大きさですが、ムラサキ科の花の特徴が良く出ています。
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ヒレハリソウ(Symphytum officinale)
<ムラサキ目・ムラサキ科・ヒレハリソウ属> ムラサキ科ヒレハリソウ属の多年草で、ヨーロッパ・西アジア(コーカサス地方)原産の帰化植物。 日本では、北海道から本州、四国、九州と広く帰化して、分布しています。 ヒレハリソウという和名より、コンフリーという英名の方がよく知られている。 草丈は1m程になり、茎はよく分岐して全体に白い粗毛がある。 葉は互生し、長楕円形で全縁。根生葉には長い葉柄がある。 花は夏から秋にかけて咲き、花色は紫色、淡紅色、白色のものがある。 花は筒状で中程で絞られ、その先は少しふくれて先端は5裂する。 筒状の花弁の内部には、5本の雄しべがあり、細長い三角形の付属体が付く。 ヨーロッパでは、古くから伝統的な薬草として利用されている。 日本でも一時期、健康食品として一大ブームとなったが、肝障害が報告されて販売禁止となった。 ※ コンフリーの詳細は、厚生労働省のこちらをご覧ください。
2009/8/9
八ヶ岳自然文化園の林を抜けた所で、大きく葉を広げ、淡紫色の小さな花を付けていました。 ヒレハリソウという和名より、コンフリーという英名の方が通りが良いかもしれません。 ヨーロッパでは、古くから伝統的な薬草として伝統的に利用されています。 日本でも一時期、健康食品としてブームになりましたが、肝障害が報告されて、現在は販売禁止です。 ※ 行方不明だった2009年のデータが見つかったので追加しました。 2012/5/16 八ヶ岳自然文化園の林を抜けた裏の炭焼き釜の近くで大きな株になっていました。 以前に同じところで見かけたので、毎年、ここで花を付けているようです。 | |||||||||||||
キリンソウ(Phedimus aizoon var. floribundus)
<ユキノシタ目・ベンケイソウ科・ウムビリクス連・キリンソウ属> ベンケイソウ科キリンソウ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国の日当たりの良い岩場などに分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、シベリア東部に分布する。 草丈は30cmくらいまでで、葉は互生し、肉厚。 葉の長さ5p前後で、長楕円形。葉の中央から先端にかけて鋸歯がある。 花期は5月〜8月で、茎頂に平らな集散花序を付け、直径10mm強の黄色い花を多数付ける。 花弁は披針形で、花弁、萼片とも5枚、オシベは10本ある。
2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内の通路脇で、咲き終わりに近いキリンソウを見つけました。 最外周の花が何とか残っている状態で、その内側は子房が大きくなり始めていました。 中心部の方は、すっかり緑色に変わってしまっています。 | |||||||||||||
チダケサシ(Astilbe microphylla)
<ユキノシタ目・ユキノシタ科・チダケサシ属> ユキノシタ科チダケサシ属の多年草で、在来種。 日本では、本州から四国、九州に分布する。海外では、東アジアや北アメリカに分布する。 草丈は40〜80cmで、根茎は太く斜上する。葉は2〜4回奇数羽状複葉で深裂する。 小葉は長さ2〜4cmの楕円形で、幅は1〜2cm。葉先は鈍頭で、縁には不揃いな重鋸歯がある。 花期は7月〜8月で、長く伸びた花茎の先に複総状花序を付ける。花序の分枝の間隔は開き、側枝は短い。 その花序枝に花が密に付き、花序軸や花序枝には腺毛が密生する。 5個の花弁は細いへら状で、淡紅紫色〜白色、長さが雄しべと同長かやや長く、3〜5o。 雄しべは10個で、長さ3o。葯は淡紅紫色〜淡青紫色。
2010/8/7、2011/8/6
八ヶ岳自然文化園では、林内の湿地の周りや林を抜けた草地など、あちらこちらで見かけます。 この写真のチダケサシは、林内の湿地の近くで見かけたもので、後ろにサワギキョウが写っています。 花茎を真っ直ぐにのばし、先に円錐状の花序を付け、個々の花茎にびっしりと小花を付けますます。 個々の花は、細長いへら状の淡紅紫色の花弁が5枚、葯は淡紅紫色から淡青紫色です。 花弁の色は、白に近いものもあるそうですが、ここの個体は淡紅紫色でした。 2017/8/5 2016/8/6 2017/8/5 2017/8/5 2017/8/5 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園で見かけるチダケサシには、淡紅紫色の個体と白色の個体があります。 多いのは淡紅紫色の方ですが、ときどき白花を見かけることがあります。 | |||||||||||||
ウバユリ(Cardiocrinum cordatum)
<ユリ目・ユリ科・ウバユリ属> ユリ科ウバユリ属の多年草で、日本固有種。 関東以西の太平洋側および長野県、四国、九州に分布する。 草丈は60〜100cmで、鱗茎があり、茎は直立しする。 下部(基部ではない)に、長い葉柄のある葉を5〜6個輪生する。 葉身は長さ20cm前後、網状脈の卵状楕円形で、基部は心形で先は鈍形。 花期は7月〜8月で、十分に大きな鱗茎の場合、中心から中空の茎を真っすぐに立ち上げる。 茎葉は小さく、中ほどに数個付く。茎の頂部に花を数個〜8個ほど、横向きに付ける。 花色は緑白色で、長さは12〜17cmの細長い6個の花被片が、筒状に付き、先が少し開く程度。 6個のオシベの花糸は長さが少しずつ異なる。メシベの花柱は長く、柱頭は三角状。
2009/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内で、ポツンと1株だけ、ウバユリが咲いていました。 この辺りはウバユリもオオウバユリも分布する地域ですが、大きさと花数からウバユリとしました。 少し花の盛りを過ぎているようで、若干、傷み始めていました。 ※ 行方不明だった2009年のデータが見つかったので追加しました。 2012/8/5 八ヶ岳自然文化園からペンション村への道で見かけました。 既に花の盛りは過ぎて、いささかみすぼらしい状態ですが、特徴は見てとれると思います。 他のユリと違って、あまり開かず、最上部の花が最も開いた状態です。 2013/8/3 昨年は八ヶ岳自然文化園の外で見かけただけですが、今年は林内で数株見かけました。 比較的明るいところでは花も終わりに近かったのですが、うす暗い所では未開花でした。 昨年の写真と比較すると、花弁が若々しい色をしているのが分かります。 | |||||||||||||
タマガワホトトギス(Tricyrtis latifolia Maxim.)
<ユリ目・ユリ科・ホトトギス属> ユリ科・ホトトギス属の多年草で、日本固有種。 和名のタマガワは、黄色いヤマブキの名所である京都の木津川の支流である玉川に因む。 日本では、本州から四国、九州に分布し、山地の沢沿いや林内などの湿った場所に生育する。 草丈は30〜80cmで、茎は葉の部分で多少ジグザクに曲がり、直立または斜上する。 葉は互生し、葉身は長さ8〜18cmの広楕円形で、先は急激に尖り、基部は心形で、茎を抱く。 植物体全体に毛は少なく、花茎以外の葉や茎などはほとんど無毛である。 花期は7月〜9月で、上部の葉腋や茎先に散房花序を付け、上向きに花を付ける。 花は直径20〜25oで、長さ20o前後の花被片6個は斜めに開き、平開はしない。 6個の内外花被片の花色は黄色で、内側に紫褐色の斑点がある。 内花被片3個は長楕円形で、外花被片3個の長楕円形でありが、内花被片より幅は広い。 なお、外花被片の基部には袋状の膨らみがある。 オシベ6個の花糸は、寄り添って立ち上がり、上部で反り返って、葯を外向きに付ける。 メシベの花柱は上部で3裂して、その先でさらに2裂して反り返る。 花柱の縁には、水滴状の小さな腺毛状突起が多数付いている。 果実は刮ハで、披針形で3稜があり、熟すと裂開する。
2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内を散策中、通路脇に黄色い花を付けたホトトギスを見つけました。 この場所には何回も来ているのですが、黄色いホトトギスを見たのは初めてです。 というか、紫系のホトトギスはよく見かけるのですが、黄色いホトトギスは初めて見ました。 後で調べると、黄色いホトトギスは種類が多く、その中で花の特徴から本種と分かりました。 ツボミも少しありましたが、咲き終わった花が多く、花期としてはほぼ終盤で、果実も多かったです。 今年は、他の花も含めて咲く時期が少し遅めのようで、そのために見ることができたようです。 紫系のホトトギスも好きな花ですが、黄色いホトトギスもインパクトがあって良いですね。 | |||||||||||||
ヤマホトトギス(Tricyrtis macropoda Miq.)
<ユリ目・ユリ科・ホトトギス属> ユリ科・ホトトギス属の多年草で、在来種。 日本では、関東以西の太平洋側および長野県に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国にも分布する。 葉は互生し、葉身は長さ10〜20cmの長楕円形で、先は尖り、縁は多少波打つ。 芽生えの頃の葉と基部の葉に黒っぽい斑点(油点)が多くある。 花期は7月〜9月で、茎頂や上部の葉腋に散房花序を出し、上向きの花を数個付ける。 花は直径20o程で、6個の花被片は反り返り、白地に紅紫色の斑点がある。 なお、他のホトトギス属に見られる花被片基部の黄色い斑紋はない。 花の中心から3個の花柱が、10o程立ち上がって横に広がり、さらに柱頭は2裂する。 それを取り囲むように6個のオシベが同様に立ち上がり、メシベの下で横に湾曲する。 花糸の外面や花柱の基部には、斑点があるものや無いものがある。
2012/8/5 八ヶ岳自然文化園から帰路に立ち寄ったサントリー白州蒸留所の保全林で見かけました。 ヤマホトトギスは、葉腋に花を付ける他のホトトギス属と異なり、茎の先から花序を伸ばして花を咲かせます。 花被片は、強く反り返り、水平よりも下まで反り返ります。 良く似たヤマジノホトトギスは水平くらいまでしか反り返りません。 また、中央から立ち上がっているオシベに紫斑点があるのがヤマホトトギスで、ないのがヤマジノホトトギスです。 しかし、この写真のように紫斑点のないものもあるので、花の付き方と花被片の反り方で判断した方がよさそうです。
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コオニユリ(Lilium leichtlinii)
<ユリ目・ユリ科・ユリ属> ユリ科ユリ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、ロシアに分布する。 草丈は100〜150cmで、茎は直立する。茎には若い時には綿毛があるが、後に無くなる。 葉は互生し、長さ8〜15cmの狭披針形で、先は尖り、葉柄はない。 花期は7月〜9月で、茎の上部に数個〜10個ほどの花を下向きに付ける。 花の直径は10cmくらいまでで、花被片は6個。橙色の地に黒紫色の濃斑が多数ある。 花被片は大きく反り返り、長いオシベ6個とメシベ1個が突き出す。葯は黒紫色で大きい。 刮ハは、長さ3〜4cm程の円柱状で、6稜があり、熟すと3裂する。 良く似た花には、オニユリとクルマユリがあり、植物体の形状はオニユリとそっくりである。 ただ、大きな違いがあり、オニユリには暗紫色のムカゴがあるが、コオニユリにはない。 逆にオニユリは種子を作らないが、コオニユリは上記の通り種子を付ける。 そのため、コオニユリは実生から開花までに6〜8年を要し、オニユリは3年ほどで開花する。 クルマユリは花こそ似ているが、その葉が輪生しているので、植物体の見た目は大きく異なる。
2009/8/9
八ヶ岳自然文化園の湿地近くの所々で、大きな花を付けていたコオニユリです。 見た目は、オニユリによく似ていて、遠目では区別ができません。 しかし、コオニユリは湿地の周りに生えること、むかごを作らないことで区別できます。 なお、オニユリは種子を作らず、むかごで増えますが、コオニユリは種子で増えます。 ※ 行方不明だった2009年のデータが見つかったので追加しました。 2010/8/7 八ヶ岳自然文化園の湿地近くで見かけたコオニユリです。 正面からの写真がなかったので、追加しました。 2017/8/5 今年も八ヶ岳自然文化園の林内では、あちらこちらでコオニユリが花を付けていました。 そのなかでも、一際鮮やかな色をしていたのがこの株です。 ほぼ全体を写した右端の写真で、葉腋にムカゴが付いていないのが分かると思います。 | |||||||||||||
ツバメオモト(Clintonia udensis Trautv. et Mey.)
<ユリ目・ユリ科・ツバメオモト属> ユリ科ツバメオモト属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州の奈良県以北の山地帯上部から亜高山帯の林内に分布する。 海外では、千島列島、樺太、中国、ヒマラヤと東北アジアに広く分布する。 葉は倒卵状長楕円形で、長さ15〜30cm、幅3〜9cmで、数枚が根生する。 葉質は柔らかくてやや厚めで、始めは縁に軟毛がある。 花期は5月〜6月で、20〜30cmの花茎を立ち上げ、先に散房状総状花序を付け、基部に苞がある。 苞は花時には脱落する。花は白くて、やや下向きに4〜10個が開花する。 花被片は6個で、長さ10〜15mm、ほぼ平開する。 花後、果茎は40〜70cmまで伸長し、直径10mmほどの球形の液果は、瑠璃色から藍黒色に熟す。
2018/8/4
八ヶ岳自然文化園の林内で、他の野草に隠れるように藍黒色に熟した果実を付けていました。 今年の春に利尻島でツボミを付けているのを見たばかりでしたので、葉の様子で直ぐに本種と分かりました。 写真では、果実はもっと丸い形だと思っていたのですが、ラグビーボールに近い形をしています。 | |||||||||||||
コメツブヤエムグラ(Galium divaricatum)
<リンドウ目・アカネ科・アカネ亜科・ヤエムグラ属> アカネ科ヤエムグラ属の1年草で、南ヨーロッパ原産の帰化植物。 1992年に神奈川県で発見され、以降、各地に広がっている。 茎は直立または斜上、よく分岐し、下向きの刺がある。 葉は長さ6mm前後の線形で、6〜8枚が輪生し、縁には刺がある。 花期は6月〜7月で、茎頂や葉腋に花序を付ける。 長さ10〜20oの花柄の先が2段、3段に分枝して、その先に小花を1個付ける。 花冠の直径1mm以下で、4裂した花被片の内面は黄緑色、外面は橙色を帯びる。 オシベは4個、葯は黄色で、メシベの花柱は2個ある。
2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内の草原で見かけました。 草原の一ヶ所に、何かモジャッとした野草が目に付き、取りあえず写真を撮りました。 後で調べて本種と分かりましたが、スモークツリーの花穂ほどではないにしろ、かなり繊細です。 細やかさにおいては、ヒメヨツバムグラも同じようなものですが、花序の多さに違いがあります。 2017/8/5 鮮明なコメツブヤエムグラの花の写真がなかったので、100oマクロで撮ったものです。 あまりにも小さく、林内で暗いこともあって、手持ち撮影ではこれが限界でした。 2018/8/4 昨年は開花している花が見当たらなかったのですが、今年は開花していました。 直径1mmに満たない小さな花なので、100oマクロでは、この辺りが限界でした。 | |||||||||||||
ヘクソカズラ(Paederia scandens)
<リンドウ目・アカネ科・アカネ亜科・ヘクソカズラ連・ヘクソカズラ属> アカネ科ヘクソカズラ属のつる性多年草で、全国で見られる。 日本以外では、東アジア一帯に分布し、北アメリカやハワイなどに帰化している。 特有のいやな臭いがあり、これが和名の由来。 葉は対生し、楕円から狭卵形で、長さ4〜10p、幅1〜7p。 花期は7月〜9月で、葉腋から短い集散花序を出し、花をまばらにつける。 花冠は鐘状で長さは1p前後。灰白色で先は5残裂し、中央は紅紫色で毛が生える。 花糸の短い5個の雄しべは、花冠の内部に付く。花柱は2個で、基部で合着する。 果実は、直径5oほどの球形の核果で、黄褐色に熟す。
2017/8/4
八ヶ岳自然文化園に向かう途中、仮眠した双葉SAで見かけたヘクソカズラの花です。 よく見かけるつる植物ですが、よく絡みついて、嫌なにおいがあるので、嫌われ者です。 ヤイトバナの別名は、白い花弁の基部が赤紫色で、それがお灸を据えた跡のように見えることから。 といっても、若い方にはお灸の跡はもちろん、お灸そのものもピンとこないでしょうね。 悪いことをしたとき、「お灸を据える」というのも、死語になりつつあるのでしょうか。 | |||||||||||||
イケマ(Cynanchum caudatum)
<リンドウ目・キョウチクトウ科・ガガイモ亜科・イケマ属> キョウチクトウ科イケマ属のつる性多年草で、在来種。 日本では北海道から本州、四国、九州と広く分布する。 日本以外では、サハリンに分布する。 葉は長い柄があって対生し、葉腋から長い柄を出し、小さな花を多数つける。 黄緑色の花冠は深く5裂して反り返り、白い副花冠が花冠のように見える。 ガガイモ科特有の袋果を付け、秋には割れて長い種髭(白毛)を付けた種子が風で運ばれる。
2013/8/4
八ヶ岳自然文化園からもみの湯へ向かう道路脇で見かけました。 始めてみる花でしたので、取りあえず写真を取って後で調べました。 その結果、本種と判明しましたが、ガガイモの仲間とは思ってもいませんでした。 葉の付き方などは似ていますが、花のイメージは全く異なります。 袋果を見れば、仲間と分かったかもしれませんが、この時期には見られません。 2017/8/5 最初の写真では、花冠が大きく反り返っていて、白い副花冠のみが目立ってしまっていました。 そのため、イケマの花を100oマクロで撮り直したものが上記です。 反り返る前の花冠と、副花冠が見えていますが、時間と共に花冠は後ろに反り返っていきます。 右の写真では、いろいろな状態の花が写っていますが、最後は真後ろまで反り返ります。 | |||||||||||||
ツヤナシイノデ(Polystichum ovato-paleaceum (Kodama) Kurata)
<ウラボシ目・オシダ科・イノデ属> オシダ科イノデ属の常緑のシダ植物で、日本では本州から四国、九州に分布する。 日本以外では、朝鮮半島から中国に分布する。 葉柄は葉身より短く、基部に茶色から茶褐色の鱗片を密生する。 中軸にも鱗片が密生し、上部にいくほど細くなり、最上部では毛状になる。 属名は、毛が密生する芽の様子が、イノシシの手のように見える事に由来する。
2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内で見かけました。 あまり多くはありませんが、所どころで大きく葉を広げていました。 後で調べ始めて、オシダ科には良く似た種類が多く存在していることが分かりました。 同定には、鱗片の形状や色、胞子嚢の形状や付き方が重要なようなのですが、そこまでは撮影しませんでした。 なんとか鱗片の色や形状は判別できましたので、葉の形状も含めて、本種としました。 しかし、非常に多くの似た種類が存在しますので、正しく同定できているか自信はありません。 シダ類は、同定が非常に難しい種類と思い知らされました。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林内を流れる小川の縁に、ツヤナシイノデが群生していました。 直射日光が当たらず、水辺で湿度も高いので、生育には良い環境なのでしょう。 | |||||||||||||
オニゼンマイ(Osmunda claytonianum)
<ゼンマイ目・ゼンマイ科・ゼンマイ属・ヤマドリゼンマイ亜属> ゼンマイ科ゼンマイ属の常緑性のシダ植物で、在来種。 日本では、本州の東北地方南部〜中部地方にかけて分布する。 海外では、朝鮮半島から中国、ヒマラヤ、台湾、北アメリカに分布する。 日当たりの良い湿地に生え、根茎は斜上して、葉は隣接して出るので叢生しているように見える。 葉柄は緑色で綿毛が残り、長さは15〜20cm、葉身は30〜40cmになる。 葉身は全体が狭長楕円形で、2回羽状深裂する。葉身の中央数対の羽片が胞子嚢を付ける。 胞子嚢を付ける羽片は、付けない羽片の3割ほどの長さで、裂片は縮み、胞子放出後は黒化する。 若芽は、ゼンマイ同様食べられるが、かなり硬めのため、食用には適さない。
2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内で、群生している所を見かけました。 最初、ツヤナシイノデかと思いましたが、基部の葉柄に付く鱗片が異なります。 後で調べて、葉身の途中に黒く枯れたような部分が見られたので、本種としました。 | |||||||||||||
ニカワホウキタケ(Calocera viscosa)
<アカキクラゲ目・アカキクラゲ科・ニカワホウキタケ属> アカキクラゲ科のキノコで、エゾマツやトドマツなどの針葉樹の腐朽材等に秋に発生する。 橙黄色から濃黄色をしており、サンゴのような形をした美しいキノコである。 ホウキタケの仲間のような外形をしているが、分類上は全く異なる。
2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内を歩いていると、所どころで見かけました。 褐色の地面に、橙黄色の本種は非常に目立ちます。 一見した所、地面から炎が噴き出しているように見えます。 何から生えているのか気になって、左端のものを掘り起こしてみました。それが中央の写真です。 ご覧の通り、木の枝から生えていました。周りの落ち葉からカラマツと思われます。 | |||||||||||||
モリノカレバタケ(Gymnopus dryophilus)
<ハラタケ目・ツキヨタケ科・モリノカレバタケ属> ツキヨタケ科モリノカレバタケ属のキノコで在来種。 日本では全国に分布し、春から秋にかけて各種の林内地上に群生する。 世界的に分布するキノコで、傘や柄の色、大きさなど変異に飛んでいる。 代表的な落葉分解菌で、腐植土や落葉の上に群生して、フェアリーリングを形成することもある。 傘は幼菌のときは饅頭型の半球形で、しだいに平らに開き、ついには縁部が反り返る。 平開時の傘の直径は3〜5cmで、表面は平滑で肉は薄く、明黄土色〜淡黄褐色と変異がある。 ひだは柄に上生か離生し、幅が狭くて密に並び、色は白色〜淡黄褐色である。 柄は太さ2〜5mm、長さ3〜6cmで、基部が多少太めになり、傘と同色で中空である。 可食との記述があるが、「軽い胃腸系中毒を起こす」との記述もあり、手を付けないのが無難。 よく似たものに、柄に細かい毛が密生するアマタケ、柄の下部が赤褐色のカブベニチャ、 柄が紫赤褐色を帯びるカレバタケ、傘の色が鮮黄色〜黄土食のコガネカレバタケなどがある。
2009/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内を散歩しているとき、通路脇で見かけました。 褐色の地面に、淡黄褐色の傘が密集していて、結構目に付きます。 あまり特徴のないキノコでしたが、傘の色や形状、柄の色などから本種と判断しました。 ※ 行方不明だった2009年のデータが見つかったので追加しました。 | |||||||||||||
ザラエノヒトヨタケ(Coprinopsis lagopus)
<ハラタケ目・ナヨタケ科・ヒメヒトヨタケ属> ナヨタケ科ヒメヒトヨタケ属のキノコで在来種。 日本では全国で見られ、海外ではヨーロッパ、アジア、北アメリカなど、広範囲に分布する。 春〜秋に、自然が豊かな林内や公園、庭などの地上や落葉上に発生する。 幼菌はドングリのような楕円形で小さく、繊維状のササクレで覆われている。 この繊維状のササクルは傘と柄に残るが、徐々に落ちて行く。 傘は水平に開くと直径3〜5cmで、その後、上方に反り返る。 傘の表面は透明感のある白色で、周縁に放射状溝線がある。 傘の表面は白色から灰色、さらに徐々に黒ずみ、やがて溶けて胞子を含んだ黒い液体状になる。 ひだは白色〜暗灰色で、こちらも溶けてしまう。 柄は長さは6〜13cmで、白色で細く、基部より上部の方が細くなる。 柄の表面は白色の微毛に覆われ、ザラザラしているのが和名の由来。 よく似たザラミノヒトヨタケとは酷似しているので、外観で見分けるのは困難である。 しいて言えば、ザラミノヒトヨタケの方が傘の縁が櫛状に裂けやすいようである。 顕微鏡で胞子を見れれば、名前の通り胞子が粗面なのがザラミノヒトヨタケである。
2009/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内を散歩しているとき、通路脇で見かけました。 灰色の傘だったので、気付かずに通り過ぎそうになりました。 透明感のある淡い灰色の傘は、放射状に筋が入り、裂けている所も見られました。 中央の写真は、基部にあった幼菌の傘で、繊維状のササクレが見えています。 よく似たキノコがあるのですが、裂けている所が1ヶ所だったのでザラエノヒトヨタケとしました。 ただ、胞子の確認はしていませんので、ザラミノヒトヨタケの可能性もあります。 ※ 行方不明だった2009年のデータが見つかったので追加しました。 | |||||||||||||
ハナホウキタケ(Ramaria formosa)
<ラッパタケ目・ラッパタケ科・ホウキタケ属> ラッパタケ科ホウキタケ属の1種で、吐き気、下痢等をもたらす緩効性の有毒キノコ。 出現期は夏から秋で、日本をはじめ、ヨーロッパ各地、北アメリカでも見つかっている。 枝サンゴのように根元から細かく枝分かれして、横に広がりながら上に伸び、高さ20cm程になる。 先端以外の色は淡赤褐色で、先端部分の色は黄色、紅色、赤褐色など変異に富む。 この菌の毒素は、消化器系に作用して吐き気、疝痛のような腹痛、下痢を引き起こす。 なお、この毒素の成分等に関しては、現時点では判明していない。
2017/8/5 園内の林の中を歩いていると、足元に肌色のモジャモジャっとした大きなキノコがありました。 見たことがなかったので、後で調べたのですが、有毒のハナホウキタケと思われます。 食用のホウキタケとの見分けが難しく、安全性を考えて、ホウキタケは食用にはしないことが多いそうです。 |