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八ヶ岳山麓 原村近辺の昆虫V



ここ何年か通っている「原村 星まつり」そのの会場である「八ヶ岳自然文化園」やその近辺、
会場への往路、復路で見かけた昆虫をまとめたものです。

ただ、星まつりが毎年、8月の初旬に開催されるため、その時期に見かけた昆虫のみです。
特に珍しいものではありませんが、こんな昆虫類が暮らしているのだと見ていただければ幸いです。

< トピック >

今回、下記の昆虫の写真を追加しました。
ノシメトンボ



ここでは、下記の昆虫を掲載しています。
トンボ目・トンボ亜目
ヤンマ科(オニヤンマ、ギンヤンマ)
トンボ科(アキアカネ、ナツアカネ、ノシメトンボ、マユタテアカネ、シオカラトンボ)
エゾトンボ科(タカネトンボ)
トンボ目・イトトンボ亜目
アオイトトンボ科(アオイトトンボ、オツネントンボ)
シリアゲムシ目・シリアゲムシ亜目
シリアゲムシ科(ヤマトシリアゲ)
カゲロウ目・ヒラタカゲロウ亜目・モンカゲロウ上科
モンカゲロウ科(フタスジモンカゲロウ)
バッタ目・バッタ亜目
イナゴ科(コバネイナゴの幼生)
バッタ科(ナキイナゴ、タカネヒナバッタ)
バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科
キリギリス科(ヒメギス)
カメムシ目・カメムシ亜目・アメンボ下目・アメンボ上科
アメンボ科(アメンボ)
カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科
カメムシ科(エゾアオカメムシ、チャバネアオカメムシ、トゲカメムシ、ブチヒゲカメムシ)
ツノカメムシ科(セアカツノカメムシ、ヒメツノカメムシ)
カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科
ヘリカメムシ科(オオヘリカメムシ)
カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・トコジラミ上科
カスミカメムシ科(アカアシカスミカメ、ブチヒゲクロカスミカメ、メンガタカスミカメ、
        モンキクロカスミカメ)
カメムシ目・頸吻亜目・セミ上科
セミ科(エゾゼミ)
八ヶ岳山麓 原村近辺の昆虫
和名インデックス


オニヤンマ(Anotogaster sieboldii)
<トンボ目・トンボ亜目・オニヤンマ上科・オニヤンマ科・オニヤンマ属>

オニヤンマ科オニヤンマ属の大型のトンボで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州南西諸島まで、全国で見られる。
海外では、朝鮮半島から中国、サハリン、シベリア、台湾に分布する。
出現時期は6月〜11月で、体長は90〜110oと日本最大のトンボである。
緑色の複眼と、黒地に黄色の縞模様が特徴で、胸の前に八の字、胸部側面に2本、腹部の各節に1本ある。
大型の昆虫であり、孵化後、蛹になるまでには数年(5年とも言われる)もかかり、幼虫で越冬する。

2011/8/6
八ヶ岳自然文化園の芝生広場で、芝生の上を飛び回っているオニヤンマをみかけました。
休みなく飛び回っているので、なんとかカメラで追いかけ、流し撮りしたものです。
そのため、小さくしか撮れていませんが、なんとか同定できました。
日本では、最も大きなトンボで10cm近くあるのですが、これくらいが限界でした。

ギンヤンマ(Anax parthenope)
<トンボ目・トンボ亜目・ヤンマ上科・ヤンマ科・ヤンマ亜科・ギンヤンマ属>

ヤンマ科ギンヤンマ属の大型のトンボで、在来種。
日本では、北海道南部から本州、四国、九州に広く生息している。
日本に分布しているのは亜種(Anax parthenope julius)であり、東アジア全般に生息する。
基亜種は、東アジア、インド、カザフスタンまで分布している。
出現時期は4月〜11月で、体長が70〜80oの大型のトンボ。
頭部と胸部が黄緑色、腹部が黄褐色をしているが、境界部分が水色だとオス、黄緑色だとメスである。
翅は透明で、若干褐色味を帯びるが、メスの翅は褐色味が強く出る。
平地から低山地の池沼や水田などで見られ、オスは広い縄張りを持って、縄張り内を飛び回る。

2011/8/6
八ヶ岳自然文化園の芝生広場で飛翔中のギンヤンマを見かけました。
オニヤンマとは少し離れた場所ですが、同じように行ったり来たりを繰り返していました。
オニヤンマはかなり低空飛行でしたが、ギンヤンマは比較的高い所を飛翔していました。
そのため、同じような流し撮りですが、写り方がかなり異なります。

アキアカネ(Sympetrum frequens)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>

トンボ科アカネ属のトンボで、日本では全国でふつうに見られる。
日本の固有種で、極東アジアからヨーロッパにかけては、近縁種のタイリクアキアカネが分布する。
ナツアカネと異なり、夏には平地から高地に移動し、秋に成熟して平地に戻ってくる。
体長はオスが32〜46mm、メスが33〜45mm、後翅長はオスが25〜34mm、メスが26〜34mm。
夏場の未成熟期は橙色の体色であるが、秋の深まりとともに成熟して赤い体色になる。
特にオスは赤くなるが、ナツアカネと異なり、胸や頭部までは赤くならない。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の芝生広場の縁で見かけました。
撮影した時は、ナツアカネだと思っていたのですが、胸の模様からアキアカネと判断しました。
この辺りでは、赤いアカネは少ないようで、撮影した中ではこの1枚のみでした。

アキアカネは、平地で羽化した後、夏には高地に移動し、秋に成熟して平地に戻ります。
八ヶ岳自然文化園も山麓とはいっても高度は1,300mあり、十分に高地と思えますが、ナツアカネの方が多いです。

ナツアカネ(Sympetrum darwinianum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>

トンボ科アカネ属のトンボで、在来種。
日本では、北海道から四国・九州にかけて広く生息している。
日本以外では、朝鮮半島から中国中部、台湾に生息している。
アキアカネと異なり、夏も平地で見られる。
体長は33〜43mmで、腹長20〜28mm、後翅長23〜32mmである。
夏場の未成熟期は橙色の体色であるが、秋の深まりとともに成熟して赤い体色になる。
特にオスは全体が赤くなり、まさに赤トンボの名にふさわしい色になるが、メスは腹部の上面のみ赤くなる。

2012/8/3
八ヶ岳自然文化園へ向かう途中の富士見高原辺りの道路脇でみかけました。
夏の始めですので、まだ、赤みは強くなく、橙色に近い色合いです。

 
2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の林の中や、林を抜けた牧草地でたくさん見かけました。
林の中に沼地もあり、餌となる小さな虫も多いので、生活する場所としては申し分ないのでしょう。
下記のノシメトンボと共に、この辺りでは最も多いトンボです。

なお、アキアカネとナツアカネの識別方法は、下記をご覧ください。


ナツアカネとアキアカネの見分け方

   .

成熟した個体のどこまでが赤いかなど、いろいろ異なる所はあります。
ただ、最も分かりやすい違いは、胸の3本線の中央の形(白い丸印の中)です。
ナツアカネは、先が切り落とされたように、角張っています。
一方、アキアカネは、そのまま伸びてとんがっています。
そっと近づいて横から観察するか、捕えて観察してみてください。


ノシメトンボ(Sympetrum infuscatum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>

トンボ科アカネ属のトンボで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州や周辺の離島に広く分布する。
海外では、朝鮮半島から中国北部、ロシア沿海州に分布する。
体長は37〜52mm、腹長は22〜35mm、後翅長は25〜39mmで、雌雄差はほとんどない。
アキアカネと並んでよく見られるアカネ属の普通種で、赤トンボの仲間ではもっとも大型種。
ただ、成熟してもオスの腹部背面が暗赤色に変化する程度で、メスはほとんど変わらない。
特徴は、腹部の黒い熨斗目模様に似た模様と翅先端の褐色斑だが、褐色斑は変異が大きい。
成虫は6月下旬頃から11月下旬頃まで、平地から低山地で、林地近くの開けた沼地や水田に多い。
リスアカネやコノシメトンボ、マユタテアカネは似ているが下記の点で識別できる。
・リスアカネは胸部第1黒条が完全に上縁に届かず、黄色い腹部斑紋は細長い線状
 ノシメトンボの胸部第1黒条は上縁に達し、黄色い腹部斑紋は小さな点状
・コノシメトンボの胸部第1黒条と第2黒条は上方で繋がっている
 リスアカネもノシメトンボも胸部第1黒条と第2黒条は繋がらない
・マユタテアカネの胸部の黒条は、細くて小さく、ほとんど無いように見える
 また、マユタテアカネの顔面には、明瞭な眉斑がある
 ノシメトンボにの顔面にも、不明瞭ながらも眉斑が見られる

2008/8/9
八ヶ岳自然文化園の林縁や、林を抜けた牧草地でたくさん見かけました。
ナツアカネ同様、この辺りでは最も良く見かけるトンボです。
赤トンボと呼ばれるアカネ属の中では、大型のトンボで、翅の先端の褐色の斑紋が特徴です。

 
<オス>            <メス>
 
2009/8/9
上段は、ノシメトンボのオスとメスです。オスの腹部基部には副性器の出っ張りがあります。
メスにはないので、下段右のように膨らんではいますが、凹凸はありません。
下段は、顔面と胸部を拡大したもので、顔面には明瞭ではありませんが眉班があります。
胸部横の第1黒条(中央)は上縁に達し、第2黒条(右端)とは繋がっていません。

 
2011/8/6
八ヶ岳自然文化園の林を抜けた牧草地で見かけました。
翅の先端の褐色の斑紋がよく分かると思います。

 
2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の林縁で見かけたノシメトンボです。
フシグロセンノウとコバギボウシで一休みしている所です。


ノシメトンボとマユタテアカネの眉斑
     .
<ノシメトンボ>         <マユタテアカネ>
マユタテアカネの眉斑は大きく明瞭ですが、ノシメトンボの眉斑は小さいです。
両者の違いは、胸部横の黒条を見れば明確で、マユタテアカネの黒条は細くて目立ちません。


マユタテアカネ(Sympetrum eroticum eroticum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・アカネ亜科・アカネ属>
 
<オス>            <メス>
トンボ科アカネ属のトンボで、和名は本種の特徴である顔面にある眉状斑に由来する。
日本では北海道から本州、四国、九州にかけて広く分布する。南西諸島の一部にも分布する。
海外では朝鮮半島から中国、ロシア、台湾に分布する。
平地から低山地にかけての水辺に生息し、木立のあるやや薄暗い所に多い。
アカネ属の中ではやや小型で、体長は30〜40o程度、雌雄とも顔面に眉斑と呼ばれる黒斑がある。
オスは、腹部がやや弓なりに反り、尾部上付属器の先端が上に反っているので分かり易い。
メスの産卵弁は幅広く、中央部が凹む。体色は、雌雄とも未熟期は、黄褐色をしている。
オスは、成熟すると腹部は赤化し、胸部は暗褐色になる。
メスは、成熟しても体色が濃くなる程度のものが多いが、稀に腹部が赤化する個体がいる。
また、メスには翅の先端に褐色の斑紋があるものもおり、その組み合わせで4型が存在する。

2016/8/6
八ヶ岳自然文化園の林内の沼近くで見かけました。園内で見るのは初めてです。
オスは、腹部第2、第3節に副性器が見えています。
メスは、4型の内の翅先端に褐色斑があり、腹部が赤化しない型です。

※ メスのその他の型に関しては、こちらをご覧ください。

シオカラトンボ(Orthetrum albistylum speciosum)
<トンボ目・トンボ亜目・トンボ上科・トンボ科・ヨツボシトンボ亜科・シオカラトンボ属>
 
日本では、北海道から四国・九州にかけて広く生息している。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾、極東ロシアに分布している。
成熟すると雄は体色が黒くなり、胸から腹部の頭部側に白い粉を噴いたようになるのでこの名がある。
未成熟なオスやメスは、黄色に黒の模様が入るので、ムギワラトンボと呼ばれる。
コフキトンボよりスリムで、腹部第4節にヒダがないことで区別できる。

2012/8/5
八ヶ岳自然文化園からの帰路、立ち寄ったサントリー白州蒸留所の保全林奥の沼で見かけました。
成熟するとオスは体色が黒くなり、胸から腹部の頭部側に白い粉を噴いたようになります。
写真左側がその成熟個体です。右の写真は、成熟途中のオスで腹部のみ色が変わりかけています。
なお、メスや未成熟のオスは、黄色に黒の模様が入るので、ムギワラトンボと呼ばれます。

タカネトンボ(Somatochlora uchidai)
<トンボ目・トンボ亜目・エゾトンボ科・エゾトンボ属>
 
エゾトンボ科のトンボの一種で、日本固有種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布するが、西日本では極めて少ない。
名前に"高嶺"が付くが、低山地から高地に生息し、薄暗い小規模な池沼などに多い。
体長55mm前後の細身のトンボで、複眼は鮮やかな金緑色で、胸部も金属光沢を帯びた緑色である。
成虫は6月上旬頃から羽化が始まり、10月下旬頃まで見られる。
未熟なうちは、腹部は鈍い金緑色、複眼は小豆色、胸部背面の黄斑が目立つ。
成熟すると腹部は黒味を帯び、複眼は濃い金緑色、胸部背面の黄斑は目立たなくなる。
産卵は、メスが単独で打水産卵を行う。幼虫は成長が遅く、成虫になるまで2年以上かかる。

2016/8/6
八ヶ岳自然文化園の林内の沼で見かけました。
最初、ガサガサと音がして、水面に波紋が広がるのですが、何がいるのか分かりませんでした。
良く見ていると、葉の陰からトンボが出てきて、水面に尾端を打ちつけて産卵していました。
金属光沢のある体色で、複眼はきれいな金緑色、尾端を大きく反らした独特なスタイルです。
今まで、見たこともない種類でしたので、写真を撮ることにしたのですが、とにかくじっとしていません。
常に動き回り、時折さっと打水産卵を繰り返しますが、薄暗くて、動きが早いのでピントが合いません。
四苦八苦しながら、なんとか撮れたのがこの写真です。
産卵シーンは、動きが早過ぎて全て被写体が流れて写っていませんでした。

アオイトトンボ(Sympecma paedisca)
<トンボ目・イトトンボ亜目・アオイトトンボ上科・アオイトトンボ科・アオイトトンボ亜科・アオイトトンボ属>
   
アオイトトンボ科アオイトトンボ属のトンボで、北海道から本州、四国、九州と広く分布している。
主に平地や低山地の挺水植物(ガマ、ヨシなど)が繁茂する池、沼、湿地に生息する。
全身が金属光沢のある青緑色で、オスは成熟と共に胸部や腹部尾端に白粉が生じる。
オオアオイトトンボに似ているが、胸部金属光沢部の形状が矩形に近いのが本種で三角形状がオオアオイトトンボです。
白粉の吹いたオスの場合、第9、第10節が白いのが本種で、第10節のみが白いのがオオアオイトトンボです。

2016/8/6
八ヶ岳自然文化園の林内の沼で見かけました。
今までも居たのかもしれませんが、気が付いたのは今回が初めてです。

オツネントンボ(Sympecma paedisca)
<トンボ目・イトトンボ亜目・アオイトトンボ上科・アオイトトンボ科・オツネントンボ亜科・オツネントンボ属>

日本では、北海道から本州、四国、九州北部に分布している。
日本以外では、朝鮮半島から中国、中央アジア、ロシア、ヨーロッパに分布している。
成虫で越冬する数少ないトンボの1つで、名前のオツネンは「越年」に由来する。
秋に羽化して、未成熟なまま越冬して、翌春に成熟して産卵する。
成熟しても体色等はほとんど変わらず、複眼が青くなるだけである。
よく似たホソミオツネントンボとは、翅を閉じたとき前後の翅の縁紋が重ならないことで識別できる。

2013/8/2
オツネントンボは、林の中で見かけましたが、地味な色合いなので目立ちません。
飛んでいなかったら気が付かなかったかもしれません。

 
<オス>

 
<メス>
2018/5/4
八ヶ岳自然文化園の林内を散策していて、オツネントンボが飛び回っているのに気が付きました。
最初に止まってくれたのはメスの個体でした。その後、近くに止まっているオスも見つけました。
各個体の拡大写真を見れば、前胸前面の縁紋が直線的な事、翅の縁紋が重ならないことで本種と分かります。
また、各個体の尾端にある生殖器の形は、オスの上部付属器はクワガタの大顎のような形をしています。
メスの場合は、ハの字のように開いた尾毛が見られ、オスとは形が大きく異なります。

ヤマトシリアゲ(Panorpa japonica)
<シリアゲムシ目・シリアゲムシ亜目・シリアゲムシ科>
   
 2006/8/5           2016/8/6         2016/8/6
シリアゲムシ目シリアゲムシ科の昆虫で、日本では、本州から四国、九州に分布する。
晩夏に現れるものは黄色っぽくて小さく、かつてはベッコウシリアゲと呼ばれていた。
林縁部の葉に止まっていることが多く、よく飛び回りるが、長くは飛ばず直ぐに止まる。
幼虫は、土中で虫を食べる肉食で、成虫も他の昆虫を捕食したり、死骸なども食べる。

2006/8/5 八ヶ岳自然文化園の林内の草原で見かけました。
頭部は、長く前に伸びた馬面で、他の昆虫とは間違えようのない面構えです。
オスは尾部をくるっと巻きあげた独特のポーズで、名前の由来となっています。
メスは尾部を持ちあげる程度ですので、この個体はメスです。
2016/8/6 八ヶ岳自然文化園の林内の草原で見かけました。10年目の再会です。
今回見かけたのもメスで、尾部は少し持ち上がっている程度です。

   
2017/8/5
今年はヤマトシリアゲのオスと良く出会いました。腹端を巻き込む独特のスタイルが特徴です。
多くは左と中央の写真のように体色が黒いタイプでしたが、1匹だけ黄褐色の個体に会いました。
晩夏に現れるベッコウシリアゲと呼ばれていたタイプで、上段右のメスも同じタイプのようです。

フタスジモンカゲロウ(Panorpa japonica)
<カゲロウ目・ヒラタカゲロウ亜目・モンカゲロウ上科・モンカゲロウ科・モンカゲロウ属>
 
大型のモンカゲロウの一種で、日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
腹部の体節毎の斜めの黒紋があり、黒い複眼と黒い翅脈、3本の長い尾毛が特徴です。
カゲロウは、幼虫→亜成虫→成虫という半変態と呼ばれる特殊な変態をする。
そして、成虫は餌を取らず、短命なことで知られる。

2013/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内で、植物(後にカラマツソウと判明)の写真を撮ったとき、偶然写っていました。
後で、撮影した特徴的な果実を調べていて、端の方に写っている本種に気が付きました。
若干ピンボケ気味ですが、同定するには十分でした。
なお、画面の端なので、尾毛も端は切れてしまっていました。

イナゴの幼虫(Catantopidae)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・イナゴ亜科・イナゴ属>
 
2014/8/9                   2018/8/4
バッタ科イナゴ属のバッタの幼虫で、イナゴはイナゴ科に属するバッタ類の総称。
日本では稲を食べる害虫とされ、同時に水田から得られる重要なタンパク源とされ、多くの地域で食用とされた。
バッタ科でイナゴの名が付くのは、イナゴ亜科、ツチイナゴ亜科、セグロイナゴ亜科、ヒナバッタ亜科にいる。
イナゴ亜科のハネナガイナゴかコバネイナゴの幼虫には、背中に白い筋模様がある。
この両種の幼虫は、見た目がそっくりで、外見からの判別はほぼ不可能である。

2014/8/9 八ヶ岳自然文化園の林内の草原で見かけた、イナゴの幼生です。
この写真からは、イナゴ科の幼生と思われますが、種類までは分かりませんでした。
体色や模様などから、ハネナガイナゴかコバネイナゴではないかと思われます。
2018/8/4 同じく、八ヶ岳自然文化園の林内の草原で見かけた、イナゴの幼生です。
背中の模様が前回見たものより不明瞭で、ぼんやりとしていますが、個体差かもしれません。

コバネイナゴの幼生 昆虫エクスプローラ
ハネナガイナゴの幼生 虫ナビ
ナキイナゴ(Mongolotettix japonicus)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・ヒナバッタ亜科・Mongolotettix属>
 
バッタ科ヒナバッタ亜科のバッタで、平地から山間部の乾燥気味の草原に生息する。
日本では北海道と本州に分布する。出現時期は6月〜9月。
体長はオスで19〜22mm、メスで25〜30mm。
オスは黄色味の強い褐色で、メスはくすんだ褐色。触角はやや平たく長めで、特にオスは長い。
翅は短くて、その先端は断ち切られたようになっている。
ただし、稀に褐色のオスや黄色味の強いメスがおり、雌雄とも長翅型が生じる事が極めて稀にある。
イネ科、カヤツリグサ科を食草とし、そうした群落に生息している。
オスは、前翅の翅脈と後脚腿節を擦り合わせて、ジャヵジャヵ……と鳴き、それが和名の由来。
産卵は、土中ではなく、イネ科の根元に行われるので、産卵管には鋸歯状の部分がない。

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内の草原で、見た事がない黄色っぽいバッタの幼虫を見かけた。
後で調べていてナキイナゴと分かり、翅は短くても立派な成虫であることもわかりました。
鳴くところは確認できていませんが、黄色味が強いのでオスと思われます。

タカネヒナバッタ(Chorthippus intermedius)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・ヒナバッタ亜科・ヒナバッタ属>
 
バッタ科ヒナバッタ属のバッタで、山地から亜高山に生息する。
日本では本州の静岡県以北〜福島県、岐阜県に分布する。
体長はオスで16mm前後、メスで18〜21mmほどになる。
オスの翅は長く、腹端まであるが、メスの翅は腹部の2/3ほどまでしかない。
山地や亜高山の日当たりの良い草原に普通に見られ、多くの植物の葉を食べる。

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内の草原で見かけた、後脚のグラデーションがきれいなバッタです。
後で調べて、本種と分かりました。翅が尾端まであるので、オスの個体と思われます。

ヒメギス(Eobiana engelhardti subtropica)
<バッタ目・キリギリス亜目・キリギリス下目・キリギリス上科・キリギリス科・
キリギリス亜科・ヒメギス族・ヒメギス属>
 
2014/8/9            2016/8/6
バッタ目キリギリス科のバッタで、日本では、北海道から本州、四国、九州に生息する。
体長30mm程で、全身が黒褐色で、背面は薄い褐色か、緑色をしている。
キリギリス同様、翅は腹端に達するか、やや短い。ただ、稀に長翅型も出現する。
メスの産卵管は短く腹部の3分の2ほどで、鎌の刃のような形をしている。
草原性で、キリギリスよりやや湿り気を好み、草丈も低めの場所に生息する。
鳴き声は「シリリリリ…」とヤブキリに似た鳴き声である。

2014/8/9 八ヶ岳自然文化園の林内で、木道を降りたところで、本種に出会った。
踏み跡に生えるオオバコの葉に止まっていました。
残念ながら、片方の後脚が取れてしまっていました。
2016/8/6 八ヶ岳自然文化園の林内で、葉の上に止まっている本種のオスに出会いました。
背面は緑色で、胸部の後方を縁取る白線が確認できます。

 
2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内の草原で見かけたヒメギスのオスです。
逃げ足が速くてなかなかアップで撮れなかったのですが、今回は逃げられなかったので撮れました。

アメンボ(Aquarius paludum paludum)
<カメムシ目・カメムシ亜目・アメンボ下目・アメンボ上科・アメンボ科・アメンボ亜科・アメンボ属>

アメンボ科アメンボ属の水生昆虫で、日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布する。
日本以外では、朝鮮半島から中国東北部、東部シベリア、台湾に分布する。
アメンボ科は熱帯から亜熱帯にかけて広く分布し、日本には淡水系20種、海水系6種が分布する。
アメンボもカメムシの仲間のため、カメムシ同様、体から匂いを出す。
その匂いが飴に似ているので、飴のような匂いを出す棒状の虫「飴ん棒」が名前の由来とか。
体長はオスで11〜14o、メスは一回り大きくて13〜16o程になる。
脚の尖端が水をはじくようになっていて、それで水面上に浮く。
水面の移動は、前脚と後脚で体を支え、中脚を前後に動かすことで行う。
飛翔する事も出来るが、飛翔するのは稀で、一生のほとんどを水面上ですごす。
特に池のように安定した環境では、翅が退化した幼生のような成虫が出現する事もある。
アメンボは自ら獲物を襲うことはせず、水面に落ちた虫を素早く捕獲して体液を吸う。
そのため、落ちてくるものを見つける良い眼と、脚に水面の波動を感じ取る特殊な毛を持っている。
出現時期は、4月〜10月と長い。

2012/8/5
八ヶ岳自然文化園からの帰路、立ち寄ったサントリー白州蒸留所の保全林を抜けた沼で見かけました。
ちょうど交尾中の個体がいましたが、上に乗っている少し小型の方がオスです。

エゾアオカメムシ(Palomena angulosa)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科>

カメムシ科カメムシ亜科のカメムシで、在来種。山地性のカメムシ。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
体長は12〜16mmで、出現時期は4月〜10月である。
体色は光沢のある黄緑色で、腹部の背面が濃褐色。腹部下面は白緑色。
前胸背側角はやや突出し、丸みを帯びる。
成虫で越冬するが、越冬時期が近づくと体表面は褐色に、腹部下面は橙色に変化する。
ウドやタラ、マメ科やキク科の植物の吸汁を行う。

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内の草原で見かけました。
葉の色によく似た体色なので、褐色の翅の膜質部がなければ気が付かなかったと思います。

チャバネアオカメムシ(Plautia stali)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科>
 
 2013/8/3           2014/7/18(参考)
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布する。
体色は、きれいな緑色に、羽の部分が茶褐色のツートンカラーです。
植食性のカメムシで、ナシ、カキなど果樹園で栽培される多くの果樹の食害する、農業害虫です。
成虫で越冬し、翌春から初夏にかけて果樹のツボミや果実を食害し、6月下旬頃に杉やヒノキに産卵する。
本種では、幼虫は杉とヒノキの果実(球果内部の種子)を餌として成長し、7月下旬くらいから新成虫が出現する。

2013/8/3 八ヶ岳自然文化園の林内で、見慣れない植物の写真を撮ったとき、写っていました。
撮影した時には、同じ緑色で、同じような大きさの果実?の所にいたので気づかなかったのです。
緑色のカメムシの幼生だと思い、いろいろ調べたのですが直ぐにはわかりませんでした。
別のカメムシを調べていたとき、偶然、チャバネアオカメムシの幼生と分かりました。

2014/7/18 多摩川の近くで見かけたチャバネアオカメムシの成虫です。参考までに掲載しました。

トゲカメムシ(Carbula humerigera)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科>
   
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
体長は10mm前後で、前胸側角の部分が鋭く尖るのが特徴です。
小楯板先端部は白くなり、前胸背前側縁にも白色の模様がある。
キク科のヨモギやアザミ、バラ科の植物などに見られる。

2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内にある湿地で、ノハラアザミで見かけました。
前胸の方の部分にある角のような突起が印象的です。

 
2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林を抜けた草原で、オオアワガエリの穂にいる交尾中のカメムシを見つけました。
撮る角度が悪くて、前胸側角が尖っているのが分かりにくかったので、なかなか同定できませんでした。
小楯板先端が淡黄色で、前胸の両側にも淡紅色の縁取りがある点で探し、トゲカメムシと分かりました。
それで、改めて前胸側角を見直したところ、確かに尖っているらしいことが分かりました。

ブチヒゲカメムシ(Dolycoris baccarum)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科>
 
2013/8/3            2019/8/3
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
日本以外では、朝鮮半島から中国を含むユーラシア大陸のヒマラヤ山脈以北に広く分布する。
赤褐色の翅に白っぽい逆三角形の小楯板、腹部の白黒の模様が印象的なカメムシです。
この白黒のブチ模様は、触角にもあり、それが本種の名前の由来となっている。
本種は、寒冷地では年1回、暖地では年3回発生し、成虫で越冬する。
成虫も幼虫もマメ科、キク科、ダイコン、ゴマ、ニンジン、ゴボウ、イネなどの汁を吸汁する。
吸汁された種子は、変色した成長不良の実となるため、イネが被害に合うと斑点米となる。
この斑点米が少しでも交じると、商品価値が下がってしまうため、農家の方にとっては要注意害虫です。
新潟の農家の方に聞いた話では、以前はカメムシの被害はほとんどなかったそうですが、
近年は温暖化の影響か、カメムシ(本種かホソヘリカメムシかは不明)の被害が増えているそうです。

2013/8/3 八ヶ岳自然文化園外の草原で、葉の上にいるブチヒゲカメムシを見つけました。
赤茶色の上翅と先端が淡黄色の小楯板が印象的なカメムシです。
2019/8/3 八ヶ岳自然文化園外の草原で、オオアワガエリの穂にいるのを見かけました。
見返してみると、ちょうど6年前の同じ日に、同じ草原で撮影していました。
レンズが100mmマクロになっている分、写真の解像度は良くなっています。

セアカツノカメムシ(Acanthosoma denticaudum)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・ツノカメムシ科・ツノカメムシ亜科>
   
ツノカメムシ科ツノカメムシ亜科のカメムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、平地から山間部にかけて生息する。
体長は14〜18mmで、出現時期は4月〜10月である。
体色は青味のある緑色で、小楯板の基部から中央にかけて、広く赤褐色を帯びる。
前胸背側角は側方に突き出し、先端がやや黒い。腹部下面は淡橙色。
オスには生殖節に赤褐色のハサミ状の突起があり、交尾時にメスを挟む。
ミズキ、ヒノキ、スギ、アセビなどの果実を吸汁する。

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内にある湿地で、サワギキョウで見かけました。
青緑色と赤褐色のグラデーションがきれいなカメムシです。

ヒメツノカメムシ(Elasmucha putoni)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・ツノカメムシ科・ツノカメムシ亜科>
 
ツノカメムシ科ツノカメムシ亜科のカメムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海外では、朝鮮半島から極東ロシアに分布する。
体長は7〜10mmで、出現時期は5月〜10月である。
体色は赤褐色〜緑褐色と個体変異があり、小楯板先端部は白くなる。
翅の膜質部以外の全体に黒い点刻がある。
クワ、ヤマグワ、コウゾ、ノリウツギ、ヒノキなどの吸汁を行うが、特にクワノミを好む。
本種のメスは、産んだ卵を守る習性があり、孵化後もしばらくは保護する。

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内にある草原で、タカトウダイの花で見かけました。
褐色の地味なカメムシですが、緑色の葉の上にいたので気が付いたものです。

オオヘリカメムシ(Molipteryx fuliginosa)
<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヘリカメムシ科>
 
2013/8/3                   2013/8/2
ヘリカメムシ科ヘリカメムシ亜科のカメムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
体長は20〜25mmもある大型のカメムシで、出現時期は5月〜9月である。
体色は褐色で、前胸部側面が前方に張り出し、脚が太くて頑丈そうな体格をしている。
アザミ、モミジイチゴ、キジムシロ、フキなどの吸汁を行う。

※ 本種には、よく似たミナミオオヘリカメムシとオオトビサシガメがいる。
本種もミナミオオヘリカメムシも植物の汁を吸うおとなしいカメムシである。
しかし、オオトビサシガメは肉食性で、つかむと刺されることがあるので注意が必要。
これらの区別がつかないときは、うかつに触らないのが身のためである。

2013/8/3 八ヶ岳自然文化園の林内を流れる小川の縁でみかけました。
8/2に見かけたものと比較すると、色は黒っぽく、二回りほど小さいです。
若い幼生なのでしょう。ただ、後脚は成虫同様、太くて強靭なところは同じです。
2013/8/2 八ヶ岳自然文化園の林内の湿地に生えるノハラアザミの茎に止まっていました。
まだ、幼生ですが、近くにいたトゲカメムシと大差ない大きさがありました。
幼生でも、終齢に近いものと思われます(終齢幼虫では翅芽がもっと大きくなります)。

   
2017/8/5           2017/8/5             2019/8/3  .
2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林内の草原で、キンミズヒキの枝で見かけました。
成虫を見かけたのは初めてで、近くには5齢幼虫も見られました。体色は黒褐色です。
2019/8/3 八ヶ岳自然文化園の林内を散策中、ノアザミの茎に数匹の幼虫がいました。
大きさ的には4齢幼虫ではないかと思います。なお、体色は褐色でした。

アカアシカスミカメ(Onomaus lautus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・トコジラミ上科・
カスミカメムシ科・カスミカメムシ亜科>
 
カスミカメムシ科カスミカメムシ亜科の1種で、日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
体長は8mm前後で、6月〜10月に山地の薄暗い場所の下草上でよく見られ、アザミの花などでよく見られる。
頭部、胸部は黒く、半透明な翅には、赤、緑などの幾何学的で複雑な模様が入る。脚は赤い。

2016/8/6
林内の草むらで、ノハラアザミの花に付いている小さなカメムシを見かけました。
写真では、赤が不鮮明ですが、コバルトグリーンと赤を黒い縁取りが囲み、ステンドグラスのように美しい。

 
2017/8/5
林内の草むらで、ハエドクソウの茎にいたアカアシカスミカメです。
まだ、成虫に羽化して間がないのか、全体に色が淡く、翅には色が見られません。

 
2018/8/4
今年は林内のいろいろな花などで、アカアシカスミカメをよく見かけました。
小さいので遠目では存在が分からないのですが、花の写真を撮ろうと近づくといるのです。
昨年は透明感のある個体のみでしたが、今年はしっかりと発色した個体です。
ステンドグラス調に淡い黄緑色と褐色の模様が黒い縁取りで仕切られて、きれいですね。


2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内で見つけたタマガワホトトギスの花で、幼虫を見つけました。
幼虫も成虫に似た配色ですが、前胸が黒褐色ではなく、黄緑色の地色にオレンジ色の縁取りがあります。
そのため、成虫よりも幼虫の方がカラフルで、奇麗なデザインになっています。

ブチヒゲクロカスミカメ(Adelphocoris triannulatus)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・トコジラミ上科・
カスミカメムシ科・カスミカメムシ亜科>
 
カスミカメムシ科カスミカメムシ亜科の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海外では、中国からシベリアに分布する。
体長は7〜9mmで、出現時期は4月〜10月である。
体色は黄褐色〜黒褐色と個体変異が大きく、腹部の両端に黄白色の小さな紋がある。
触角は長く、白色のスポットが入っている。翅には黄色の細かい毛がある。
キク科、イネ科、マメ科などの植物上でよく見られ、吸汁する。

2017/8/6
八ヶ岳自然文化園外部の遊歩道脇で、タマザキクサフジの葉の上で見かけました。
腹端がすっぱりと切り落とされたような形をした真っ黒なカメムシです。
動きが早く、じっとしていてくれないので撮影には苦労しました。

 
2018/8/4
八ヶ岳自然文化園外部の湿地で、サワギキョウの花に2匹付いているのを見かけました。
写真を撮ろうと近づくとススっと裏側に回ってしまうので、撮りにくい昆虫です。
腹部後端の黄白色の斑紋と、腹端が切り落としたように折れ曲がっているのが分かると思います。

メンガタカスミカメ(Eurystylus coelestialium)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・トコジラミ上科・
カスミカメムシ科・カスミカメムシ亜科・メンガタカスミカメ属>
 
カスミカメムシ科メンガタカスミカメ属のカメムシで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に広く分布する。
体長は7〜8oで、黒色の体色に黄褐色の微毛が斑上に生えて、ブチ模様となっている。
腹部は灰白色で、肢は基部が白で先が黒い。前胸背に一対の白い縁取りのある黒い斑紋がある。
この1対の黒斑が、お面の目に見えることが、和名「メンガタ」の由来。
革質部の楔状部(三角形の部分)は切り落としたように曲がり、末端に赤褐色の斑紋が1対ある。
また、小楯板に4個の白斑があり、触角が太めで節の基部は白い。
出現時期は5月〜10月で、成虫も幼虫もウド、タラノキ、ノリウツギ、ヤマグワなどを吸汁する。

日本に分布しているメンガタカスミカメ属は、下記の3種である。
メンガタカスミカメ(Eurystylus coelestialium) 北海道、本州、四国、九州
ハギメンガタカスミカメ(Eurystylus luteus) 本州、四国、九州
タイワンメンガタカスミカメ(Eurystylus sauteri) 奄美大島、沖縄島、石垣島、西表島、与那国島

2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内を散策中、ノリウツギの花でカメムシを見かけました。
尾端側が切り落としたようになっているので、カスミカメムシ科の仲間とまでは分かりました。
後で、肢が白黒のツートンカラーになっている点などから、メンガタカスミカメが候補となりました。
しかし、体色が黒褐色で、名前の由来である黒斑が確認できません。ただ、尾端側の赤い斑紋はあります。
本来、黒い体色に黄褐色の微毛が密生して明るい色に見えるのですが、微毛が少ないようです。
そのため、地色の黒色が全面に出て、このように見えているものと判断しました。


メンガタカスミカメ
       .
  2019/8/3            2016/10/7          2016/10/7
左端が今回見かけたもので、その右側が町田市の薬師池公園で見かけたものです。
肢のツートンカラーや体形はよく似ていますが、体色がまったく異なります。
普通は、黒色の体色に黄褐色の微毛が斑上に生えて、淡褐色のブチ模様(中央と右)になります。
そのため、前胸背にある一対の白い縁取りのある黒い斑紋が良く見えます。
しかし、左端のように全身がほぼ真っ黒では、黒斑は確認しようもありません。


モンキクロカスミカメ(Deraeocoris ater)
<カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・トコジラミ上科・
カスミカメムシ科・ツヤカスミカメ亜科・ツヤカスミカメ属>
 
カスミカメムシ科ツヤカスミカメ属のカメムシで、在来種。
日本では北海道から本州に分布し、海外では朝鮮半島から中国、台湾などに分布する。
体長は7〜9mmで、体色は光沢のある黒色で、革質部の楔状部は切り落としたように曲がる。
その楔状部末端に橙黄色の明瞭な斑紋が1対ある。ただし、斑紋の無い黒化型も出現する。
発生時期は6月〜8月。山地性で、いろいろな花に集まると共に、アブラムシなどから吸汁する。

2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内を散策中、ヤマジガバチを撮ったものにカメムシが写り込んでいました。
そのため、ちょっと前ピンになってしまっていますが、何とか識別は可能です。
調べてみると、カスミカメムシ科のモンキクロカスミカメと分かりました。
尾端側の切り落としたような部分にある、オレンジ色の1対の斑紋が目を引きます。

エゾゼミ(Lyristes japonicus)
<カメムシ目・頸吻亜目・セミ型下目・セミ上科・セミ科・セミ亜科・クマゼミ族・エゾゼミ属>
 
カメムシ目セミ科のセミで、日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
名前に「エゾ」が付いているが、南方系のセミであり、長野県や南東北地方に多い。
良く似た北方系のコエゾゼミとは似てはいても、系統の異なるセミである。

2011/8/6
八ヶ岳自然文化園では、たくさんのエゾゼミがいて、かなりうるさい。
しかし、たくさん鳴いていても鳴いている個体を確認する事は困難です。
木の高い所で鳴いており、近づくとすぐに鳴きやんでしまうためです。
実物は、死んで地面に落ちていた個体を見ただけなのは、何ともさびしい限りです。
代わりと言っては何ですが、あちこちで見かけるセミの抜け殻の写真を掲載します。
もちろん、これだけで断定はできませんが、他のセミの声は聞こえませんので間違いはないと思います。

 
2013/8/2            2013/8/3
昨年まで、声はすれどもセミには合えず仕舞いでしたが、今年、やっと合えました。
最初にあったのはオスで、数mしかない低い木で鳴き始めたので、見つけることができました。
撮影後に気が付いたのですが、奥の方の翅がうまく伸びなかったようで、かなり歪んでいます。
そのため、うまく飛ぶことができず、低い木に止まっていたのかもしれません。
メスは、翌日、木の下の方に止まっていたのを見つけました。

 
2016/8/6
朝、駐車場脇の通路を歩いていると、通路脇の草むらを移動中のエゾゼミに気が付きました。
どうやら、今朝、羽化したばかりのエゾゼミだったらしく、逃げることもなく指に止まりました。
腹部を見ると腹弁(ふくべん)があるのでオスです。そのまま、側の木にそっと移して撮ったのがこの写真です。
羽化したてなので、色調は若干明るめで、どこにも痛みがないきれいな個体でした。

原村の星まつりのときは、録音機材を持っていなかったので、鳴き声を録音できませんでした。
胎内星まつりに行ったときに、エゾゼミの鳴き声を録音できましたので、参考に下記に掲載します。

<エゾゼミの鳴き声>

 
2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内を散策中、草によじ登っているエゾゼミに気が付きました。
手に取ると以前見たものより一回り小型でしたので、コエゾゼミではないかと撮影しました。
羽化して間がないのか動きが緩慢でしたので、裏面も撮影させてもらいました。
撮影後、近くの樹にそっと戻したのは言うまでもありません。よちよちと登って行きました。
後で調べると、前胸の縁を取り巻く黄色い斑紋に切れ目がないので、エゾゼミと分かりました。