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胎内およびその道中で見かけた野草W



ここ何年か通っている「胎内 星まつり」。
その道中や会場である「胎内自然天文館」近辺で見かけた野草をまとめたものです。

ただ、星まつりが毎年、8月の初旬に開催されるため、その時期に見かけた野草のみです。
特に珍しいものではありませんが、こんな野草が見られるのだと思っていただければ幸いです。

< トピック >

今回、新たに見かけた、下記の野草を追加しました。
オオワライタケ
今回、下記の野草の写真を追加しました。
ノリウツギ



ここでは、被子植物はAPG III体系で、その他は従来の体系で掲載しています。
マツ目
ヒノキ科(ニオイヒバ、スギ、ラクウショウ)
ミズキ目
アジサイ科(ノリウツギ、ヤマアジサイ)
ムクロジ目
ウルシ科(ヌルデ)
ヤマノイモ目
ヤマノイモ目(オニドコロ)
リンドウ目
アカネ科(オオハシカグサ、ヘクソカズラ)
リンドウ科(ハナハマセンブリ)
 
ニセショウロ目
ツチグリ科(ツチグリ)
ハラタケ目
ヒメノガステル科(Newオオワライタケ)
 
ウラボシ目
オシダ科(ジュウモンジシダ、リョウメンシダ)
シシガシラ科(シシガシラ)
ゼンマイ目
ゼンマイ科(ゼンマイ)
 
ギボウシゴケ目
ギボウシゴケ科(エゾスナゴケ)
スギゴケ目
スギゴケ科(ウマスギゴケ)
ハイゴケ目
ハイゴケ科(ハイゴケ)
チャシブゴケ目
キゴケ科(ヤマトキゴケ)
胎内およびその道中で見かけた野草W
和名インデックス


ニオイヒバ(Thuja occidentalis)
<マツ目・ヒノキ科・クロベ属>

ヒノキ科クロベ属の常緑針葉高木で、北アメリカ北部からカナダが原産地。
日本へは明治時代に移入され、造園樹などとして植栽されている。
樹高は15mほどになり、強円錐形から円柱形の樹形となる。
枝葉は良く茂り、樹皮は赤褐色から灰褐色。板根が著しい。
水分や肥料の豊かな半日陰の湿潤な環境を好む。
葉は鱗片状で先が尖り、葉肉にはレモンやパイナップルのような芳香がある。
球果は、褐色の長楕円体で、種子は褐色で翼がある。

2016/8/26
赤城高原SAの奥にある展望エリアを、散策している時に見かけました。
葉の付き方からヒノキかと思いましたが、果実の形状が異なります。
後で調べた結果、果実の形状から本種と分かりました。

スギ(Cryptomeria japonica)
<マツ目・ヒノキ科・スギ亜科・スギ属>

ヒノキ科スギ属の常緑針葉高木で、日本固有種。
日本では、本州から四国、九州、屋久島まで自生する。北海道にも植樹されている。
比較的水分と栄養分に富む環境を好むため、植林の際も谷間に行われ、中腹や尾根は避ける。
樹高は50m以上になり、円錐形の樹形となる。樹皮は赤褐色で厚く、縦に長く裂ける。
葉は、長さ10oほどの湾曲した針状で、基部は枝に密着する。冬には赤褐色になり、春に緑色に戻る。
雌雄同株で、花期は3月〜4月。雄花は長さ8oほどの楕円体で淡緑色。枝先に多数付く。
雌花は直径2cmほどの球形で緑色。枝先に1個付く。10月〜11月に熟す。
スギの花粉は、風媒花の中でも特に小さく軽いため、遠くまで風で運ばれる。
花粉量も多いため、開花期には多くの花粉が遠くまで運ばれ、花粉症の要因となる。

2016/8/26
JR只見線の越後須原駅近くにある駐車場の近くで見かけたスギです。
斜面の下に生えているので、駐車場の高さに枝があり、普段、見ることのない枝先が見えました。
枝先には、来年の春に向けて新しい雄花が付き、今春に役目を終えて枯れた雄花が付いていました。
その隣の枝先には、春に受粉した雌花(果実)が、大きくなっていました。昨年の開いて枯れた果実も見えます。

ラクウショウ(Taxodium distichum)
<マツ目・ヒノキ科・ヌマスギ属>

ヒノキ科ヌマスギ属の落葉針葉高木で、別名はヌマスギ。
アメリカ大陸東南部からメキシコに自然分布するが、日本にも移植され公園などで見られる。
湿潤地に適し、根元が少し水につかった冠水状態でも、気根を出して成長できる。
樹高は25〜50mで、中ほどが少し膨らんだ円錐形の樹形となる。
葉は互生し、長さ10〜20oの長楕円形。なお、小枝も互生して出る。
花期は4月頃で、雌雄異花。果実は緑色の球形である。
本種は湿地に向いた樹で、湿地に植えると幹の周りに膝根と呼ばれる、呼吸のための気根を出す。
しかし、湿地以外の通常の土地でも生育でき、その場合は気根は出さない。

見た目がメタセコイアに非常のよく似ており、遠目では区別できないことが多い。
ただ、小枝の出方や葉の付き方で区別でき、互生するのがラクウショウで、対生するのはメタセコイア。
また、確実ではないが樹形にも差異が見られ、きれいな円錐形になるのがメタセコイアである。
ラクウショウの場合、中ほどが膨れたぼってりした円錐形になることが多いようである。

2017/7/29
星まつり会場から少し離れた芝生広場。その脇にある小さな池の畔で見かけました。
地面から瘤のようなものが付きだしているのを見て、直ぐにラクウショウだとわかりました。
ただ、場所が狭くて、広角レンズも持っていなかったので、樹の写真は撮れませんでした。


2023/8/19
星まつり会場から少し離れたディープスカイエリア、その外れにある小さな沼の縁で見られる気根です。
ラクウショウの気根は、練馬区の石神井公園で見たことがあるのですが、ここの気根は立派です。


2017/7/29                2023/8/19
上記の2枚の写真は撮影方向が真逆なので、左の写真左端と右の写真右端が同じ気根です。
左の写真右端の3個が瘤状に並んでいる所が、右の写真中央の気根が集まっているところです。
見比べてみると、気根が成長しているのが分かると思います。
なお、写真の色味の違いは、曇天で撮ったか晴天で撮ったかの差です。

ヤマアジサイ(Hydrangea serrat/Hydrangea macrophylla subsp. serrata)
<ミズキ目・アジサイ科・アジサイ属・アジサイ節・アジサイ亜節>

別種とする説と亜種とする説がある。そのため、2つのが学名が使われている。
日本では、本州関東以西、四国、九州などの山地に分布する。千島列島、台湾、中国南部の山地にもみられる。
山林内のやや湿ったところに群生する。
樹高は50〜100cmで、幹は灰褐色、樹皮が薄く剥がれ落ちる。
葉は対生し、葉質が薄くて光沢はなく、長さ6〜13cmの広惰円形〜長楕円形で、縁に小さい細鋸歯がある。
葉裏に縮毛があり、脈腋に多い。葉柄は長さ1〜3cm。
花期は6月〜7月で、茎頂に直径7〜18cmの集散花序を付ける。
花は白色〜淡青色。装飾花は直径15〜30mm、萼片は3〜4個で卵形。
両性花は花筒が長さ1.5mm、花弁5個、雄しべ10個。
刮ハは長さ3〜4mmの卵形〜惰円形。種子は両端に突起状の翼がある。
分布域が広いこともあり、いくつかの亜種がある。下記はその代表的なものである。

エゾアジサイ(Hydrangea serrata subsp. yezoensis (Koidz.) Kitam.)
アマギアマチャ(Hydrangea serrata subsp. angustata (Franch. & Savatier) Kitam.)
クレナイ(Hydrangea serrata 'kurenai')
ベニガク(H. serrata f. rosalba (Van Houtte) Ohwi)
シチダンカ(Hydrangea serrata cv. 'prolifera')

2018/8/25
胎内星まつり会場から少し離れた芝生広場。それを取り囲む林の中で見かけました。
見かけたとき、最初は植栽されたアジサイかと思ったのですが、このような場所に植える必要性がありません。
改めて見直し、自生のヤマアジサイではないかと思っています。
装飾花が2個しかなくてさみしい花序ですが、装飾花、両性花の特徴はあっています。

ノリウツギ(Hydrangea paniculata)
<ミズキ目・アジサイ科・アジサイ属・アジサイ節・ノリウツギ亜節>

アジサイ科アジサイ属の落葉低木で、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州に分布し、山地の林縁などに自生する。
花はよく目立ち、ハナカミキリなどの訪花性の昆虫がたくさん集まる。
和名の由来は樹皮に含まれる粘液を和紙製造の糊に用いたことに由来する。
樹高は数mになり、幹は灰褐色で、樹皮は縦にうすくはがれる。
葉は、対生または輪生し、長さ5〜15pほどの細長い卵形で、縁に細かい鋸歯がある。
花期は7月〜9月で、長さ10〜30cmの円錐花序に白い花を多数付ける。
装飾花の萼片は長さ15o前後の楕円形で、3〜5個ある。
両性花の花弁は長さ数oで、4〜5個あり、平開する。オシベは10個、メシベの花柱は3個ある。

2016/8/27
胎内星まつり会場から少し離れた芝生広場の方で、通路脇の斜面で見かけました。
花はとっくに終わっていましたが、緑色になった装飾花が裏返しになって残っていました。
アジサイの仲間なので、受粉が終わると装飾花が裏返るという特徴を持っているようです。


2017/7/29
今年は例年より1ヶ月早い星まつりでしたので、ノリウツギの花が見られました。
木が大きくなく花数も少ないためでしょうか、八ヶ岳のように多くの昆虫は見られませんでした。


2024/8/25          2024/8/24          2024/8/24
星まつり会場から芝生広場の方へ向かう途中、道路脇でノリウツギの花が目に付きました。
まだ咲いているのかと近づくと、咲き終わって装飾花が裏返しになった状態でした。
遠くから見ると、花の形や色合いが、咲いているときとあまり変わらないのですね。

ヌルデ(Rhus javanica)
<ムクロジ目・ウルシ科・ヌルデ属>

2016/8/26(雄株/雄花)

2016/8/26(雌株/雌花)

2016/8/26      2016/8/27       2016/8/27      2016/8/26
ウルシ科ヌルデ属の落葉小高木で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、中国、台湾、東アジアから東南アジアに分布する。
樹高は10m程になり、幹は灰白色。若い枝は紫褐色で楕円の皮目がある。
葉は、9〜13枚の小葉からなる奇数羽状複葉で、葉軸には翼がある。
小葉は、長さ10cm前後の長楕円形で、縁には鋸歯がある。裏面全体に毛が密生する。
秋には真っ赤に紅葉する。春の新芽も赤い。
花期は8月〜9月で、円錐花序を出し、多数の小花を付ける。雌雄異株。
雌花には3裂したメシベが、雄花には5本のオシベがあり、白い花弁は反り返る。
秋に直径5o程の扁平な果実を付けるが、その表面はリンゴ酸カルシウムの白い結晶で覆われる。
葉に、ヌルデシロアブラムシが寄生すると、大きな虫えい(虫こぶ)を作る。
虫えいは、五倍子と呼ばれ、タンニンを豊富に含むため、皮なめしや黒色染料の原料に使われた。

谷川岳PAに始まり、国道290号線沿い、胎内星まつり会場周辺などで見られました。
正確に数えた訳ではありませんが、雄株よりも雌株の方がが多かったように思います。
上段の雄株の写真は、JR只見線の越後須原駅近くにある駐車場で見かけたものです。
中段の雌株の写真は、アップの写真は星まつり会場で、他は谷川岳PAで見かけたものです。
下段の果実の写真は、星まつり会場やその周辺で見かけたもので、成長順に並べてあります。
左端のように、花後。赤い子房は急速に大きくなっていきます。そして3番目のようになります。
この写真ではあまり白っぽく見えませんが、表面はリンゴ酸カルシウムの白い結晶で覆われます。
右端は、ヌルデの葉です。葉軸に大きな翼(横に広がっている葉の様なもの)が付いています。


2017/7/29
ヌルデの葉を撮り直してきました。昨年より1ヶ月早いのですが、きれいな葉は少なかったです。
既に虫こぶのようなものが出来始めており、これが、下記のように大きくなるようです。
左側写真の右下の虫こぶは、先端が赤くなり、二股に分かれて大きくなり始めています。
右側写真の右下奥に写っている葉は、小葉全体が虫こぶだらけで、葉の形も歪んでしまっています。


ヌルデ(花附子)         ヌルデ(木附子)         ヌルデ(木附子)
2016/8/27
芝生広場の奥の方で見かけたヌルデの虫えい(虫こぶ)です。真っ赤な花附子が目に止まりました。
その後、周りを見回すと、赤味の少ない木附子(たぶん)が見つかりました。
残念ながら、耳附子と呼ばれるタイプのものは見当たりませんでした。
この虫えいを作るヌルデシロアブラムシは、オオバチョウチンゴケで越冬します。
そして、翌春、ヌルデの葉軸に産卵しますので、オオバチョウチンゴケがないと虫えいはできません。
つまり、全てのヌルデに虫えいが出来る訳ではないのです。会場近くでは、この1ヶ所のみでした。

五倍子の種類と区別

耳附子
袋状になり、複葉の葉柄の翼葉につく。
花附子
数回分岐し、小葉片の中央脈につく。
(アントシアンで着色していることが多い)
木附子
数回分岐し、枝端または葉腋につき袋状部は花附子より広く壁も厚い。
(アントシアンで着色していることは少ない)


ヌルデの耳附子

   .
2023/8/5
兵庫県の網引湿原近くの農道脇で見かけた、ヌルデの耳附子です。
複葉の葉柄に付く翼葉から出ていて、見た目は伸び始めたばかりの鹿の袋角のような感じです。
1つ破れたものがあり、タンニンが豊富なためでしょうか、その部分は真っ黒でした。


オニドコロ(Dioscorea tokoro)
<ヤマノイモ目・ヤマノイモ科・ヤマノイモ属>

<雄花序>

<雌花序>
ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草で、日本各地の山野に自生している。
雌雄異株で、ヤマノイモに似るが、葉が互生している点、ムカゴを作らない点などで区別できる。
葉は、三角状心形で、長さ、幅とも10cm程になり、先は長く尖る。
雄花序は葉腋から直立し、淡緑色の小さな花を付ける。ただし、花が咲き上る頃、重みで頂部は垂れ下る。
雌花序も葉腋からでるが、初めから垂れ下がる。
雄花の6個の花被片は平開し、オシベも6個ある。雌花の基部には下位子房があり、メシベの花柱は3裂する。
果実は、子房の3つの翼が大きく成長し、3枚の翼のようになる。この翼の中に薄い種子が2個入っている。
根は、そのままでは有毒で食用には適さないが、灰汁であく抜きすることで食べることはできる。

2015/8/21
JR只見線の越後須原駅近くにある駐車場で見かけました。
道路脇の斜面から這いあがり、ガードレールの支柱などに絡み付いているのはクズだけではありません。
同じようにオニドコロもたくさん絡み付いていました。
最初、目に付いたのはたくさんの花を付けた雄花序でした。
しかし、良く見るとその脇の方に、数は少ないですが雌花序も見られました。
雄花序がほぼ満開なのに対し、雌花序は咲き始めたばかりのようです。
花も完全には開いておらず、基部の子房の翼もごく小さく、翼に見えません。


オニドコロの果実

       .
2013/11/24
奈良の室生寺へ向かう参道脇で見かけたオニドコロの果実です。
垂れ下る花序に、楕円形のさく果は上向きに付き、3つの翼があります。
果実の翼の部分に種子が入っており、裂開して各々2個の種子が出てきます。
種子にはカエデの種子のように翼があり、風に乗って飛びます。


オオハシカグサ(Hedyotis lindleyana var. glabra)
<リンドウ目・アカネ科・アカネ亜科・ヘクソカズラ連・フタバムグラ属>

アカネ科フタバムグラ属の1年草で、在来種。
日本では、本州の中部地方の日本海側と東北地方に分布する。
草丈は20〜40cmで、茎は柔らかくて4峰があり、地を這って広がり、斜めに立ち上がる。
葉は対生し、葉身は長さ3〜7cmとハシカグサより大きく、葉に毛が少なくて艶がある。
花期は8月〜9月で、茎の先端や葉腋に白い小花が数個固まって付く。
花冠は白色で、直径は3oほどとハシカグサより一回り大きな筒状花で、先が4〜5裂する。
オシベ4個が、花冠の内面に付き、花糸は短い。メシベの花柱は2個で、基部は花盤が取り巻く。
萼は花冠の裂片より大きく、ハシカグサと異なり無毛。
果実は痩果で、直径3o前後の球形。

2018/8/25
胎内星まつり会場から少し離れた芝生広場。それを取り囲む林の中で見かけました。
見た感じは、ハコベの仲間のように見えたのですが、よく見ると花の形が異なります。
後で調べたのですが、5弁花の花に該当するものが、なかなか見つかりません。
範囲を広げて片っ端から花の形で探していて、ハシカグサに似ていることが分かりました。
なお、基本が4弁花で、たまに5弁花のものが見られるとのこと。5弁花で見つからないわけです。
さらに調べていて、ハシカグサより大柄な本種、オオハシカグサとしました。
その理由は、撮影場所が日本海側である点、萼が無毛である点です。

ヘクソカズラ(Paederia scandens)
<リンドウ目・アカネ科・アカネ亜科・ヘクソカズラ連・ヘクソカズラ属>

アカネ科ヘクソカズラ属のつる性多年草で、全国で見られる。
日本以外では、東アジア一帯に分布し、北アメリカやハワイなどに帰化している。
特有のいやな臭いがあり、これが和名の由来。
葉は対生し、楕円から狭卵形で、長さ4〜10p、幅1〜7p。
花期は7月〜9月で、葉腋から短い集散花序を出し、花をまばらにつける。
花冠は鐘状で長さは1p前後。灰白色で先は5残裂し、中央は紅紫色で毛が生える。
花糸の短い5個の雄しべは、花冠の内部に付く。花柱は2個で、基部で合着する。
果実は、直径5oほどの球形の核果で、黄褐色に熟す。

2018/8/23
国道290号線 五泉市高松付近の農道脇で、ノブドウと一緒に樹に絡みついていました。
大概の場所で見られるヘクソカズラですが、地味なこともあり、カメラを向けることがあまりありません。
長年、胎内に通っていますが、見かけて写真を撮ったのは初めてです。


2019/8/22
奥胎内ヒュッテに向かう途中、道路脇で見かけたオトコエシに絡みついているヘクソカズラです。
どちらも強健なようで、お互いに負けることなく花を咲かせていました。

ハナハマセンブリ(Centaurium tenuiflorum)
<リンドウ目・リンドウ科・リンドウ連・ケンタウリウム属>

リンドウ科ケンタウリウム属の1年草で、地中海沿岸原産の帰化植物。
1988年に神奈川県で最初の報告があった、比較的新しい帰化植物である。
以前はシマセンブリ属とされていたが、シマセンブリ自体が分類変更され、本属ではなくなっている。
葉は、十字対生でほぼ水平まで開き、やや幅のある披針形で、無柄で先が尖る。
ロゼット状の根生葉は、花期にはほとんど枯れてしまっている。茎は4稜形で、稜には翼がある。
花冠はピンク色で、中心部が白く、5裂して平開し、直径は10mmほどになる。
萼は筒状で、花冠の基部に接して付き、先は深く5裂して、裂片の先は細く尖る。
ベニバナセンブリと良く似ているが、花期に根生葉が元気に残っていること、
茎葉がベニバナセンブリ程開かず、閉じたように付くこと、
ツボミの状態で、花冠裂片と花筒の比率が、ほぼ1:1(ハナハマセンブリは1:1.5)なので、区別できる。

2015/8/21
谷川岳PAで朝食を取った時、近くで見かけた野草です。
ピンクの花のハナハマセンブリは、花の付き方がなんとなくリンドウに似ています。
調べてみると、やはりリンドウ科の植物でした。
なお、通常は花冠は5裂するのですが、写真のものは6裂しています。
右端の写真は、茎の途中に多くの花が付いていて、リンドウの花に近い付き方をしています。
しかし、Web等で調べると、多くは茎の上部に花が集中しているものが掲載されていました。

ツチグリ(Astraeus sp.)
<ニセショウロ目・ツチグリ科・ツチグリ属>

ツチグリ科ツチグリ属のキノコで、全世界に広く分布する。
夏から秋にかけて、林内の道端や土の崖などで普通に見られる中型のキノコである。
扁球形の袋の中に作る胞子の外側を、厚い皮質の外皮が覆っている。
成熟すると、外皮が7〜10片に裂けて、星型に開き、その中央に胞子の入った袋が乗る。
外皮は二層構造になっており、内側の層が給水すると膨張し、乾湿に合わせて外皮が開閉する。
乾燥して外皮が丸まる際、袋が押されて、袋の中央にある穴から胞子が放出される。

2016/8/27
胎内星まつり会場下にある林内のテントサイト。その下の道路の則面で見かけました。
特に珍しいものではないそうですが、私が見かけたのは始めてです。
残念ながら、既に干からび初めていますが、裂けた外皮と中央の袋は確認できます。
胞子の放出も終わったのか、袋が破けて中が見えています。褐色のものは胞子なのでしょうか。
キノコというより、形からはラフレシアの花が連想されます。

ちなみに、内部が白い幼菌は食用になるそうで、東南アジアでは売られているそうです。
日本では、東北地方の一部では食べられているそうですが、それ以外では食べる習慣はないとのこと。
欧米では乾燥させたアミガサタケを珍重するが、日本では気味悪がって食べないのと似ていますね。
逆に日本では珍重される松茸も、欧米ではカビ臭いなどと敬遠されるとか。所変わればですね。

オオワライタケ(Gymnopilus junonius (Fr.) P.D. Orton.)
<ハラタケ目・ヒメノガステル科・チャツムタケ属>

ヒメノガステル科チャツムタケ属の木材腐朽菌で、大型の毒キノコである。
旧学名は"G.spectabilis"で、現在はシノニムとなっている。
以前フウセンタケ科に分類されていた属の多くが、現在は複数の科に分割されている。
その結果、本種もフウセンタケ科からヒメノガステル科になっている。
非常に分布域は広く、ほぼ全世界に分布している。
傘径は5〜15cmで、半球形〜まんじゅう形からほぼ平らに開く。
表面は黄金色〜帯褐橙黄色で細かい繊維紋があり、ひだは帯黄色から明るいさび色となる。
柄は長さ5〜15cm、太さ6〜30mmで、根もとが太く、傘より淡色で繊維状である。
柄の上部に淡黄色膜質のつばがある。
夏〜秋、ミズナラなどの広葉樹の根本や枯れ木に多数束生し、稀に針葉樹にも単生か少数が束生する。
主要な毒成分はジムノピリンで、幻覚や幻聴、視覚障害などの中枢神経系の中毒症状を引き起こす。

2024/8/25
芝生広場の奥になる小さな沼の畔で、木の切り株に寄り添うように叢生していました。
見るからに毒キノコらしい風貌をしているのですが、見るのは初めてのような気がします。
特徴のないキノコなので、同定できるか不安でしたが、おおよその見当がつきました。
国内のオオワライタケ"Gymnopilus junonius"の分子系統解析が行われ、下記の4系統に分類されたそう。
系統1:G. orientispectabilisのクレードを形成
系統2:sororiluteusクレード
系統3:G. luteusと姉妹クレードを形成
系統4:G. voitkiiのホロタイプ標本を含む
なお、狭義の"Gymnopilus junonius"と形態的・分子系統学的に合致するものは見つからなかったそうで、
要するに"Gymnopilus junonius"として知られているものは、国内では一致するものがなかった模様。
今回見つけたものが、どの系統に合うのかは、素人では判断しようがありません。
そのため、ここでは従来のオオワライタケ"Gymnopilus junonius"としてあります。

ジュウモンジシダ(Polystichum tripteron (Kunze) Presl)
<ウラボシ目・オシダ科・イノデ属>

オシダ科イノデ属の夏緑性シダ植物で、山間部では普通なシダである。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東部、ロシア東部に分布する。
葉は束生し、茎は短くて、ほぼ直立して鱗片に覆われる。
葉身は長さ20〜50cmの長楕円形の単羽状複葉で、斜上して先はほぼ水平になる。
裂片は、長さが3〜5cmの披針形で、左右非対称。基部は切型で、先端側に切れ込みがある。
裂片は、葉先に近づくにつれて急に小さくなり、細長い鋸歯のある裂片になる。
葉身の基部からはほぼ直角に1対の軸が伸び、小さな単羽状複葉になる。
そのため、は全体を見ると十文字状に見え、これが和名の由来となっている。
なお、個々の裂片は厚みのある草質で、黄緑色で艶はない。
裏側の葉軸にはまばらに鱗片を付け、胞子嚢群は葉裏のあちらこちらに散在すか、中肋の両側に並ぶ。

2017/7/29
星まつり会場から芝生広場に向かう途中の林縁で見かけました。
リョウメンシダのすぐ隣で、大きく葉を広げていました。
撮った時には気が付かなかったのですが、基部から左右に小さな葉が伸びていました。
右の写真は、その部分の拡大ですが、右上に伸びているのが主軸で、左上と手前に小さな葉が伸びています。


2018/8/25
星まつり会場から芝生広場に向かう途中の林内で、ジュウモンジシダを撮り直してきました。
葉裏のソーラス、基部から横に伸びる葉軸の様子が分かるように撮ったものです。

リョウメンシダ(Arachniodes standishii)
<ウラボシ目・オシダ科・カナワラビ属>

オシダ科カナワラビ属の常緑シダ植物で、山地の谷間や斜面の湿ったところに見られる。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。
海外では、朝鮮半島の済州島と鬱陵島に自生が確認されている。
草丈は60〜150cmで、根茎は太くて鱗片が多く、短く横に這う。
葉は束生し、葉柄は長さ30cm前後。基部には褐色〜黄褐色の鱗片が密生する。
基部の鱗片は大きいものでは長さ2cmほどあり、上部の葉柄にも線状の鱗片がまばらに付く。
葉身は長さ40〜65cmで、3〜4回羽状複葉。全体の形は長卵状披針形で、先は急に狭まり尖る。
二次小羽片は、長さ10mm前後の楕円形で先端は尖り、縁には鋸歯がある。
葉は紙質の淡緑色で、胞子嚢群を付けない部分では、表裏が同じように見えるのが和名の由来。
胞子嚢群は、葉身の下部の中央付近から外側の葉脈の先端に生じる。
円腎形の包膜は大きく、縁は滑らかで、秋から冬に熟する。
胞子は、葉緑体を含むので緑色に見え、カナワラビ属の中では本種のみの特徴である。

2017/7/29
星まつり会場から芝生広場に向かう途中の林縁で見かけました。
草むらの中からかなり大きな葉が伸び出していて、淡緑色の柔らかそうな葉でした。


2018/8/25
星まつり会場から芝生広場に向かう途中の林内で、ジュウモンジシダ(下部)の側で見かけたものです。
昨年見たときは、瑞々しい緑色だったのですが、今年は葉先が褐色味を帯び、少し薹が立っているようです。

シシガシラ(Blechnum niponicum)
<ウラボシ目・シシガシラ科・ヒリュウシダ属>

シシガシラ科ヒリュウシダ属の常緑シダ植物で、日本固有種。木陰のやや湿った斜面に生える。
日本では、北海道から本州、四国、九州、屋久島と広範囲に分布するが、琉球列島には分布しない。
太い根茎があり、多くの葉を密集して付ける。茎は極短く立ち上がり、茎には多数の葉を密生する。
葉の大部分は栄養葉で、ロゼット状に広がる。少数の胞子葉は斜上するか立ち上がる。
茎には鱗片を密生し、葉の基部にも少し鱗片が付く。葉軸の上面に溝がある。
栄養葉は、1回羽状複葉で40cm程の長楕円形で、羽片は濃緑色で艶はなく、少し厚みがある。
個々の羽片は線形で先は丸みを帯び、軸から直角に出て葉先の方に少し曲がる。
胞子葉は斜上するか立ち上がり、全体の形状は羽片がまばらな点を除き、栄養葉と同じである。
なお、羽片の表は褐色で、緑色にはならない。 胞子葉の羽片は両縁が裏側に巻き、胞子嚢群を包み込む。

2017/7/29
星まつり会場から少し離れた芝生広場の奥、ゴルフ場への道を脇で見かけました。
新葉は、瑞々しい淡緑色で、きれいな色をしていました。

ゼンマイ(Osmunda japonica)
<ゼンマイ目・ゼンマイ科・ゼンマイ属>

ゼンマイ科ゼンマイ属の夏緑性多年生シダ植物で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、渓流や水路の脇などによく生える。
海外では、樺太、朝鮮半島から中国、ヒマラヤまで分布する。
草丈は1mほどになり、葉は2回羽状複葉。小葉は披針形で先が丸い。
新芽は渦巻き状で、表面を綿毛に覆われているが、成長すると毛はなくなる。
春に栄養葉と共に胞子葉を出す。栄養葉は1つの株から数枚の大きな葉を出す。
胞子葉は、独立してまっすぐに立ち上がり、棒状の小葉が並ぶ。胞子葉は短期間で消滅する。

2017/7/30
星まつり会場から少し離れた芝生広場の奥、ゴルフ場への道を脇で見かけました。
まだ、葉は長さ数十cmと小さな株ですが、葉の特徴などは一人前です。

エゾスナゴケ(Racomitrium japonicum)
<ギボウシゴケ目・ギボウシゴケ科・シモフリゴケ属>

ギボウシゴケ科シモフリゴケ属のコケで、在来種。低地から亜高山の日当たりの良い場所に生育する。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では朝鮮半島から中国、ロシア、ベトナム、オーストラリアに分布する。
名の通り砂地などの乾燥する場所に良く生育し、平地や斜面に広がって群落を形成する。
草丈は1〜4cmで、茎は分枝せず、直立して葉を密に付ける。
葉は長さ2mm強の卵状披針形で、葉先は短い透明尖になる。葉縁は折れて、2重になる。
なお、葉は水分を含むと広がって緑となり、乾燥すると上方に巻き込んで、色は白くなる。
雌雄異株で、凾ヘ長楕円状で平滑。剳ソは長さ15mmで赤褐色、平滑。剋浮ヘ2裂して糸状。

2017/7/27
加茂市、薬師山の麓にある駐車場の脇は、斜面から水がわき出しており、湿地のようになっています。
その湿地の外れの小高い所に苔が生えていました。開いているものと、すぼんでいるものがあります。
左端写真は葉を上方に巻き込んで細くすぼんだ状態、右端写真の右側は開いた状態です。
中央で一際緑が鮮やかで、少し大きめの苔は、おそらく、近くに経て生えていたウマスギゴケと思われます。
中央の写真は、その両者を比較したもので、ウマスギゴケは倍以上の大きさがあります。
その下に見える濃い緑色の苔も本種だと思われますが、右の写真とは色が異なります。


2018/8/26
昨年は湿地も乾燥気味でしたので、葉を巻き込んで上記のように葉先が白っぽくなっていました。
今年は水が流れていて十分な水があったので、葉も開いてきれいな緑色でした。

ウマスギゴケ(Polytrichum commune Hedw.)
<スギゴケ目・スギゴケ科・スギゴケ属>

スギゴケ科スギゴケ属のコケで、在来種。雌雄異株。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、世界各地に広く分布する。
草丈は高さ5〜20cmと大型で、茎は直立して、枝分かれはしない。
葉は長さ6〜12mmの披針形で、乾くと葉は茎に沿うようにたたまれ、巻縮することはない。
葉の基部は鞘となり、葉鞘部は長さ6〜12mmの卵形。中肋(ちゅうろく)は葉先から短く突出する。
葉の縁は透明で、上向きの鋭い歯がある。薄板は腹面全体を覆う。
雌株からは長さ5〜10cmの剳ソが伸び、(さく)は帽の密生した毛にすっぽりと覆われている。
帽の毛の下に蓋のある凾ェあり、凾ノは稜がある。頸部のくびれは、帽の毛で見えない。
この凾フ頸部のくびれが、よく似たオオスギゴケとの識別点で、このくびれが深いのが特徴。

2017/7/27
加茂市、薬師山の麓にある駐車場の脇は、斜面から水がわき出しており、湿地のようになっています。
その湿地の外れの小高い所に苔が生えていて、エゾスナゴケと接してウマスギゴケが群生していました。
エゾスナゴケと接している部分は緑が濃くきれいでしたが、その隣では右のように枯れかけていました。


2018/8/26
ウマスギゴケは、湿地の外れに生えているため、乾燥気味の所では下の方が褐色になっていました。
エゾスナゴケが混じる湿潤な所では、きれいな緑色をしています。

ハイゴケ(Hypnum plumaeforme Wilson)
<ハイゴケ目・ハイゴケ科・ハイゴケ属>

ハイゴケ科ハイゴケ属のコケで、茎は地面を這うように横に生育しする。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、ネパール、ベトナム、フィリピンに分布する。
茎は長さ10cm程に伸び、ほぼ扁平に、規則的に羽状に枝を伸ばす。
枝は長さ15o程で、水平からやや斜上する。乾燥すると枝が少し反り返り、葉は丸く縮む。
茎葉は長さ2〜3oの広卵形で、葉先は細く尖り、基部はやや心形で翼状になる。
葉の背側は丸くまるまり、上部は鎌形に曲がる。乾燥すると強く曲がる。
色は黄緑色で、乾燥すると褐色に近くなる。しかし、季節や生育環境によっても変化する。
長い年月育ったハイゴケは、裏が褐色化して、表土や岩から簡単にはがれ、厚みが10cmになることもある。

2017/7/29
星まつり会場から少し離れた芝生広場。その脇にある小さな池の畔で見かけました。
2つの岩の上にびっしりと生え、手前の岩の上では苔の上にチジミザサが生えていました。
ここは水辺が近く、周りを木に囲まれていて、生育環境としてはピッタリの場所だと思います。

ヤマトキゴケ(Stereocaulon japonicum)
<チャシブゴケ目・キゴケ科・キゴケ属>

キゴケ科キゴケ属に分類される樹状地衣類で、在来種。
地衣類はその形態から、葉状地衣類、痂状地衣類、樹状地衣類に大別される。
葉状地衣類は薄い膜状の地衣類で、
痂状地衣類は地衣体が基質に密着・一体化しているように見える痂状状態のもので、
樹状地衣類は枝状になって基質から立ち上がるものである。
地衣体の一部が樹枝状に伸びたものを擬枝柄といい、分枝した小枝を刺枝という。
ヤマトキゴケは、国内では本州から四国、九州に分布する。
海外では、中国、台湾、ジャワなど冷温帯や暖温帯の岩上に着生する。
地衣体は樹状で、灰色から淡褐色だが、分枝の多少、刺枝の形状など変異が多い。
子柄(偽枝柄)は直立して高さ1〜3cm、幅0.5mm前後で分枝は少ない。
サンゴ状の刺枝は子柄の片側に密生し、反対側には2mm程度の円柱状の刺枝を付ける。
擬子柄の頭頂部に黒褐色の子器を付ける。なお、共生藻は緑藻と藍藻である。

2023/8/20
加茂市の外れにある国道290号線沿いの駐車場。駐車場を出るとそこは三条市です。
その脇には水の流れる湿地と乾燥した斜面があり、いろいろな植物が繁茂しています。
その境界線辺りにある岩に、以前は苔がびっしりと生えてましたが、
そこに割り込むように生えていたのが、このヤマトキゴケ(たぶん)です。
コケと名前が付いていますが、地衣類となりますので、コケ類とは異なります。
キゴケの仲間は似たものが多いので同定は容易ではありません。
それらの中で最も似ていたのがヤマトギコケですが、変異が多い種類なので確信が持てません。
擬枝柄の先端に子器が出ていれば、もう少し絞れるのですが、まだ、皆無です。