八ヶ岳山麓 原村近辺の野草
和名インデックス |
ウド(Aralia cordata)
<セリ目・ウコギ科・タラノキ属> ウコギ科タラノキ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に広く分布する。 海外では、朝鮮半島から中国に分布する。 草丈は2m以上になり、茎は太い円柱型で、中空です。 葉は互生し、葉柄は長く2回羽状複葉で、小葉は長楕円形で先が尖り、細かい鋸歯がある。 夏、上部に大きな散形花序を付け、淡緑色の小花をたくさん付ける。 小花は、雌雄異花で両性花からなる花序と雄花序があり、上部に両性花序が付く。 花は淡緑色の5弁花で、直径は3o前後。オシベが5個と、花柱が5個ある。 両性花が受粉すると、花弁もオシベも落ちて、下位の子房が丸く大きくなる。
2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内の草原で見かけました。 既に花は咲き終わって、果実が大きくなり始めています。 2017/8/5 今年は、まだ、ウドの花が咲き残っていました。 といっても、咲いていたのは両性花の方で、雄花はまだツボミの状態でした。 上段の左辺と中央は、両方とも両性花です。左端は受粉前で、オシベも花弁もあります。 それが受粉後、オシベや花弁が落ち、子房が膨らんできて、中央のようになります。 下段の写真で、花が咲いているのは両性花序で、その下部に小さな未開花の雄花序が見えます。 2018/8/4 今年は大きなウドの株に出会えませんでした。そのため、花序の数も少なかったです。 付いているのは両性花序のみで、枯れた花弁が残っているものもあり、子房もあまり目立ちません。 下段は、多少大きめの株でしたが、花序は全て未開花で、咲くのはもう少し先になりそうでした。 | |||||||||||||
シシウド(Angelica pubescens)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・シシウド属> セリ科シシウド属の一稔性草本で、日本固有種。開花結実すると枯死する多年草。 日本では、本州から四国、九州に分布する。 草丈は1〜2mになり、根は太い直根で、茎は有毛で太くて中空。 葉は互生し、大型の2〜3回羽状複葉。小葉は長さ5〜10cmの長楕円形で、鋸歯がある。 葉柄の基部は鞘状に膨らり、葉の両面の脈上に縮れた細毛がある。 花期は8月〜11月で、茎頂や上部の葉腋に大型の複散形花序を付け、白い小花をたくさん付ける。 花序の柄は長さが3〜18cmと不揃いで、散形花序が不規則にばらける。総苞も小総苞片もない。 花は直径3mm前後で、花弁は5個で、先が2裂して内側に曲がる。オシベは5個、メシベは1個。 果実は長さ6〜10mmで、両側は広くて薄い翼となり、2個に分果して向き合って付く。
2009/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内で見かけたシシウドの花です。 まだ、開花が始まって間もないようで、初々しい緑がかった色合いです。 ※ 行方不明だった2009年のデータが見つかったので追加しました。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林内で、大きく葉を広げたシシウドが、花を付けていました。 豪壮な葉と比べて、白い小さな花は、ちょっと不釣り合いに思えてしまいます。 | |||||||||||||
オオホタルサイコ(Bupleurum longiradiatum Turcz. var. longiradiatum)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・ミシマサイコ属> セリ科ミシマサイコ属の多年草で、ホタルサイコやエゾホタルサイコなどの基準変種。 なお、これらをひとまとめにして、広義のホタルサイコ(Bupleurum longiradiatum)とする見解もある。 日本では、北海道、本州、九州に分布し、四国には分布しない。 海外では、朝鮮半島から中国、モンゴル、ロシアに分布する。 草丈は80〜150cmで、茎は直立し、丈夫で分枝する。 根生葉には長い葉柄があり、長楕円形。茎葉は無柄で楕円形。基部は茎を抱く。 花期は7月〜8月で、茎頂や葉腋に複散形花序を出し、黄色い小花を多数付ける。 花は直径3mmほどの5花弁で、総苞片や小総苞片は狭楕円形。小総苞片は小花柄より短い。 ホタルサイコに似ているが、オオホタルサイコの方が総苞片や小総苞片は細く短い。 また、花柄はホタルサイコが5mm前後であるのに対し、本種は6〜15oと長い。 なお、花柄は開花直後から開花中にどんどん伸びるので、開花後の日数によって見た目が異なる。
2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内で、ひょろ長く立ち上がり、黄色い小花を付けた本種を見かけました。 何度も来ている所ですが、初めて見る草本です。 後で調べて、ホタルサイコかオオホタルサイコと分かり、花柄の長さから本種としました。 | |||||||||||||
ミツバ(Cryptotaenia japonica subsp. japonica)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・ミツバ属> セリ科ミツバ属の多年草で、在来種。 国内では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで全国に分布している。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、サハリンに分布している。 草丈は30〜80cmで、茎は直立してよく分枝し、無毛である。 葉は互生し、3出複葉で葉柄が長く、30p以上になることもある。 葉柄の基部は縁が膜状になって茎を抱く。 小葉は、長さが3〜10cmの卵形で、無柄で先は尖る。 縁は重鋸歯で、葉表には皴があり、柔らかくて良い香りがある。 花期は6月〜8月で、枝先に複散形花序を出し、小花柄は少なくて不同長。 総苞、小総苞、萼はともに発達せず、小さい。 花はまばらに付き、花色は普通は白であるが、稀に淡紅紫色を帯びる。 花の直径は2o前後で、花弁は5個。オシベは5個で、メシベは1個で2裂する。 果実は2分果で、種子hが1個ずつ入っている。果実は長さ4〜6mmの線状楕円形。
2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内の通路脇で、小さな白花を付けたミツバを見かけました。 野菜として売られているものは、密生して徒長した若い株なので、全く異なる草姿です。 実家にもほぼ野生のミツバがありましたが、これとほぼ同じような草姿でした。 右の写真で、中央下の方に巨大な三つ葉が見えていますが、自生では大きな葉になります。 | |||||||||||||
ヤブジラミ(Torilis japonica)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・ヤブジラミ属> セリ科ヤブジラミ属の越年草で、日本では全国に分布している。 世界的には、日本も含めたユーラシアに広く分布し、南アジアや北アメリカに帰化している。 草丈は30〜70cmで、茎は直立し、上部で分枝する。 葉は互生し、2〜3回羽状複葉で、長さは5〜10cmほどある。 小葉は細かく切れ込み、先端の小葉は長く尖る。葉の両面には毛が多い。 花期は5月〜7月で、枝先の複散形花序に多数の小花を付ける。 5個の花弁は大きさは不揃いで、外側の2花弁が大きくなる。オシベは5個。 花色は白で、わずかに淡紅紫色を帯びることがある。葯の色も同様である。 果実は長さ4mm前後の卵状長楕円体で、基部から湾曲した刺を密生する。熟すと淡褐色になる。 オヤブジラミは似ているが、花期が本種より早く、花色は淡紅紫色を帯びて、花数が少ない。 また、葉の裂片が細かく、果実の刺が紅紫色を帯び、熟すと黒くなる点で区別できる。
2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の林内で見かけました。 茎は良く枝分かれして、50cm程の高さがあり、各枝の先に複散形花序を付けます。 葉は、葉軸が1〜2回分枝し、それぞれに羽状に小葉を付け、小葉も細かく深裂しています。 花は白色で、不ぞろいな5弁で構成されますが、花弁には切れ込みがあります。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林内で見かけたヤブジラミの花です。 鮮明な花の写真がなかったので、100oマクロで撮り直したものです。 | |||||||||||||
イブキボウフウ(Libanotis coreana)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・イブキボウフウ属> セリ科イブキボウフウ属の越年草で、日本では北海道、本州の近畿地方以東に分布する。 日本以外では、朝鮮半島南部に分布する。 茎は直立して枝分かれし、草丈は1mを超えることもある。 葉は2〜3回奇数羽状複葉で、小葉は羽状に深裂する。 各々の茎の先端に、複散形花序を付け、多数の白い花を付ける。花弁は5枚。
2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内の草原で見かけました。 周りに目立ったものがなかったので、日の射さない林内では目立っていました。 まだ、咲き始めて間がないようで、この花序以外は、花序も十分に成長していない状態でした。 | |||||||||||||
セルリ(Apium graveolens var. dulce)
<セリ目・セリ科・セリ亜科・オランダミツバ属> セリ科オランダミツバ属の野菜。 日本には古い時代に入ってきたとの話がありますが、栽培が盛んになったのは戦後。
2011/8/7
セルリは野菜であって、野草ではありませんが、紹介したくて掲載しました。 この写真を見ていただければ分かると思いますが、見渡す限り、セルリ畑です。 小さな苗、少し大きくなった苗(写真の畑です)、収穫直前の苗などが、畑毎に整然と植わっています。 野菜の直売場では、セルリが株ごと売られています。 新鮮なセルリは、独特の強い香りもやさしく、芯に近い部分では香りもあまりありません。 余談ですが、原村では「セロリ」ではなく、「セルリ」と呼ばれています。 英名「celery」の聞き取りの違いですが、「le/ラァ」の部分はロにもルにも聞こえます。 | |||||||||||||
フタリシズカ(Chloranthus serratus)
<センリョウ目・センリョウ科・チャラン属> センリョウ科チャラン属に属する多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。 海外では、朝鮮半島から中国にかけて分布する。 茎の先に1〜5個の穂状花序を出して、白い小さな花を付ける。 といっても花弁はなく、白く見えているのは雄しべの花糸である。 雄しべは1つで、花糸が3つにわかれて雌しべを包み込んでいる。 なお、和名は、2本の花序を、能楽の「二人静」の静御前とその亡霊の舞姿にたとえたもの。 同属のヒトリシズカ(可憐な花を静御前になぞらえたものだそう)と対を成す名前となっている。
2012/8/4 八ヶ岳自然文化園の林内で見かけました。 既に花は終わり、大半の果実も熟して黒くなっています。 このような状態でしたので、当初、どのような花なのかが分からず、同定に手間取りました。 下記の涸沼自然公園でフタリシズカを見かけて、ようやく同定できました。 涸沼のフタリシズカ(下記参照)は、春の写真なので、まだ、若々しい色合いですね。 2016/5/6 八ヶ岳自然文化園の林内で、花は終わっていましたが、若い果実を付けた本種を見かけました。 膨らみかけた子房が少し顔を出した程度で、穂状花序は3本出ています。
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マルバノイチヤクソウ(Pyrola nephrophylla)
<ツツジ目・ツツジ科・イチヤクソウ亜科・イチヤクソウ属> ツツジ科イチヤクソウ属の常緑の多年草で、在来種。 日本では南千島から北海道、本州、四国、九州に分布する。 草丈は20〜30cmで、根茎は細長く地上を横に這い、長い匐枝を出す。 葉はロゼット状に付き、葉身の長さは15〜25oで、幅の方が長い扁円形。 先端は丸いかやや凹み、基部は心形、縁には低鋸歯がある。長さ2〜5cmの葉柄がある。 葉の形はジンヨウイチヤクソウに似るが、本種には葉脈に沿う白斑はない。 花期は6月〜7月で、高さ15〜20cmの花茎を伸ばし、総状花序を付ける。 花茎は赤味を帯び、長さ10mm前後の披針形で先の尖った膜質の鱗片葉が数個付く。 花序には、5〜10個の白い花が下向きに付き、花の直径は10mmほど。 花弁5個は離生し、萼片は5裂する。萼裂片は三角形状で鈍頭。 オシベは10個で、長さ6〜8mmの花柱は長く突き出て湾曲し、柱頭は小さく5裂する。 果実は直径5〜6mmの刮ハになる。
2018/8/4
八ヶ岳自然文化園の林内を散策中、通路脇で小さな丸い葉がたくさん並んでいました。 気になって、よく見ると20cmほどの花の終わった花茎と思われるものも所々に見られます。 茶色く枯れた花弁と思われるものと、そこから棒状のものが下に突き出し、面白い形をしています。 後で調べた所、イチヤクソウの花柱がそのような形をしています。 ただ、葉の形が広卵形で合いませんが、イチヤクソウ属の1種であることは間違いありません。 葉の形からマルバノイチヤクソウかジンヨウイチヤクソウのどちらかと分かりました。 ジンヨウイチヤクソウは葉脈に沿って白斑が出るとありますが、それがないので本種としました。 | |||||||||||||
キツリフネ(Impatiens noli-tangere)
<ツツジ目・ツリフネソウ科・ツリフネソウ属> 2012/8/5 2012/8/5 2016/8/6
ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで、海外ではユーラシア・北米大陸に広く分布する。 草丈は60cm程になり、茎は水気が多く、下部の節がこぶ状に膨れる。 葉は互生し、長さ4〜8cmの長楕円形で。長さ3cm程の葉柄があり、縁には鋸歯がある。 花期は6月〜9月で、葉の上に花序を伸ばし、ツボミの成長と共に垂れ下って、葉の下で開花する。 花弁は3個(5個の内、両側の2個ずつが合着しているため)、萼片も3個ある。 下側の萼片は大きな袋状で、その先端は細長い距となり、後に伸びて少し垂れ下る(巻かない)。 果実は緑色のうちに熟し、熟した果実にさわるとパチンとはじけて種子が飛び散る。
2012/8/5 八ヶ岳自然文化園から樅の湯への道路脇で群生が見られました。
2016/8/6 八ヶ岳自然文化園の所々でキツリフネが花を付けていました。 花の形は、ツリフネソウに似ていますが、花色以外に、以下の点が異なります。詳細はこちら ● 長く筒状に後ろに伸びる距が巻かずに垂れ下る ● 花は、葉の下に咲く | |||||||||||||
ツリフネソウ(Impatiens textori)
<ツツジ目・ツリフネソウ科・ツリフネソウ属> ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草で、東アジア(日本、朝鮮半島、中国、ロシア東南部)に分布する。 和名は、花の形が花器の釣舟に似ていることに由来するとされ、ムラサキツリフネとも呼ばれる。 日本では、本州・四国・九州の低山から山地にかけて分布する。 キツリフネの分布域と重なるため、両種が一緒に見られることも多い。 草丈は50〜80cmで、茎はやや赤みを帯びて、節が膨らんでいる。 葉は互生し、葉身は長さ5〜13cmの楕円形で先が尖り、縁には細かい鋸歯がある。 花期は7月〜10月で、葉腋から花序を斜上して数個の花を付ける。花茎には紅紫色の突起毛がある。 花は紅紫色で、長さは4cm前後。花弁と萼片は紅紫色で、各々3個で構成されている。 下側の萼片は大きな袋状で、その先端は細長い距となり、先は下側にクルっと巻き込む。 花弁は下側の2個(4個の花弁が2個ずつ合着)が大きく前に突き出し、黄色い斑がある。 オシベは5個で、花糸は短く、葯は合着してメシベを包み込む。 なお、蜜は萼片の距の先に溜まり、マルハナバチやツリアブなどが好んで集まる。
2010/8/7 八ヶ岳自然文化園の奥の林で見かけました。 地味な花の多い林の中で、独特の形と花色で一際目立っていました。 花の後ろに伸びた距が、くるっと巻いているのが分かると思います。 2012/8/5 八ヶ岳自然文化園からペンション村への通路脇で、1本だけ、ツリフネソウが花を付けていました。 この写真では、花が葉の上に付き出て咲いているのが分かると思います。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林内でツリフネソウが咲いていました。 その中に、まだ開き切っていない開花間もない花を1つ見つけました。 下側の花弁がまだ大きく開いていないので、開き切った花とは雰囲気が異なります。
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オカトラノオ(Lysimachia clethroides )
<ツツジ目・サクラソウ科・オカトラノオ属> サクラソウ科オカトラノオ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全土に広く分布する。 海外では、朝鮮半島から中国に分布する。 草丈は60〜100cmで、地下茎を長く伸ばして増える。 茎の基部は赤みを帯び、茎には短毛がまばらに生える。 葉は互生し、葉身は長さ10cm前後の長楕円形で先が尖り、縁は全縁。 花期は6月〜7月で、茎先に10〜30cmの総状花序を出し、白い小花を多数付ける。 花は直径1cm前後で、5深裂する。オシベは5個。 秋には黄葉し、紅葉した葉に赤い斑が入って美しい。
2010/8/7 八ヶ岳自然文化園の林を抜けた草地で見かけました。 小さな白花が花穂に多数付き、下から咲き上って行きますが、花穂はだらりと垂れ下がります。 2012/8/4 2013/8/2 2016/8/6 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林内で見かけたオカトラノオです。 立派に垂れ下っているものを探して撮るのですが、なかなか思うようなものは少ないです。 上記の中では、2013年に撮影したものが、最も立派で理想に近い姿形をしています。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林内で、今年もオカトラノオが大きな花穂を垂れ下げていました。 比較的近い場所だったので、100oマクロで撮ったものです。
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クサレダマ(Lysimachia vulgaris var. davurica)
<ツツジ目・サクラソウ科・オカトラノオ属> サクラソウ科オカトラノオ属の多年草で、在来種。 和名は、マメ科のレダマに似ている草本であることに由来する。別名はイオウソウ。 日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。 海外では朝鮮半島、中国、シベリア、樺太に分布している。 草丈は40〜80cmで、茎には短い腺毛と軟毛が生える。 葉は対生か3〜4枚の輪生で、葉柄はない。 葉身は長さ10cm前後の披針形で、先は鋭く尖り、縁は全縁。 花期は7月〜8月で、茎先や葉腋に円錐花序を付け、多数の黄花を付ける。 線状の小さな苞があり、萼は5深裂して、細い3角形状。 花は直径15mmほどで、5深裂し、オシベは5個。
2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の湿地で、サワギキョウなどと混生していました。 鮮やかな5弁の黄色い花をたくさん付けるのですが、サワギキョウの紫に比べると目立ちません。 なお、名前ですが、クサレ_ダマ(腐れ玉)ではなく、クサ_レダマ(草連球)です。 同じ黄色い花を付けるマメ科の落葉低木レダマに似て、草であることからの命名とのことです。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の湿地には、サワギキョウなどに混じって、クサレダマがたくさん咲いています。 その花をマクロレンズで撮り直したものです。 2019/8/3 八ヶ岳自然文化園の湿地には、今年もクサレダマがたくさん花を付けていました。 ただ、例年より開花は遅いようで、写真のように三分咲きといったところでした。 一緒に写っている白い花はノコギリソウで、こちらはほぼ満開でした。 | |||||||||||||
ツユクサ(Commelina communis)
<ツユクサ目・ツユクサ科・ツユクサ亜科・ツユクサ属> <両性花> <雄性花> . ツユクサ科ツユクサ属の一年草。畑や道端などでよく見かける普通種。 日本では北海道から四国、九州まで全国で見られる。 世界的には、アジア全域、北米の東北部など、各地に分布する。 草丈は30〜50cmで、茎の下部は地を這ってよく分枝し、基部近くの節から根を出して増える。 葉は互生し、長さ5〜12cmの狭披針形で、先は鋭く尖る。葉の基部には長さ10mm前後の鞘がある。 花期は6月〜10月で、花は葉に似た1個の苞に包まれたさそり形花序に付く。 苞は長さ15〜30mmで、円心形を2つ折りにしたような形をしている。 花は1個ずつ、苞の外に出て開き、半日でしぼむ。 花弁は3個あり、内2個は鮮やかな青色で長さ、幅とも10mmほどあり、残りの1個は白色で小さい。 萼片は3個で小さく、白色の膜質。側萼片2個は基部で合着し、上側の1個の萼片は披針形。 オシベ6個のうち、完全なのは花柱とともに長く突き出ている2個だけである。 花弁の側の短い3個は、葯が鮮黄色でよく目立つが、花粉をださない仮オシベで、 それよりやや長い1個は、葯がやじり形で少し花粉を出す仮オシベである。 基部の仮オシベの葯は黄色い十字形で、中央辺りに褐色の斑点が見られることがある。 中間の仮オシベの葯は黄色い逆V字型で、中央辺りに褐色の斑点が見られることがある。 花柱がオシベの間から突き出る両性花とオシベより短い雄性花がある。 花色の青は、濃い青から薄い青(空色)まで、変異が多い。 なお。この青はアントシアニン系の化合物で、容易に退色するため、染物の下絵書きに使われた。
2018/8/4
八ヶ岳自然文化園の林縁にたくさん咲いていました。この色の花は少ないので目立ちます。 変異の多い花なので、変わったものはないかと探したのですが、見当たりませんでした。 ただ、メシベの花柱が突き出した両性花とそれが短い雄性花は確認できました。 下記は、上記写真のオシベとメシベの部分を拡大したものです。 長く突き出た2個のオシベの間にあるメシベの花柱の違いが分かりやすいと思います。 <両性花> <雄性花> | |||||||||||||
イタドリ(Fallopia japonica)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イタドリ属> タデ科イタドリ属の多年草で、スカンポなどの別名を持つ。 北海道東部を除く日本全土、朝鮮半島から中国、台湾に分布する東アジア原産種。 世界の侵略外来種の選定種で、その旺盛な繁殖力ゆえに嫌われ者です。 茎は中空で多数の節があり、三角形の葉が互生する。 雌雄異株で、雄花はオシベが花弁の間から飛び出すように長く発達している。 雌花は、メシベよりも花弁の方が大きい。 秋に熟す種子には3枚の翼があり、風によって散布される。
2016/8/6
八ヶ岳自然文化園の林内にある通路脇で、イタドリがたくさんの花を付けていました。 この個体は、オシベが大きく飛び出しているので雄株です。 近くに雌株はないかと探したのですが、見つけられませんでした。 2017/8/5 今年もイタドリの雌株を探してみたのですが、見つけられませんでした。 もっと場所を大きく変えないと見つけられないかもしれません。 | |||||||||||||
オオイヌタデ(Polygonum lapathifolium)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属・サナエタデ節> タデ科イヌタデ属の1年草で、在来種。道端や荒れ地、河原などに自生する。 日本全土に分布し、海外では、朝鮮半島から中国、台湾、アジア、ヨーロッパなど広範囲に分布する。 草丈は80〜200cmで、茎はよく分枝して、下部の節は膨らむ。 葉は互生し、長さ15〜25pの披針形で、先は長く尖る。基部は楔形で、葉縁に毛がある。 托葉鞘は膜質で、筒状。普通、托葉鞘の縁には毛はない。 花期は6月〜10月で、茎頂や葉腋から長さ3〜10cmの総状花序を出す。 花序の先は垂れ下がり、直径3o前後の淡紅色〜白色の小花を多数付ける。 花被は4〜5裂して、腺点があり、花後も残って痩果を包む。
2016/8/6
八ヶ岳自然文化園の林を抜けた先にある草原で、オオイヌタデが花を咲かせ始めていました。 草丈は50cm程とまだ小柄で、これからまだ大きくなるのでしょう。 | |||||||||||||
ソバ(Fagopyrum esculentum)
<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ソバ属> タデ科ソバ属の一年草で、中国原産の帰化植物。 日本では、主に穀類として栽培されるが、イネ科ではないため、擬穀類とよばれる。 草丈は50〜100cm程になり、茎の先端に総状花序を付け、多数の花を付ける。 花色は、白、淡紅色、赤色、茎の色は緑、淡紅色、濃紅色がある。 栽培種のソバは、自分自身の花粉では結実できない異型花型の自家不和合成を持つ。 そのため、長花柱花と短花柱花を混在して栽培し、相互受粉させる必要がある。
2009/8/9
八ヶ岳自然文化園から八ヶ岳中央農業実践大学の直売所に向かう途中、蕎麦畑を見かけました。 この辺りは高原野菜の栽培が中心で、蕎麦を栽培しているのを見たのは初めてです。 そこそこの広さの畑一面に白い花が咲いていたので、かなりインパクトがありました。 ※ 行方不明だった2009年のデータが見つかったので追加しました。 | |||||||||||||
カスミソウ(Gypsophila)
<ナデシコ目・ナデシコ科・カスミソウ属> ナデシコ科カスミソウ属の植物は、約125種類が知られ、ヨーロッパやアジアに広く分布する。 多くは多年草であるが、1年草や低木状になる種類もある。 細かく枝分かれして小花を無数に咲かせ、白い花だと春霞のように見えるのが、和名の由来。 以下のような園芸種が良く栽培されている。 エレガンス種:原産地はウクライナ、コーカサス、イランなどで、花後に枯れる一年草。 草丈は20〜50cmで、茎は直立して細かく枝分かれし、10mmほどの白い小花をたくさん付ける。 パニクラタ種:シュッコンカスミソウとも呼ばれ、原産地はヨーロッパ東部〜シベリア。 草丈は100〜120cmで、細かく分枝し、八重咲きの園芸品種は、主に切り花に使用される。 ムラリス(Gypsophila muralis): 一年草で、草丈が10〜15cmと低い矮性品種。 白やピンク、ローズの小花を咲かせる。 レペンス(Gypsophila repens):アルプスやピレネー山脈産の高山植物で、主に岩場や礫地に自生。 草丈は15cmで這うように広がり、白い花は直径10mmほどになる。
2016/8/6
八ヶ岳自然文化園を出た先にあるペンション村の道路脇で見かけたものです。 おそらくカスミソウの仲間で、ムラリスが近いのではないかと思いますが、特定できませんでした。 | |||||||||||||
エンビセンノウ(Lychnis wilfordii (Regel) Maxim.)
<ナデシコ目・ナデシコ科・センノウ属> ナデシコ科センノウ属の多年草で、在来種で絶滅寸前の種の指定を受けている。 センノウ属をマンテマ属に含める説では、学名は「Silene wilfordii (Regel)」となる。 日本では、埼玉県、長野県、北海道の中南部など、限られた地域に分布する。 海外では、朝鮮半島にも分布する。 草丈は50〜80cmほどで、茎は直立する。 葉は十字対生し、長さ5cm程の広披針形で、先が尖る。 花期は7月〜8月で、茎頂に多数の花を集まって付け、集散花序を形成する。 花の直径は3cmほどで、濃紅色の花弁は5個。萼片は合着して長さ2cm程の萼筒となる。 花弁は4裂し、内側の2個の裂片が特に長く突き出て、V字サインのような形になる。 この形をツバメの尾に見立てたのが、和名の由来で、燕尾服と同じである。
2009/8/9
八ヶ岳自然文化園の湿地で初めて見ました。 ナデシコのような花ですが、鮮やかな紅色で、花弁の突起の数も少ないです。 名前のエンビは、この花弁の形が燕の尾羽に似ることによります。燕尾服と同じ理由ですね。 ※ 行方不明だった2009年のデータが見つかったので追加しました。 2011/8/6 数は多くないですが、この年も鮮やかな紅色の花を咲かせていました。 遊歩道から離れていたので、アップでの写真は撮れませんでした。 2012/8/4 2013/8/2 八ヶ岳自然文化園の湿地で花の形が分かりやすいように撮り直しました。 花弁の特徴がよくわかると思います。 | |||||||||||||
フシグロセンノウ(Lychnis miqueliana Rohrb)
<ナデシコ目・ナデシコ科・センノウ属> ナデシコ科センノウ属の多年草で、日本固有種。 センノウ属をマンテマ属に含める説では、学名は「Silene miqueliana (Rohrb.)」となる。 日本では、本州、四国、九州の山林に自生する。 地域によっては個体数が減り、絶滅危惧種などに指定されている。 草丈は40〜80cmで、茎は直立し、上部で分枝する。 節が太くなり、黒紫色を帯びるが、これが和名の由来となっている。 葉は対生し、長さ4〜12cmの長楕円形で、先が尖り、縁に毛がある。 花期は7月〜10月で、直径35〜50mmの朱赤色の花を、茎先に数個付ける。 5個の花弁は倒卵形で先は丸く、中央に明瞭な溝がある。基部には同色の鱗片が2個ある。 オシベは10個で、5個ずつ2列になり、葯は紫色。萼は長さ3cm程の円筒形で先が5列する。
2011/8/6
八ヶ岳自然文化園の林縁で初めて見かけました。 園芸品種のような朱赤色の大きめの花で、他に目立つ花がないので、目立ちます。 なお、名前の「フシグロ」は、茎の節が黒褐色を帯びることからの命名です。 2012/8/4 昨年と同じ所で、今年も見事な花を咲かせていました。 右の写真の右側に見えている茎の中央辺りの節が、黒褐色を帯びているのが分かると思います。 | |||||||||||||
センジュガンピ(Lychnis gracillima)
<ナデシコ目・ナデシコ科・センノウ属> ナデシコ科センノウ属の多年草で、日本固有種。 センノウ属をマンテマ属に含める説では、学名は「Silene gracillima」となる。 日本では、本州(東北〜中部地方以北)の山地〜亜高山帯に自生する。 日光の千手ヶ浜で発見され、中国原産の岩菲に似ているのが名前の由来と言われている。 また、花弁の先が不規則に細裂するのが、千手観音を思わせるからとする説もある。 草丈は30〜80cmくらいで、茎は叢生して直立するが、細くしなやかなので傾くことがある。 葉は対生し、長さ5〜12cmの披針形で先が尖る。葉質は薄く無毛。 花期は7月〜8月で、茎頂に集散状にまばらに分枝し、直径2cmほどの白花を茎頂に付ける。 花弁は5個あり、花弁の縁は不規則に細裂する。萼は緑色で長さ8oほで。先が5裂する。 花弁やメシベ、オシベの先端はいずれも白く、オシベは10個、メシベの花柱は5個ある。
2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内で、ポツンと白い花が咲いているのを見かけました。 数が少ないのか、今まで見かけた記憶がありません。 後で、調べた所、本種と判明しました。 | |||||||||||||
エゾカワラナデシコ(Dianthus superbus L. var. superbus)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ナデシコ属> ナデシコ科ナデシコ属の多年草。 日本では、北海道から本州の中部以北に分布する。 海外では、ユーラシア中部以北に分布する。 分類上は、カワラナデシコの基本種とされている。 草丈は30〜60cmで、茎は叢生して直立し、上部で分枝する。 茎や葉は緑色であるが、わずかに白粉を帯びる事もある。 葉は対生し、長さ3〜10cmほどの線状披針形で、先が尖る。 花期は6月〜8月で、茎頂に数個の花を付け、直径40mmほどの花を上向きに咲かせる。 淡紅色の花弁は5個で、舷部の先が深く細裂し、基部に濃紅紫色の毛がある。 萼片は長さ20〜30mmほどで、萼歯は長さ数mm。 苞は2対で十字対生し、下部の1対が大きく、先が尾状になる。
2009/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内の開けた草地で、他の草に紛れてひっそりと一輪咲いていました。 見えている萼片が2対なので、エゾカワラナデシコと判断しました。 ※ 行方不明だった2009年のデータが見つかったので追加しました。 2013/8/2 八ヶ岳自然文化園の林内の開けた草地で、小さな群落をつくっていました。 萼片の長さが短めで、苞の数は2対です。
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マツヨイセンノウ(Silene alba)
<ナデシコ目・ナデシコ科・マンテマ属> ナデシコ科マンテマ属の多年草で、ヨーロッパから西アジアが原産地の帰化植物。 日本では、北海道から本州に逸出して野生化したものが定着している。 草丈は50〜100cmで、茎は直立あるいは基部で平伏して分枝し、全体に短毛と腺毛があり、多少粘る。 葉は対生し、長さ3〜12cmの長楕円形。鋭頭、全縁で両面に短毛がある。 花期は7月〜8月で、雌雄異株。花は直径3cm前後で、茎頂と葉腋に集散状に付き、雄花と雌花で見た目が異なる。 雄花は細身で、萼には10脈があり、オシベが10個ある。花柄は短め。 雌花は萼筒が膨らみ、萼には20脈がある。メシベは1個で、花柱は5個。 花弁は5個あり、白色で、先が2深裂する。花は1日花で、よい香りがあり、夕方から開く。 花後、雌花の萼筒はホウズキのように膨らみ、長さは20o程になる。 刮ハはほぼ萼と同じ大きさの卵形で、熟すと裂開し、裂片は反り返らない。
2017/8/6
八ヶ岳自然文化園から出てペンション村への通路脇で見かけました。 毎年通っている道なのですが、見るのは初めてです。 特異な形状の花でしたので、園芸種かと思いましたが、かなり野生化していると分かりました。 見かけた辺りでは、全てこのタイプでしたが、この形状は雌花(雌株)ですね。 近くに雄花(雄株)もあったのかもしれませんが、気が付きませんでした。 | |||||||||||||
ナンバンハコベ(Cucubalus baccifer var. japonicus)
<ナデシコ目・ナデシコ科・ナンバンハコベ属> ナデシコ科ナンバンハコベ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州の山野に自生する。 海外では、朝鮮半島から中国、アムール、ウスリー、樺太、千島などに分布する。 茎はつる状でよく分枝して、長さ1m以上になり、細毛が生える。 葉は対生し、短い葉柄を持つ卵型で、葉先は尖る。葉の縁と裏面には毛が生える。 花は枝先に横向きまたは下向きに咲き、半球形の萼が目立つ独特な形状をしている。 筒状の萼は、開花すると中程まで裂け、その裂け目から白い花弁が開出する。 白い花弁は、基部の爪部が長く、幅の広い舷部は、途中で折れ曲がって、先端は2裂する。 なお、花弁の中ほどに1対の鱗片があり、その辺りから外に90度ほど曲がる。
2013/8/3
八ヶ岳自然文化園から出てペンション村への通路脇で見かけました。 特異な形状の花でしたので、園芸種かと思ったのですが、後で調べて本種と分かりました。 毎年通っている道なのですが、見るのは初めてです。 2018/8/4 八ヶ岳自然文化園の林縁で、たくさん咲いているのを見かけました。 見かけたのは2度目であり、園内で見かけたのは初めてです。 最初に見かけたのは上段左側のツボミでした。見た目、果実のように見えました。 しかし、少し離れた所で右側の花を見て、ナンバンハコベのツボミであったと気が付きました。 和名にナンバンと付きますがれっきとした在来種です。 また、ハコベの名が付いていますが、咲き始めはハコベに似ていても、大きさや開花後の姿は別物です。 その意味では、別名のツルセンノウの方がピンとくるかもしれませんね。 | |||||||||||||
クサコアカソ(Boehmeria tricuspis var. unicuspis)
<バラ目・イラクサ科・カラムシ連・カラムシ属> イラクサ科カラムシ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。海外では、中国に自生する。 草丈は1mほどになり、茎や葉柄は赤みを帯びる。葉は、楕円形で鋸歯があり、葉先が3裂しない。 雌雄同株で、雄花序は茎の下方に付き、雌花序は茎の上方に付く。 雌花序では雌花が集まって赤みを帯びた球形になり、花軸に並んで付く。 雄花序は、黄白色の雄花を花軸に不揃いに多数付く。
2006/8/5
八ヶ岳自然文化園の林の中の開けた草原で見かけました。 葉は対生し、細長い楕円形で、先端が長く尾状に伸び、葉の縁には鋸歯が規則正しく並びます。 葉腋から細長い穂状花序を出して、無数の雌花を付けます。雌雄同株。 | |||||||||||||
ナワシロイチゴ(Rubus parvifolius)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・キイチゴ属> バラ科キイチゴ属のツル性の落葉低木で、在来種。 和名は、田植えの頃に赤く果実が熟することに由来する。 日本では全国に分布し、日当たりの良い傾斜地で地を這うように広がる。 海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナム、オーストラリアに分布する。 樹高は20〜30cmで、茎には下向きの曲がる綿毛があり、直立する刺が散在する。 葉は互生し、長さ8〜14cmの奇数羽状複葉で、小葉は1対のものが多い。 なお、1年目の茎では、葉は大きくなり、小葉が2対のものがある。 頂小葉は長さ3〜5cmの菱状倒卵形で、3浅裂することもあり、先は丸く、重鋸歯縁である。 葉裏は白い綿毛が密生して白く、葉柄は長さ3〜5cmで、葉柄と葉軸には軟毛と刺がある。 花期は5月〜6月で、花は紅紫色の5弁花。枝先や葉腋に散房状に上向きに付く。 花弁は長さ5〜7mmの倒卵形で、反り返るように付き、ツボミのような状態から開くことはない。 萼は5深裂し、萼の下部だけに刺がある。萼片は開花時には平開か反り返り、花が終わると閉じる。 花弁が立って開かないので、花自体は直径7mm前後しかないが、萼片が開くの直径は15〜20mmある。 オシベとメシベは多数あり、メシベは花弁から少し飛び出す。花弁が落ちると、葯が開く。 果実は集合果で、直径15mm前後の球形。酸味があるが、食べられる。
2013/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内で、通路脇で見かけました。 残念ながら時期外れで、ほとんどが果実になっていましたが、1輪だけ花を見つけました。 ツボミに見えますが、これで開花状態です。 | |||||||||||||
クサイチゴ(Rubus hirsutus)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・キイチゴ属> バラ科キイチゴ属の落葉小低木で、日本も含め、朝鮮半島から中国に分布する。 日本では、本州から四国、九州に分布しており、林地では良く見かける。 草丈が数十cmと低いのが名前の由来であるが、立派な木本である。 花は、5花弁の白花で、中央に多数のメシベ、その周りに多数のオシベがある。 果実は大きく、食用で赤く熟し、酸味は少なく甘みが強い。
2014/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内の通路脇で見かけました。 地を這うように草丈が低く、花も低い位置で下向きに咲いていました。 そのため、花が上向きになるように枝を曲げて、撮影しています。 | |||||||||||||
ダイコンソウ(Geum japonicum Thunb.)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・ダイコンソウ属> バラ科ダイコンソウ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に広く分布している。 海外では朝鮮半島から中国に分布している。 根生葉は羽状複葉で、頂小葉が特に大きく、側小葉は大きさが不揃い。 茎葉は3裂して、縁には鋸歯があるが、上部の茎葉は単葉になる。 花は黄色で、直径は20mm程。オシベとメシベは多数付く。
2012/8/3
八ヶ岳自然文化園の林の中の開けた所で見かけました。 比較的大きな、といっても20mm程度ですが、黄色い花なので、結構目立ちます。 ダイコンソウの名前は、根出葉の形が似ていることからの命名で、チングルマが同じ属です。 2013/8/3 八ヶ岳自然文化園の林の中で、今年はあちらこちらでよく見かけました。 場所によっては、大きな群落をつくっていました。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林の中で、今年もあちらこちらでたくさん咲いていました。 その中で、開花直後の花から、花弁が散った後の花を並べてみました。マクロでの撮影です。 | |||||||||||||
サンショウバラ(Rosa hirtula)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・バラ属> バラ科バラ属の落葉小高木で、日本固有種。 日本では、静岡県、山梨県、神奈川県の富士山や箱根周辺にのみに分布する。 国の絶滅危惧U類(VU)の指定を受けているが、庭木や盆栽として栽培されている。 樹高は3〜6mで、幹は樹皮が灰褐色、古くなると薄く裂けて剥がれる。 よく分枝して稲妻形に屈曲し、若いときはやや紫褐色を帯びて、強い刺がある。 葉は互生し、長さ7〜15cmの奇数羽状複葉で、小葉は4〜9対付く。 小葉は、長さが1〜3cmの楕円形で、縁には鋭い鋸歯がある。両面には短い軟毛がある。 葉軸には細かい刺と毛があり、托葉は葉柄に合着して幅が狭く、上部の裂片は披針形。 この葉の形状がサンショウに似ているのが和名の由来である。 花期は5月〜6月で、枝先の葉腋に単生し、直径5〜6cmの淡紅色の花を付ける。 萼片も5個で、縁には不規則に切れ込んだ付属片が付く。 花柄や花托筒には刺が密生し、萼片の外面にも刺がある。萼片は宿存性で、花後も残る。 淡紅色の花弁は5個で、先が2残裂したハート形で、縁は不規則に小さく切れ込む事がある。 果実は直径2cm程の偽果で扁球形。果柄や果実には刺が密生する。
2017/8/6
八ヶ岳自然文化園を出た所のペンションで、道路脇に植えられていました。 大きな刺だらけの果実が、ブラブラと多数ぶら下がって、存在感があります。 気になったので写真を撮り、後で調べて本種と分かりました。
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キンミズヒキ(Agrimonia pilosa var. japonica)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・ワレモコウ連・キンミズヒキ属> バラ科キンミズヒキ属の多年草で、在来種。 日本では北海道から本州、四国、九州に分布し、山野に自生する。 海外では、朝鮮半島から中国、インドシナに分布する。 草丈は50cm以上で、1mを超える場合もある。葉は互生し、奇数羽状複葉。 茎の上部は枝分かれし、花柄の短い総状花序を付ける。 花は直径10mmほどで、黄色の5花弁。オシベは10本前後あり、メシベは2個ある。 痩果は萼筒と萼片に包まれて熟し、刺で動物にくっ付く。
2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の林縁や林の中の開けた所で見かけました。 花は直径10mmに満たない黄色い小さな花で、徐々に咲き上って行きます。 ミズヒキの名が付いていますが、ミズヒキはタデ科で、本種はバラ科、全くの別種です。 2016/8/6 2017/8/5 . キンミズヒキの花のアップです。 左は105mm+マクロリング、右は100oマクロでの撮影です。 | |||||||||||||
ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・ワレモコウ連・ワレモコウ属> バラ科ワレモコウ属の多年草で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布する。 海外では、朝鮮半島、中国、シベリアに分布し、アラスカにも帰化している。 草丈は1m程になり、茎は上部で枝分かれして、その先端に穂状の花序を付ける。 葉は、根際か茎の下部に付き、奇数羽状複葉で、小葉は5〜13枚。 枝分かれした茎の先に赤紫色の花穂を付ける。花は、花穂の上から下に咲いていく。 花には花弁はなく、4枚の萼片がある。萼片は咲き始めは紅紫色で、咲き終わると暗紫色になる。
2010/8/7
八ヶ岳自然文化園の林の中の開けた所で見かけました。 残念ながら全ての花が終わった後のものしかなく、ピンクの花は見られませんでした。 ワレモコウは、頂部から咲き下って行きます。良く見かける茶色の花のようなものは萼です。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林内で見かけたワレモコウです。 まだ、1番早い花が咲いたばかりで、花穂も若々しい色をしています。100oマクロでの撮影です。 | |||||||||||||
アカバナシモツケソウ(Filipendula multijuga var. ciliata)
<バラ目・バラ科・バラ亜科・シモツケソウ属> バラ科シモツケソウ属の多年草で、シモツケソウの高山型変種。 本州の中部地方、関東地方に分布し、亜高山帯から高山帯に分布する。 草丈は30〜70cmで、葉は互生し、長い葉柄がある。頂小葉は掌状に5〜7裂する。 葉柄には、側小葉は数対付き、付け根にある托葉は茎を抱く。 花期は7月〜8月で、ピンク色の小さな花を散房状につける。 花弁と萼片は各々5枚あり、萼片は反り返る。オシベはたくさんあり、花冠から飛び出す。 なお、シモツケソウとの違いは、痩果の稜上に立毛があること。
2010/8/7
八ヶ岳自然文化園の林の中の開けた所で見かけました。 花の形や色合いは、シモツケにそっくりですが、葉の形などは全く異なります。 2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林内にある沼の畔でアカバナシモツケソウを見かけました。 株によって開花状況が大きく異なり、ツボミのあるものから、咲き終わったものまであります。 ここで痩果を見たのは初めてでしたので、アップで稜上の立毛を撮ってみました。 この立毛があるのがアカバナシモツケソウで、無いのがシモツケソウです。
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シモツケ(Spiraea japonica)
<バラ目・バラ科・モモ亜科・シモツケ連・シモツケ属> バラ科シモツケ属の落葉低木で、在来種。 日本では、北海道から本州、四国、九州と各地に分布する。 海外では、朝鮮半島、中国に自生する。 樹高は1mほどにしかならず、幹は暗褐色、樹皮は縦に裂ける。 葉は互生し、長さ6cm前後の狭卵形で、先は尖り、基部を覗いて重鋸歯がある。葉柄は短い。 花期は5月〜9月で、枝先に複散房状の花序を出し、淡紅紫色の小花を多数密に付ける。 花は直径5o前後で、花弁は5個、メシベは5個で、オシベは25〜35個。 萼片も5個で、長さ2o程の三角形で、内側に短毛がある。
2006/8/5 八ヶ岳自然文化園の林の縁でみかけました。 花の見た目はアカバナシモツケソウにそっくりなのですが、花の付き方が異なります。 同じシモツケ属には、ユキヤナギやコデマリなどが含まれます。花の形は何となく似ていますね。 2013/8/3 八ヶ岳自然文化園の林縁で、久しぶりに見かけました。 毎年、見かけたら撮り直そうと思っていて、撮れなかったものです。 アップで見ると、アカバナシモツケソウとは微妙に花の形状も異なるのが分かると思います。 |