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八ヶ岳山麓 原村近辺の昆虫U



ここ何年か通っている「原村 星まつり」そのの会場である「八ヶ岳自然文化園」やその近辺、
会場への往路、復路で見かけた昆虫をまとめたものです。

ただ、星まつりが毎年、8月の初旬に開催されるため、その時期に見かけた昆虫のみです。
特に珍しいものではありませんが、こんな昆虫類が暮らしているのだと見ていただければ幸いです。

< トピック >

今回、新たに見かけた下記の昆虫を追加しました。
セイヨウミツバチ

また、下記の昆虫の写真を追加しました。
ヤマジガバチ



ここでは、下記の昆虫を掲載しています。
ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科
ハナアブ科(オオハナアブ、ナミハナアブ、ホシツヤヒラタアブ、オオショクガバエ、ホソヒラタアブ)
ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヒツジバエ上科
クロバエ科(ツマグロキンバエ)
ヤドリバエ科(セスジナガハリバエ)
ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヤチバエ上科
ツヤホソバエ科(ヒトテンツヤホソバエ)
ハエ目・ハエ亜目・アブ下目・アブ上科
アブ科(ウシアブ)
ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・オドリバエ上科
アシナガバエ科(キアシセスジオドリバエ、マダラアシナガバエ)
ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・ムシヒキアブ上科
ムシヒキアブ科(シオヤアブ、サキグロムシヒキ、オオイシアブ、チャイロオオイシアブ)
ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科
アリ科(ムネアカオオアリ)
クモバチ科(オオモンクロクモバチ)
スズメバチ科(コガタスズメバチ、キボシアシナガバチ)
ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科
アナバチ科(ヤマジガバチ)
コシブトハナバチ科(キオビツヤハナバチ)
コハナバチ科(アトジマコハナバチ、シロスジカタコハナバチ)
ハキリバチ科(トモンハナバチ、ツルガハキリバチ)
フシダカバチ科(ツチスガリ)
ミツバチ科(オオマルハナバチ、トラマルハナバチ、コマルハナバチ、セイヨウミツバチ)
ハチ目・ハチ亜目・ヒメバチ上科
ヒメバチ科(コンボウアメバチ)
八ヶ岳山麓 原村近辺の昆虫
和名インデックス


オオハナアブ(Phytomia zonata)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族>

日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで広く全国に分布する。
幼虫は、腐敗した植物を食べ、成虫は花に集まり、蜜や花粉を食べる。
幼虫は、水中生活をするため長い呼吸器官を持っていて、その姿からオナガウジと呼ばれる仲間である。
全体は黒色で、ずんぐりとした体形をしており、大きく見えるが、体長はナミハナアブと大差ない。
頭部は半球状で大きく、腹部の太い赤黄色の帯模様が目立つ。
大きな複眼には、独特の迷路状の模様があり、そのデザインは雌雄で大差ありません。

2011/8/6
八ヶ岳自然文化園の芝生広場の縁で、ノリウツギの花で給蜜中でした。
「オオ」が付いていても体長はナミハナアブと大差ありません。
ただ、横幅があるため、ずんぐりとして大きく見えます。
真っ黒な胸と腹部の大きな黄色い帯模様が特徴です。

幼虫は水生で、長い尾があるので、オナガウジと呼ばれているそうですが、実物は見たことがありませんでした。
いつだったか、TVの珍百景候補に子供が応募していたのを見たことがあります。
小さな半透明な芋虫に体長の何倍もある尻尾が付いているので、奇妙な生き物に見えます。

ナミハナアブ(Eristalis tenax)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ナミハナアブ亜科・ナミハナアブ族>
 
ハナアブ科ナミハナアブ族の1種で、日本では全国で普通に見られる。
日本以外でも、ほぼ全世界に分布している。
ハナアブ科の代表種で、春に様々な花に集まり、蜜や花粉を食べる。
体色や模様からハチと間違われやすいが、ハエ特有の大きな複眼を持つ。
一般に、複眼が接しているのがオスで、複眼が離れているのがメスである(例外もある)。

2012/8/3 八ヶ岳自然文化園へ向かう途中の富士見高原辺りの道路脇で、ヒヨドリバナで見かけました。
胸部は黒色で、淡黄色の毛が覆っているために茶色っぽく見えます。
腹部前寄りに橙色の大きな三角斑があり、翅の中央付近が汚れたような褐色をしています。
2012/8/4 八ヶ岳自然文化園の話を抜けた先の草原で、オオハンゴウソウで給蜜中でした。
実に多くの花で、ナミハナアブを見かけます。


2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林を抜けた草原で見かけた、イタドリに止まっているナミハナアブです。
大人しくしていてくれたので、アップで撮影することができました。

ホシツヤヒラタアブ(Melanostoma scalare)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・
ハナアブ科・ヒラタアブ亜科・ツヤヒラタアブ族・ツヤヒラタアブ属>

ハナアブ科ツヤヒラタアブ族の1種で、日本では本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、ユーラシア大陸のヒマラヤ山脈以北、 東南アジア、インド亜大陸、中東、熱帯アフリカに分布している。
体長は8o前後で、4月〜10月に極普通に見られる。
林縁などで背の低い花を訪花していることが多いが、イネ科の植物なども訪花する。
腹部の斑紋は三角形から勾玉状で、顔面は雌雄とも黒い。

2016/8/6
八ヶ岳自然文化園の林内で、アキカラマツの花を訪花しているのを見かけました。
良く似ているのは、ツヤヒラタアブやホソツヤヒラタアブですが、黄色斑の形が異なります。

オオショクガバエ(Epistrophe grossulariae)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・
ハナアブ科・ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族・オビヒラタアブ属>
 
ハナアブ科オビヒラタアブ属の1種で、在来種。
日本では本州に生息は確認されているが、詳細は不明。
体長は11から13mmで、5月〜10月に見られる。
幼虫はアブラムシを食べて育ち、成虫は花の蜜や花粉を食べる。
ショクガバエは漢字では「食が(虫偏に牙)蠅」と書き、が(虫偏に牙)はアブラムシの事である。
以前はショクガバエ科と呼ばれていたこともあるが、現在ではほとんど使われていない。
このショクガバエという名前は、本種の名前として残っている程度である。

※ 本種とよく似たヒラタアブに「アイノオビヒラタアブ(Epistrophe aino)」がいる。
本種の触角と触角根元付近の額が黒褐色なのに対し、触角と額全体が黄色いことで区別できる。

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内で、シシウドの花を訪花しているのを見かけました。
黒と黄色のメリハリの利いた腹部が印象的なアブでした。

ホソヒラタアブ(Episyrphus balteatus)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ハナアブ上科・ハナアブ科・ヒラタアブ亜科・ヒラタアブ族>
 
ハナアブ科ヒラタアブ族の1種で、日本では北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外でもアジアから欧米まで、非常に広範囲に分布している。
体長は8〜11mmで、3月〜11月まで見られる。
腹部はオレンジ色と黒色の縞模様で、各々の節に太い黒帯と細い黒帯がある。
ホバリングの名手で、ホバリングと移動を繰り返しながら花から花へと飛び回る。
幼虫はアブラムシを食べ、成虫は花の蜜や花粉を食べる。成虫で越冬する。

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内で、オオホタルサイコの花を訪花しているのを見かけました。
花のある所だと、大概の場所で会えるアブの1種です。

ツマグロキンバエ(Stomorhina obsoleta)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヒツジバエ上科・クロバエ科・ツマグロキンバエ亜科>
 
2017/8/5            2019/8/3   .
クロバエ科ツマグロキンバエ亜科の1種で、6月〜10月に花に来る小さなハエ。
日本では、北海道から、本州、四国、九州、沖縄まで分布する。
体長は5〜7mmで、体色は深緑色。背中に丸みがあり、翅の先端が黒い。
複眼は青緑色に波模様があり、口吻は長く突き出ている。
幼虫は動物の死骸などを食べ、成虫は花の蜜を食べる。

2017/8/5 八ヶ岳自然文化園の林内で、チダケサシの花を訪花しているのを見かけました。
今まで見かけても撮っていなかったので撮影したのですが、ちょっと後ピンでした。
翅の先端が黒いのが良く分かりますが、複眼がピンボケで、波模様が不鮮明になってしまいました。
2019/8/3 八ヶ岳自然文化園の林を抜けた草原で、ハルジオンで食事中のツマグロキンバエを見かけました。
長く突き出た口吻と、複眼に現れる横縞模様が良く分かります。

セスジナガハリバエ(Dexia flavipes)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヒツジバエ上科・ヤドリバエ科>

ヤドリバエ科のハエで、日本では北海道と本州に分布する。
科名が示す通り、幼虫は他の昆虫などに捕食寄生する。
本種は、コフキコガネ属の幼虫に寄生し、成虫は樹液や花の蜜に集まる。

2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の林内に咲くオカトラノオの花で給蜜中の本種を見つけました。

   
2014/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内で、ノアザミで給蜜中の本種を見かけました。
今回は、昨年よりも撮影しやすかったこともあり、ピントもばっちりです。

ヒトテンツヤホソバエ(Sepsis monostigma)
<ハエ目・ハエ亜目・ハエ下目・ヤチバエ上科・ツヤホソバエ科>
 
ツヤホソバエ科の1種で、草や潅木の葉上でよく見られる。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
体長は4o前後で、頭部が球状で丸く、体は光沢のある黒色で、翅の外縁近くに一対の黒斑がある。
翅を時々ねじるようにしながら、葉の上を歩き回る。
幼虫は牛糞などの獣糞を餌とし、ときに大量に発生する。成虫も糞を吸汁している。
よく似たクロツヤホソバエは、翅の外縁に黒点がない。

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内で、タカトウダイの葉や花の上を歩き回っていました。
花の大きさからわかる通り、大変小さなハエですが、金属光沢のある赤銅色の腹部が印象的でした。

ウシアブ(Tabanus trigonus)
<ハエ目・ハエ亜目・アブ下目・アブ上科・アブ科・アブ亜科・アブ属>

アブ科アブ族のアブで、日本では全国で普通に見られる。
体長は25o前後の大型のアブ。体色は黒灰色で、腹部背板中央に黄白色の三角斑がある。
胸背の前半部に3本の褐色の縦線がある。触角鞭節は橙赤色で、基部関節は黒色ある。
単眼はなく、複眼は緑色を帯び、額三角区は白色。翅には斑紋はない。
成虫は7〜9月に現れ、メスはウシやウマを襲って吸血する。オスは花や樹液に集まる。
越冬形態は幼虫で、幼虫期間は2年になる。幼虫は肉食で、土中のミミズや小動物を捕食する。
ヤマトアブと良く似ているが、一回り小さく、額三角区が淡黄褐色である。
また、ウシアブは触角鞭節の小突起のみが黒色なのに、ヤマトアブは触角鞭節自体が褐色。

2016/8/6
八ヶ岳自然文化園の林内の沼で、トンボを撮っていると、横から飛んできて止まりました。
この写真は上下逆さまに止まったため、複眼や触角が陰になって、色合いなどがはっきりしません。
しかし、フラッシュ撮影したものでは、ピンボケでしたが、触角鞭節は橙赤色で小突起のみが黒色でした。
また、前翅のR4脈が、前方で小さな翅脈が分かれていることも確認できたので、本種としました。
八ヶ岳自然文化園の隣には、八ヶ岳農場があり、牛が飼われていることも傍証となると思います。
この個体は、複眼が離れているのでメスです。オスの場合、複眼はもっと大きく、ピッタリと付きます。

マダラアシナガバエ(Mesorhaga nebulosus)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・オドリバエ上科・アシナガバエ科・ホソアシナガバエ亜科>

アシナガバエ科ホソアシナガバエ亜科のアブで、日本では全国に分布する。
名前にハエが付いているが、ムシヒキアブ下目に属するアブで、肉食。
体長は5o前後で、体色は金緑色、脚は細長い。翅には黒褐色の斑紋がある。
林縁部の日当たりの良い草の上などを忙しなく歩き回っていることが多い。
飛んでいる蚊などの小型の昆虫を捕食する。

2016/8/6
八ヶ岳自然文化園から八ヶ岳農場に向かう途中の通路脇で見かけました。
最初見た時、体色や形から、てっきりハエの仲間であろうと判断していました。
調べてみると、マダラアシナガバエとマダラホソアシナガバエが近いと分かりました。
が、この2種、同種扱い(要は別名)であったり、別種扱いであったりで、はっきりしません。
写真も、対象が小さいこともあって不鮮明で、翅脈などははっきりしません。
そのため、ここではマダラアシナガバエとしていますが、間違っている可能性があります。

キアシセスジオドリバエ(Empis compsogyne)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・オドリバエ上科・オドリバエ科・オドリバエ亜科>

オドリバエ科オドリバエ亜科に属するアブで、在来種。
体長は9mm前後で、中肢、後肢の腿節や脛節の上下にブラシの様に毛が生えている。
オドリバエは、幼虫、成虫共に捕食性で、主に他の双翅目昆虫を捕食している。

本種に関する情報は、Webで検索してみると下記のものが見つかった。
肢にある毛の特徴から学名は「Empis Compsogyne」で良さそうだが、和名が曖昧。
シラフオドリバエの表記は見つかったが、写真がないので合っているのかどうかが不明。
その他のものには和名の表記がなく、和名がまだないとの表記もある。
その後、北隆館の「新訂 原色昆虫大圖鑑」にキアシセスジオドリバエの名前があるのを見つけた。

「平群庵昆虫写真館」に「Empis Compsogyne」と紹介されている写真のものに似ている。
「かたつむりの自然観撮記」には、「シラフオドリバエ Empis compsogyne Frey,1953」の名前がある。
「みんなで作るオドリバエ図鑑 Empididae」に「Empis(Poly.)compsogyne」
や「Empis(Poly) nr. compsogyne」と紹介されている写真の肢にも毛が見られ、似ている。

2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内を散策中、ノリウツギの花に止まっている所を見かけました。
体の割に頭部が異常に小さく、変わった体形をしていると思って撮ったものです。
腹部がはち切れんばかりに膨れているのは、おそらく、卵が入っているためと思われます。
ハエの仲間にこのような体形のものがいた気がして、後で調べ始めたのですが見当たりません。
で、アブの仲間を調べていると似たものが見つかりました。和名がないようです。
さらに調べていると「シラフオドリバエ」と書かれていたのですが、写真がなく確認できません。
また、北隆館の図鑑に「キアシセスジオドリバエ」と出ていたので、それを採用しました。

シオヤアブ(Promachus yesonicus)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・ムシヒキアブ上科・ムシヒキアブ科・シオヤアブ亜科>
 
ムシヒキアブ科シオヤアブ亜科の肉食性のアブで、日本ではほぼ全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、極東ロシアにも分布する。
草原や林の周辺の日当たりの良い場所で、よく見られる普通種。
体長は23〜30mmで、体色は黒褐色で、黄色い毛が生えている。
その黄色い毛のため、腹部は黒と黄色の縞模様に見える。なお、オスの腹端には白い毛が密生する。
獰猛な狩人で、見晴らしの良い枝先などに留まり、獲物を待ち伏せする。
獲物が近づくと、一気に襲い掛かり、自分より大きな獲物でも一撃で仕留める。
幼虫は土中や朽木の中にいて、他の昆虫などを食べて成長する。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の芝生広場脇のノリウツギの葉の上で、交尾中のシオヤアブを見かけました。
全身に黄色の毛がはえており、腹部では毛が黄褐色のしま模様になっています。
脚も黒色ですが、すねの部分だけが黄褐色で目立ちます。
オスの尾端には白い毛が密集しており、塩を吹いたように見えるのが名前の由来だそうです。
なお、写真の上の方がオスで、下の方がメスです。

サキグロムシヒキ(Machimus scutellaris)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・ムシヒキアブ上科・ムシヒキアブ科・ムシヒキアブ亜科>
 
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、極東ロシアから朝鮮半島、中国に分布する。
体長は20〜26mmで、頭部と胸部は黒い地色に灰白の粉を吹いている。
腹部は淡黄褐色の粉で被われていて、腹部の先だけ黒いのが特徴。
肢は黒色で、部分的に内側が黄褐色をしている。
発生時期は、6月〜9月で、ハエや蚊等を捕えて食べが、自分より大きい虫も襲う。
幼虫は、土中や朽木にいてコガネムシ類の幼虫やミミズ、ワラジムシ、ダンゴムシなどの体液を吸う。

マガリケムシヒキやヒサマツムシヒキなど似たものもおり、以下の点で区別する。
・サキグロムシヒキ 複眼は黒色、翅は透明、脚は黒色である
・マガリケムシヒキ 複眼は緑色、翅は透明、脚は黒いが脛節は黄褐色、オスは前脚フ節まで黄褐色
・ヒサマツムシヒキ 複眼は黒色、翅は透明、脚は黒色で、脛節に汚黄毛がある

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の林内で見かけました。
胸部は灰褐色で、腹部は黄褐色ですが、尾端のみが黒色なのが特徴です。


2013/8/2
エゾゼミを撮影していて、そのすぐ近くで獲物を捕えたサキグロムシヒキを見つけました。
自分より一回り大きなアカネ属のトンボを捕え、消化液を注入して、その体液を吸っている最中の様です。
トンボの胸部が、本来の胸部の色より黄色く見えるのは、消化液で溶かされたためかもしれません。

   
  <オス>          <オス>           <メス>   .
2017/8/5
ここでサキグロムシヒキのオスに出会ったのは初めてです。
腹端の形状がメスとは全く異なるのが良く分かると思います。

オオイシアブ(Laphria mitsukurii)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・ムシヒキアブ上科・ムシヒキアブ科・イシアブ亜科>
   
ムシヒキアブ科イシアブ亜科の肉食性のアブで、日本では本州から四国、九州に分布する。
体長20o前後の黒いアブで、脚が太く、全身の長毛が生える。
腹部の第4節以降と脚の一部にオレンジ色の毛が、頭部には淡黄色の毛が生える。
なお、オスでは胸部にもオレンジ色の毛が生えているが、メスでは黒い。
林縁の日当たりの良い地面や植物などの上に止まっていることが多く、甲虫などを捕食する。

2016/8/6
八ヶ岳自然文化園から八ヶ岳農場に向かう途中の通路脇で見かけました。
最初見た時、ムシヒキアブの仲間には見えませんでした。
とにかく、全身毛むくじゃらで、尾端に大きな瘤のようなものが付いているのが印象に残りました。
後で調べて、本種と分かりましたが、何とも独創的なスタイルです。

チャイロオオイシアブ(Laphria rufa)
<ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・ムシヒキアブ上科・ムシヒキアブ科・イシアブ亜科>
 
ムシヒキアブ科イシアブ亜科の肉食性のアブで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
体長は23〜28oで、体色は黒色で光沢があり、脚が太く、腹部と脚にはオレンジ色の毛が生えている。
オオイシアブとよく似ているが、腹部の毛の生える範囲が本種は第2節から先と範囲が広い。
林縁の日当たりの良い地面や植物などの上に止まっていることが多く、甲虫などを捕食する。

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園から八ヶ岳農場に向かう途中の通路脇で見かけました。
昨年、オオイシアブを見かけた場所と同じでしたので、この個体もそうだと思っていました。
後で拡大したとき、ちょっと違うような気がしたので調べ直して、本種と分かりました。
それにしても見た目にほとんど差がないのですが、腹部や頭部の毛が多い所が識別点ですね。

ムネアカオオアリ(Camponotus obscuripes)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・アリ科・ヤマアリ亜科・オオアリ属・オオアリ亜属>
 
アリ科オオアリ属のアリで、クロオオアリと並んで日本最大のアリである。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
体長は働きアリで8〜12mm、女王アリで16〜17mmになる。
巣ができた頃の働きアリは小さいが、群れの数が増えると10mmを超える働きアリや兵アリが生まれる。
体色は、頭部と腹部は黒色で、胸部が赤色。これが和名の由来になっている。
なお、赤い部分が胸部だけの個体や腹部の胸側まで赤い個体など、変異がある。
前・中胸背縁を横から見ると、オオアリ属の特徴である緩やかな弧を描いている。
本種は、他のアリのように土壌に巣を作らず、朽木や枯れ木に営巣する。
狩りは単独で行い、行列を作って行動することはない。
オスアリと新女王アリは秋に羽化するが、そのまま越年し、翌年の5月〜6月に結婚飛行する。

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林道脇で、草を降りてくるムネアカオオアリを見かけました。
山間部などで時折見かけることがありますが、とにかく大きなアリです。


日本最大級のアリ2種

 
  2017/7/29<クロオオアリ>  2017/8/5<ムネアカオオアリ>
どちらも働きアリの体長が10mmを超える、日本で最も大きいアリです。
どちらもオオアリ属で、前・中胸背縁を横から見ると緩やかな弧を描いています。
よく似たヤマアリ属では、前・中胸背縁を横から見ると山が2つあり、区別できます。


オオモンクロクモバチ(Anoplius samariensis)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・クモバチ科・ナミクモバチ亜科>

クモバチ科のハチで、北海道から九州、四国と、ほぼ全国に生息する。
以前は、ベッコウバチ科のオオモンクロベッコウと呼ばれていたが、科名とともに和名も変更になった。
クモに麻酔をかけ、巣穴に引き入れて卵を産みつけ、孵った幼虫は、動けないクモを食べて育ちます。

2014/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内で、ヨモギの葉の上をウロウロしているのを見かけました。
獲物のクモを探していたのかもしれません。

コガタスズメバチ(Vespa analis)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・スズメバチ亜科・スズメバチ属>

日本には、本州から四国、九州、屋久島、種子島に生息する亜種、八重山亜種、沖縄亜種の3亜種が生息。
日本本土亜種「Vespa analis insularis」は、日本の固有種。
日本以外では、インド、東南アジア各国から中国、シベリア、台湾などアジア各地に広く分布する。
スズメバチ属の中では中型種で、女王蜂で30mm程、働き蜂は25mm程である。
営巣規模は比較的小さくて、威嚇性・攻撃性はあまり高くない。

2013/8/3
コガタスズメバチは、ヨツスジハナカミキリを撮影しているとどこからともなく現れました。
ノリウツギの周りを飛び回っていたのですが、止まったと思ったら、アオジョウカイを捕えていました。

キボシアシナガバチ(Polistes nipponensis)
<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・アシナガバチ亜科・アシナガバチ族・アシナガバチ属>
 
スズメバチ科・アシナガバチ亜科のハチで、日本では北海道から南西諸島まで全国に分布する。
体長は15mm前後で、体色は黒色で赤褐色の斑紋がある。
低山地から山地に分布し、樹木の枝や葉裏に営巣する。
巣は黄褐色で、繭のふたは鮮黄色で育室から数mm飛び出す。
営巣規模は少なく、働き蜂は多くても数十匹程度にしかならない。
本種は、他種と比較して威嚇性、攻撃性がやや強いので、注意が必要。

2013/8/3
八ヶ岳自然文化園からもみの湯へ向かう途中、樹高5m程のサクラの木の枝で見つけました。
逆光になるので、ハチの色などはほとんど分からず、巣の黄色いふたがやたらと目につきました。
止むなく、フラッシュを使って撮影しましたが、それでやっと本種と判断できました。
本種は、黄色い斑紋ではなく、赤褐色の斑紋なので、黒い体色と相まって全体が黒っぽく見えます。

 
2018/8/4
八ヶ岳自然文化園の林内で、コオニユリを撮影しようとしていた時、写野に飛び込んできました。
斜め後方から逆光撮影になったため、同定には手間取りましたが、腹部の模様等から本種としました。

ヤマジガバチ(Ammophila infesta)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・アナバチ科・ジガバチ亜科・ジガバチ属>
 
アナバチ科ジガバチ亜科に属するハチで、在来種。
以前はジガバチとされていたが、サトジガバチ、ヤマジガバチに分けられた。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、本州中部では標高300m以上の内陸部のみに分布する。
なお、サトジガバチは、全国の低地に広く分布するとされている。
海外では、朝鮮半島からロシア沿海州(ウスリー)に分布する。
体長は22〜28mmで、出現時期は5月〜9月の年1化である。
単独生活の狩りバチで、昼間活発に活動し、飛翔は敏速である。
成虫は花蜜を食べるが、幼虫は母バチが麻酔して巣穴に貯蔵した鱗翅目の幼虫を食べる。
幼虫は、獲物が腐敗しないよう死なないように食べ進み、食べつくすと蛹になる。
母バチは、狩りに先立って砂地に巣穴を掘り、小石で蓋をしてから狩りに出かける。
戻ってくると、獲物を脇に置いて石をどけ、中を確認してから獲物を運び込む。
獲物に産卵すると、巣穴に蓋をしてから立ち去る。
似たものにサトジガバチとミカドジガバチがいるが、サトジガバチとの識別は困難である。
ミカドジガバチの腹部第2節の末端は太くなっているが、本種やサトジガバチは柄状である。
そのため、ミカドジガバチの腹部の柄状部分は、本種やサトジガバチより短く見える。
また、ミカドジガバチは木の幹の空洞に営巣し、本種やサトジガバチは地面に営巣する。
本種とサトジガバチは、生息域が本種は山地性で、サトジガバチは低地性である。
ただし、両種が混生している場所もあり、その場合、識別は難しい。
本種はサトジガバチよりやや大きく、中胸背板の点刻が弱いといった違いがある。
サトジガバチのメス中胸背板の点刻の方が密であり、オスでは中胸背板に強い横皺がある。
どちらにしても見たくらいでは分からず、捕らえて拡大しないと分からない。

2009/8/9
ボタンヅルの花に頭を突っ込んでいるジガバチを見つけました。おそらく食事中なのでしょう。
ジガバチはサトとヤマの2種に分けられましたが、ここは標高1300mもあります。
山地性のヤマジガバチで間違いはないと思います。この八ヶ岳自然文化園で初めて見ました。


2014/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内になる湿地で、サワギキョウの花に止まっているのを見かけました。
花は開花していないので蜜目的ではなく、幼虫の餌となる芋虫を探しているのでしょう。

 
2019/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内を散策中、地面近くの葉の上をうろついているヤマジガバチを見つけました。
薄暗かったので、フラッシュを使わなかったら動きの速い脚が被写体ブレしていました。

キオビツヤハナバチ(Ceratina flavipes)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・コシブトハナバチ科>
 
コシブトハナバチ科のハチで、日本では北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
体長は8mmほどで、光沢のある黒色に黄色い縞模様がある。
オスの顔面はほとんどが黄色なのに対し、メスは黄色い模様があるだけです。
そのため、よく似たヤマトツヤハナバチのメスでは区別が難しい。
本種は、ススキやキイチゴ類などの折れ口から入って、髄に営巣する。

2013/8/2
八ヶ岳自然文化園の湿地に生えるノハラアザミを訪れていました。
顔が黄色くないので、キオビツヤハナバチのメスとしました。
胸部背面の模様からキオビツヤハナバチとしましたが、ヤマトツヤハナバチかもしれません。

アトジマコハナバチ(Halictus tsingtouensis)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・コハナバチ科・コハナバチ亜科・アトジマコハナバチ属>

体長9mm程のコハナバチ科のハチ。
シロスジカタコハナバチに似ているが、腹部の白色の帯模様が各節の後ろにある。

2013/8/3
八ヶ岳自然文化園の湿地に生えるコオニユリの花びらの上に小さなハチを見かけました。
コハナバチの仲間だと思いましたが、種類までは分かりませんでした。
後で調べて、白い帯模様が各節の後にあることから本種としました。

シロスジカタコハナバチ(Lasioglossum (Lasioglossum) occidens)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・コハナバチ科・コハナバチ亜科・ラシオグロッサム属>
   
ミツバチ科ラシオグロッサム属のハチで、日本在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国、台湾に分布する。
体長は、オスで9mm前後、メスで10〜11mmほどある。
中胸楯板の点刻は粗大で、腹部の各節には溝があり、その溝に黄白色の毛帯がある。
メスの前伸腹節の水平部には、不規則な隆起線がある。
オスの頭楯下部には横長の黄斑があり、腹部第6腹板に特徴的な毛束がある。
なお、オスの頭楯下部の黄斑は消失している場合がある。
メスは4月下旬頃から活動をはじめ、10月末頃まで活動する。
低山部や山裾で各種の花に訪花し、集団で地面に巣穴を掘って、花粉団子を幼虫の餌にする。

2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内のコオニユリやノアザミの花で、花粉の採取に励んでいました。
コオニユリの大きな葯は、あちこち食い破られてぼろぼろになっていました。
なお、本種にはよく似た仲間がいるので、間違っている可能性はあります。

トモンハナバチ(Anthidium septemspinosum)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ハキリバチ科・ハキリバチ亜科・ハキリバチ属>
   
ハキリバチ科のハチで、日本では本州各地で局所的に分布する。
関東では山梨県、長野県の山間部に多いが、その他の県では稀な種類です。
海外では、朝鮮半島から中国、シベリア、ウスリー、ヨーロッパに分布する。
トモンハナバチのトモンは10個の紋のこと、メスには5対10個の黄色い紋が腹部にある。
しかし、オスには6対12個の紋があり、体長はメスよりも一回り大きい。

2013/8/4
八ヶ岳自然文化園からの帰り道、双葉SAのシソ科の花を訪れている本種を見つけました。
見るのは初めてでしたが、特徴的な模様で直ぐに本州と分かりました。
ただ、花に留まっている時間は極短時間で、ピント合わせが追い付かず、なかなかうまく撮れません。
なんとか数カットを撮ることができましたが、なかなかじっとしていないハチです。
ちなみに飛び回っていたのはメスで、腹部にハキリバチ科特有のスコパ(集粉毛、花粉刷毛)が見られます。

 
2014/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内で、ノアザミの花で見かけました。
腹部下面にスコバが見られますので、この個体もメスです。

ツルガハキリバチ(Megachile tsurugensis)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ハキリバチ科・ハキリバチ亜科・ハキリバチ属>
 
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
体長10mm前後のハキリバチで、以前はで、バラハキリバチモドキと呼ばれていた。
腹部の尾端の形状が雌雄で異なり、オスがずんぐりと丸いのに対しに、メスは尖っている。
また、メスは、腹部下面には花粉を集めるためのスコパ(集粉毛、花粉刷毛)がある。
竹筒または地中に営巣するが、葉を切り取って巣材にするので、この名がある。

2014/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内で、ノアザミの花で見かけました。
腹端がずんぐりと丸いので、この個体はオスです。

ツチスガリ(Cerceris hortivaga)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・フシダカバチ科・ツチスガリ亜科>
 
フシダカバチ科ツチスガリ亜科のハチで、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる。
狩りバチで、土中に営巣し、コハナバチなどを運び込んで卵を産み付け、幼虫の餌にする。

2012/8/4
八ヶ岳自然文化園の林内の湿地や草地で見かけました。
体長は10mm前後で、真っ黒な体色に1本の黄色の縞模様が腹部にあります。
ツチスガリは、その仲間の総称で、国内では10種ほどが知られているそうです。
腹部の黄帯の模様からナミツチスガリの可能性が高いと思われますが、画像が粗くて特定できていません。

   
2013/8/2
チダケサシの花を撮っているとツチスガリが1匹飛んできました。
花に止まったので撮っていると、また、1匹飛んできました。
なかなか飛んでいる所を撮るのは難しいのですが、運良く飛翔している所を撮れました。

オオマルハナバチ(Bombus hypocrita hypocrita)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・マルハナバチ族・マルハナバチ属>
   
2010/8/7            2012/8/3            2012/8/4
ミツバチ科に分類されるマルハナバチの一種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
ただし、西に行くにつれて、生息域は高地の方に移動し、低地では見られなくなる。
体長は、働きバチで10〜20mm、雄バチで12〜19o、女王バチで17〜22mmである。
活動時期は4月〜10月で、他のマルハナバチ同様、社会性のハナバチ。
胸部と腹部は黄白色、黄橙色と黒色の縞模様で、腹部端は黄橙色。
この腹端が白いのは、セイヨウオオマルハナバチで、特定外来生物に指定されている要注意生物です。
なお、胸部や腹部の縞模様の変異は大きく、個体によっては見た目が異なる。
女王バチが単独で越冬し、4月頃から活動を始め、5月頃に営巣する。
ミツバチなどと同じように、女王バチのみが産卵を行う社会生活を行うが、規模は小さい。

2010/8/7 八ヶ岳自然文化園の湿地に生えるサワギキョウを飛び回っていました。
胸と腹部に、黒とベージュの幅広な横縞があり、尾部はオレンジ色をしています。
2012/8/3 富士見高原ゆりの里の駐車場脇で見かけました。
ムラサキツメクサの花で、アカタテハやミドリヒョウモンなどと共にさかんに給蜜していました。
2012/8/4 八ヶ岳自然文化園の林を抜けた草原で、オオハンゴウソウで給蜜中の所を見かけました。
このアングルだと、尾部のオレンジ色が良く目立ちます。

   
2014/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内で、開花したレンゲショウマを撮影しているとき、写野に飛び込んできました。
レンゲショウマにピントを合わせていたので、いささかピンボケ気味ですが、良いショットになりました。

トラマルハナバチ(Bombus diversus diversus)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・マルハナバチ族・マルハナバチ属>
 
2010/8/7             2011/8/6
ミツバチ科マルハナバチ属のハチで、日本では本州から四国、九州に分布する。
世界的には、朝鮮半島、ウスリーに分布する東北アジアの固有種。
体長は12〜20mmで、口には折りたたみ式の長い舌があり、マルハナバチの中では最も長い。
活動期間は4月下旬〜11月上旬と長期で、他のマルハナバチ同様、社会性のハナバチ。
土中に枯れ草を敷き詰めて営巣し、蜜蝋に花粉を混ぜてブドウの房状の巣を作る。
メスは地中で越冬し、翌春に単独で営巣を開始する。オスは秋に出現する。

2010/8/7 八ヶ岳自然文化園の湿地に生えるサワギキョウを飛び回っていました。
見た感じは、オオマルハナバチと似ていますが、黒い部分がなく、全体が黄色っぽく見えます。
また、オオマルハナバチの顔は丸顔なのに対して、トラマルハナバチは顎が長い馬面です。
2011/8/6 八ヶ岳自然文化園の林縁で、オオバギボウシの花に給蜜に訪れていました。
その横から小さなハチが、突然割り込んできた所です。
予想もしていなかったのですが、並んで写ってしまいました。
この写真の方が、トラマルハナバチの顎が長くて馬面の顔がよく分かると思います。

話は変わりますが、最近、トラマルハナバチが激減しているそうで、要注意種です。
ここ八ヶ岳自然文化園でも、オオマルハナバチより見かけません。

 
2013/8/2            2013/8/3
今年は、トラマルハナバチをよく見かけました。
サワギキョウ、クルマバナ、ヤマハギなどを訪花していました。

 
2014/8/9
今年は、八ヶ岳自然文化園の駐車場脇のムラサキツメクサに来ていました。
花の周りを飛び回って、給蜜していましたので、口吻が出たままですね。

 
2017/8/6
今年は、八ヶ岳自然文化園外部の遊歩道脇で、タマザキクサフジに吸蜜のために訪花していました。
訪花する花によって花粉玉の色が異なるようで、この個体では橙色ですが、上の個体では白っぽいですね。

コマルハナバチ(Bombus ardens ardens)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・マルハナバチ族・マルハナバチ属>

ミツバチ科マルハナバチ属のハチの1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布している。
出現時期は3月〜10月で、越冬した女王バチが春先から活動を開始する。
他のマルハナバチ同様、林床の地中に営巣する社会性のハナバチだが、6月頃にはコロニーが解散してしまう。
そのため、6月頃にオスが見られるようになり、同時に新しい女王バチも巣立っていく。
オスの体長は15o前後で、淡黄褐色の毛で覆われ腹端がオレンジ色をしている。短命で、寿命は1ヶ月程度。
メスは、淡黄褐色の毛で覆われ腹端がオレンジ色をしており、女王バチも働きバチ(メス)も同様である。
なお、女王バチは体長20o前後、働きバチは15o前後で、オスと同じような大きさである。

コマルハナバチとクロマルハナバチのメスは酷似していて、見分けるのが困難であるが、下記の点で区別可能。
・クロマルハナバチの毛並みは、刈り揃えられたように上面が揃った長さで平らに見える
 コマルハナバチの毛並みは、長さがバラバラで、ボサボサしてみえる
・後脚の附節の形が異なり、瘤状の湾曲があればクロマルハナバチ、湾曲がなければコマルハナバチ

2013/8/3
八ヶ岳自然文化園の林内のノリウツギの花で、コマルハナバチ(メス)を見かけました。
最初、真っ黒なハチに見えたのですが、よく見ると尾端がオレンジ色でしたので、本種と分かりました。

セイヨウミツバチ(Apis melliferas)
<ハチ目・ハチ亜目・ミツバチ上科・ミツバチ科・ミツバチ亜科・ミツバチ族・ミツバチ属>
 
ヨーロッパ・アフリカに分布し、世界中に養蜂用に移入されている。
日本にも移入されているが、野生化はあまり見られない。
ニホンミツバチと異なり、蜂球を作る能力はないので、オオスズメバチに襲われると全滅する事もある。
繁殖力の強いセイヨウミツバチが、あまり野生化していないのはこれが要因と考えられている。
体長は、働きバチで12〜14mm、雄バチで15〜17mm、女王バチでは15〜20oある。
腹部の黒い帯模様が尾端は太く、胸部側が細くなり、全体に黄色味が強く、特に胸部側は黄褐色になる。
セイヨウミツバチにも何種類かいるが、黄色味が強いのはイタリアン種である。
セイヨウミツバチは成虫で越冬し、寿命は季節変動はあるが平均60日前後、女王バチは2年前後である。
働きバチが、卵から成虫になるのに要する期間は3週間で、女王バチは16日である。
女王バチは1週間ほどで成熟し、交尾飛行に出て、交尾後巣に戻る。
交尾後に新女王バチが戻ると、元の女王は半数の働きバチを連れて出て行き、蜂球を作る。
働きバチが偵察に出て、新しい巣が見つかると一斉にその場所に移動して分蜂完了となる。

2009/8/9
八ヶ岳自然文化園の林内で、オオハンゴンソウの花をセイヨウミツバチが訪花していました。
このような場所では、ニホンミツバチの方が多い気がするのですが。
ひょっとしたら、隣の八ヶ岳中央農業実践大学校で養蜂もやっているのかもしれませんね。

コンボウアメバチ(Habronyx insidiator)
<ハチ目・ハチ亜目・ヒメバチ上科・ヒメバチ科・コンボウアメバチ亜科 >

日本では、北海道から本州、四国、九州とほぞ全国に分布する。
海外では、樺太からロシア東部、朝鮮半島から中国東北部に分布する。
頭部と胸部が黒く、触角、脚、腹部は明るい橙色で、腹部は丸いこん棒状です。
クスサンの幼虫に産卵し、蛹になった後、蛹から羽化する寄生バチです。

2013/8/4
コンボウアメバチは、観望エリアの植栽の影を飛び回っていました。
同じ場所を行ったり来たりしてなかなか止まりません。
仕方がないので、追いかけながら撮りましたが、草陰で暗いので、ぶれてしまいます。
なんとか1カットだけ、あまりぶれていない写真が撮れました。

   
2017/8/5
八ヶ岳自然文化園の林内を散策中、何度かコンボウアメバチに出会いました。
細長いこん棒のような腹部と、長い後脚が特徴で、後脚をだらりと下げて飛翔します。